また山に行きたくなる。山の記録を楽しく共有できる。

ヤマレコ

HOME > akiyamasanpoさんのHP > 日記
2019年03月15日 12:19昔ばなし全体に公開

標なき山

先日、標どころか道もない山を歩いている時に、ふと小学生の頃を思い出した。

北海道の山しかない小さな町では、小学生の夏の遊びといえばクワガタ(虫)取りだった。遊びを通り越して義務であり競争であり生活の中心だった。

誰かがアゴの立派なノコギリ(クワガタ)を取ったと聞いたら、俺も俺もとみんな山に入って行ってノコギリを探し回ったものである。私は結局一度も、アゴの反り返ったデカくて立派な赤黒いノコギリを手にすることはなかった。栄養の少ない土壌で育ったアゴの反りもない小さなノコギリなら何度も取ったのだが、こんなのはうれしくもなんともない。コクワやアカアシと同等である。体毛が生えているデカくて立派なミヤマを取った時は友達に見せびらかしたのだが、意外とみんな持っていたりして、そんなに羨ましがられなかった。

本題はクワガタのことではなく、あの当時クワガタ取りに夢中になり何キロも、時には十何キロも自転車を漕いで行き、山中に分け入っていたのに誰も遭難しなかったことである。当然ながら今でも指導標などはない。クワガタ取りには仲間と行くこともあるが、仲間を出し抜いてノコギリを手に入れようと一人で山に行くことも多かった。今から四十何年も前のことでGPSやスマホがあるはずもなく、地図やコンパスという発想すらなかった。食料や水すら持たず虫篭一つ持って、自転車で飛び回っていたのである。もちろん、勉強や習い事などするわけもない。今の私に当時のような事ができるはずもなく、何の装備も持たずヒグマのいる山に入るなど考えられない。猟銃を所持している友人に同行してもらいたいぐらいである。今思うと、当時の私は本当に何も考えていなかった只のバカガキだった。「○○地区の山でヒグマの一撃をくらって顔半分持ってかれた人がいる」とか「○○地区の林道脇で首吊り死体が見つかったらしい」などと聞いてもなお山に入る事を誰もやめなかった。

GPSを背負って飛ぶ雁や地図を見ながら歩く鹿はいない。人間も本来は自分の位置を把握する能力を持っているのだろう。ただ、文明の利器が発達し過ぎてその能力が覆い隠されているだけだろうと思う。だから、あの頃の俺達は人間としては間違いなくバカだったが、動物としてはまあまあだったのかもしれない。

akiyamasanpo
訪問者数:102人
-
拍手

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この日記へのコメント

登録日: 2013/3/11
投稿数: 296
2019/3/16 11:44
 RE: 標なき山
はじめまして、sari-paAと申します。
ホントそうなんですねぇ、臭いとか何とか理由付できるかわかりませんが、動物ー犬とか馬,帰りの道、間違いませんね。
私自身もワラビ取りして山に入った時、帰り道迷ったことありません。(まあ、里から一時間もかかってない里山ですが)。

動物としての帰巣能力でしょうか、何も考えない時は、人間にもあるんでしょうね。

GPSばっかり頼ってたらその能力、どんどん退化すると思います。もちろん地図を見て思考する力も!!
登録日: 2015/6/27
投稿数: 72
2019/3/16 13:50
 RE: 標なき山
sari-paAさん、コメントありがとうございます。

中年を過ぎてから里山歩きをはじめて、子供の頃を思い返すと、ほんとバカなことばかりやってたなと思います。

橋の下のH形鋼を渡って向こう岸に行き飛び降りたり、もろい岩質の崖を素手だけで登ったり、廃工場の煙突の梯子を登ったりとか、よく生きていたものです。

今の子供は、生きるか死ぬかの遊びを自分がではなく、ゲームの中か他人に試すので、本当の充実感を味わえないのかもしれません。

物はなくても生き物としてのよろこびがあった子供時代だったように思います。

akiyamasanpo
登録日: 2016/1/24
投稿数: 727
2019/3/19 23:22
 RE: 標なき山
こんばんは。
「標なき山」という表題に思うところありて、コメントさせていただきました。
 私は山に登るようになってから30年以上経ちます。最近はもっぱら奥美濃の藪山です。標どころか道さえない山がほとんどです。奥美濃の盟主能郷白山でさえ何もありません。「自己責任で好きなように登って下さい」と山が言ってくれているようです。そんな、人に媚びることのない山が大好きです。
 一時期、北アルプスや鈴鹿にも足を運びましたが、また奥美濃に戻ってきました。「標なき山」は名前や三角点など無くても、やはり「山」としての矜持をもっています。それがあるのが奥美濃です。
「標なき山」。いいことばだと思いました。こんど、わたしのヤマレコ日記にも使わせて頂きたいと思います。
登録日: 2015/6/27
投稿数: 72
2019/3/20 3:40
 RE: 標なき山
maasuke1さん、コメントありがとうございます。

タイトルよければ、どうぞ使って下さい。

明日、指導標を立てに行く予定です。標なき山を歩いてるのに標を立てに行くとは不可解でしょう。

ボランティアで整備をしていて、迷った間違ったとのレコが多い峠に標を立てに行きます。

ハイカーに多く来てもらい地域おこしをするのに、分かりずらいと初心者や高齢者は来なくなりますからね。

私も万年初級者で、子供の頃のような崖登りは今は出来ません。基本は誰もいない静かな里山をひとりで、いろんなことを考えながらゆっくり歩いているのが好きです。

百名山踏破とかエベレスト登頂とか、目標もこだわりもありません。ただ、ひとり山にいるだけで落ち着くから行くだけです。ついでに、少しでもみなさんのお役にたてればとのことでボランティアもしてますという感じです。

人の価値観や嗜好は無数で、どれも尊重されるべきものだと思います。だから、その人がその人に合った山に遊ばせてもらえればいいと思っています。

なに言ってんの?という文章になってしまいましたが、楽しく生きて悔いなく死にたいものです。

akiyamasanpo


ページの先頭へ