車窓からカモシカ

2012年04月29日 02:49野生動物全体に公開

車窓といっても乗合いバスなんですが、ＧＷ直前、高山から松本までバスの旅に出ました。
そのバスの車窓から合計５頭のカモシカを確認したのです。私は専ら中国山地西部をテリトリーとしているのですが、
残念ながらその中国山地にカモシカは棲んでいません。四国と九州は僅かながら棲息が確認されている程度で、彼らに遭遇することは非常に困難。西日本（近畿を除く）ではまさに絶滅危惧に
さらされた天然記念物というイメージなんですが、
近畿以東では状況が違った。

昨年白骨温泉に泊まった際、旅館の御主人がカモシカは日常的に会っていると話してくれました。
①高山から平湯行きの車窓から飛騨鍾乳洞入口付近の民家の畑にまるで家畜のように立っているカモシカを発見。
②その先の平湯トンネルを通過し平湯へ降る高架橋の橋脚基部に立ち車を眺めている。
③親子滝から乗鞍高原経由白骨温泉行きに乗換える。蛭窪トンネル手前の道路山側斜面に張り付いていた。バスとカモシカの距離は僅か3ｍであったが全く逃げなかった。お互い近過ぎて目が合った。
④白骨温泉から上高地行き、昨年泊まった丸永旅館から登ったところの道路工事現場付近の笹原にじっと立って動かない。
⑤上高地から新島々行きバス。奈川渡ダムの下流、梓川対岸の河岸段丘の草原で無心に下草を食べている。対岸の道路はバス、トラックが多く通行しているが全く関心ない様子。

　これらのカモシカは全てバスの車窓から見つけたものです。ただ私は注意深く森や道路脇の動物を車窓から探していたので解ったのです。関心のない人は全く気付かないでしょう。えっ　どこどこ～？　って感じです

今やカモシカは
里山や海岸線近くにも現れる。そして懸念される点は彼らの森林への食害です。
森林の食害の内訳は一位がシカ、二位はツキノワグマ、三位がカモシカとなっています。圧倒的にシカの食害が多いのですが、其々棲息地が異なるため
局地的にカモシカが一位のエリアもあります。
本来険しい山岳地に棲んでいた彼ら。
絶滅危惧から天然記念物となり手厚い保護を受け頭数は確実に増えた。シカと違い単独行動をとり広いナワバリをテリトリーとする習性の為、頭数が増えれば彼らの棲息エリアは里山へも拡大せざるをえないのでしょうか。

そんな感じで今回、労せずに彼らに会えたのは驚きでした。なにより
出生率が３割という彼らの低い繁殖能力を考えるとただ単に天然記念物に指定されたことよりも彼らの生命力の強さに感銘を受けました。