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展覧会の紹介文（趣旨）は、以下です。
甘く憂いを秘めた女性像で大衆に絶大な人気を誇った画家、東郷青児（1897-1978年）。陶器のようになめらかな絵肌と、モダンな装飾性をまとったいわゆる「青児美人」は、昭和の美のアイコンとして、絵画のみならず装丁やデザインの分野においても一世を風靡しました。
生誕120年を記念して開催される本展では、「青児美人」の確立に至るプロセスを中心に、代表作はもとより、これまで公開される機会の少なかった希少作や異色作までを網羅してご紹介します。日本最初期の前衛画家としての衝撃的デビュー、西洋美術の古典から最新動向までを吸収したフランス留学期。帰国後は二科会の先鋒を担いつつ活動の舞台を広げ、戦後は強力なリーダーとして同会を牽引。幅広い交友関係をもち、私生活では恋多き男としても知られました。
時代の空気を鋭敏に感知し、大衆に理解され愛される芸術を追求してやまなかった東郷青児の多彩で華々しい画家人生を、本展では約60点の作品に写真や出版物などの資料をあわせて振り返りながら、その比類ない女性像の魅力にあらためて迫ります。
以上、「東郷青児（1897-1978年）」展（夢と現の女たち）の紹介文ですが、広島会場（ふくやま美術館／2017年7月〜9月）、東京会場（東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館／2017年9月〜11月）、福岡会場（久留米市美術館／2017年11月〜2018年2月）を経ての展覧であることもあって、「没40年」ではなく「生誕120年」の回顧展となっていました。（少なくとも出展数において中核をなすのは）東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館と損保ジャパン日本興亜の所蔵品、それに生誕地である鹿児島県鹿児島市内の美術館所蔵品でした。東郷青児と藤田嗣治の競作壁画（油彩、キャンヴァス）、付随的に同行展示されていたマルク・シャガールの作品（リトグラフ、紙）が大きな目当てで、多くは求めていなかったものの、あえて一言。東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館の所蔵品、「ひまわり」（ゴッホ）、「アリスカンの並木道、アルル」（ゴーギャン）、「りんごとナプキン」（セザンヌ）、一点でも、巡回に同行して頂きたかった。複製画でも展覧されていると嬉しいとして、本命は、やっぱり？
これは、「日記」というよりも「メモ」に近いが、印象的だったものをリストアップさせて頂こう。見直すこともない「メモ」である。東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館（以下、東郷記念）と損保ジャパン日本興亜（以下、損ジャ日興）など出展数の多いところは、印象を薄めバランスを図っているかも。造詣の浅さ故、見た目に加えて、作品名なども印象に影響する鑑賞記録。参考未満で宜しくお願いします。
※●は、東郷記念、損ジャ日興の東郷青児の作品
※〇は、上記以外の東郷青児の作品
※◎は、東郷青児以外の作品（共作など含む）
〇パラソルさせる女（1915年/陽山美術館【鹿児島市】）
〇彼女のすべて（1921年/鹿児島市立美術館）
〇パリの女（1921年/鹿児島市立美術館）
〇サルタンバンク（1926年/東京国立近代美術館）
〇樹下美術館（1928年/個人蔵？）
●窓（1929年/東郷記念）
●超現実派の散歩（1929年/東郷記念）
〇手術室（1930年/大分県立美術館）
●静物（ゆりの花）（1930年/損ジャ日興）
〇扇（1934年/久留米市美術館）
