〈・・・上高地に、孤独で原始的な暮らしを頑固に守りつづけながら、六十余年間を釣師と猟師の生活に身をゆだねて、
・・・
上高地が根雪におおわれるころになると、谷のカモシカやクマを追いかけまわし、
・・・・
谷のミズナラやシラカバが芽を鮮美にふき始めるころになると、梓川のイワナ釣りに早くも身変りした
・・・
明治28年(1893年)の夏のある日、ウエストンがたまたま島々に現れた。
・・・・
一猟師は目がさめたとき、つまり天下の名ガイドになっていたのだ〉[本文より]
槍や穂高を何度か体験した人ならば、嘉門次爺ッさが案内人として歩んだ岩や沢を、
「あそこか!」
「そんなふうにしたのか」
「あそこで寝たのか」
と思い出したり、想像したりして味わう事が出来た事でしょう。
私は残念ながら槍や穂高を足や手で味わった事がありません。
通勤の乗り物の中なので、地図を広げる事も出来ず、空想だけで味わいました。
先日、葛城山でハチに悩まされた時、
嘉門次がハチに襲われダンスをしていたのをいぶかしんだウエストン、すぐに自分
も襲われダンスをするはめになったこと等を思い出したりしました。
『アルプスの主 嘉門次』
著者 佐藤 貢(みつぎ)
(明治37年長野県うまれ)
昭和38年6月20日 第一刷発行
朝日新聞社
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