〇テニスコート（1934年/長島美術館【鹿児島市】）
〇聖道女（1935年/高松市美術館）
〇テラス（1935年/広島県立美術館）
◎海の幸（1936年/個人蔵？/藤田嗣治）
〇山の幸（1936年/シェラトン都ホテル大阪）
◎海山の幸（1930年代/個人蔵？）
〇花を摘む女（むすめ）達（1937年/三木美術館【姫路市】）
●舞（1938年/損ジャ日興）
●紫（1939年/損ジャ日興）
〇星座の女（1944年/ふくやま美術館【福山市】）
〇裸婦（1952年/INAXライブミュージアム【常滑市】）
〇平和と団結（1952年/朝日新聞社）
●バイオレット1952年/損ジャ日興）
●渇（1953年/東郷記念）
●四重奏（1955年/損ジャ日興）
●バレリーナ（1957年/東郷記念）
●望郷（1959年/東郷記念）
●レダ（1968年/東郷記念）
●若い日の思い出（1968年/東郷記念）
◎よく見る夢（1969年/東郷記念/マルク・シャガール）
→ 「窓」「超現実派の散歩」（1929年）、「静物（ゆりの花）」（1930年）は、心中事件を起こした頃の作品。その影響（するところ）は解らないがなんとも魅力的。竹久夢二の妻たまき、梶井基次郎との噂もあった宇野千代など、数多の「噂以上」の関係は「現代」の「噂以上」がチャンバラ遊びに見えてくるほど「スキャンダラス」です。
→ 「裸婦」（1952年）はモザイクタイル画であるが、同じものが実際の大衆浴場を装飾していたとか。これ以外にも伊奈製陶（など）との連携で多くの浴場で東郷青児の作品を鑑賞できたという説明もあったと思います。「裸婦」は男湯にあったのか？それとも、女湯にあったのか？名古屋市の丸栄百貨店にあるエレベーター扉絵にも、東郷青児による絵が観れます（ました）が、近々に控える再開発、建て替えを経てその運命やいかに？
数えてみると、〇が15点、●が12点、◎が3点。画業の後半生、損保ジャパン日本興亜の怒涛の巻き返しがあるも、〇が辛くも逃げ切った。ただ、◎の取り扱い方、個人蔵の所蔵先次第では、（また、常滑市が東西なら東と考えれば、）「西」より「東」が優勢かも。損保ジャパン日本興亜の「横綱」一人というのは少し残念かな。東京制覇や全国制覇を夢見て？鹿児島から九州全土へ、さらに東へと活躍の場を拡げていったんでしょうね。
絵画以外にも、以下のような興味深い資料展示がありました。
・東郷青児デザイン、カルピス「巾着」（1930年/東郷記念/印刷、布）
→ ポスター制作を請け負った実績などもあるカルピス（創業者の三島海雲）の依頼による非売品の販促物だろうか？三島の名付け親の一人は、早くから東郷青児と親交のあった山田耕筰。そんな縁が（を）繋げた作品だろうか？名菓「モンブラン」発祥の地とされる自由が丘（東京都目黒区）の洋菓子店「MONT-BLANC（モンブラン）」では東郷青児の絵画が内装を飾る。「モンブラン」「タカセ」「アルプス」（以上、東京）や「フランセ」（横浜）などの洋菓子店のパッケージデザイン（包装紙、紙袋等）に広く採用されている（いた）ようですね。
・二連絵葉書（「京都丸物六階大食堂壁画 海の幸 作者藤田嗣治」「京都丸物六階大食堂壁画 山の幸 作者 東郷青児」/1936年印刷）
→ 藤田も東郷も、高島屋の依頼で水着のデザインなどにも携わったようだ。
→ 同様、百貨店関連の絵画で、「婦人像（屋上塔）」（製作年不詳／個人蔵？）が、京都の百貨店、丸物京都（プラッツ近鉄）は2007年の閉館時に紙袋として（復刻）デザインされたので、ご記憶の方もおられるでしょうか。
→ 同様、花を摘む女（むすめ）達（1937年/三木美術館【姫路市】）も百貨店の装飾壁画であった作品。
・東郷青児装丁、谷崎潤一郎『まんじ』（1946年12月1日／新生社刊／東郷記念）
→ L字の女体4体により卍をかたどった「人文字」デザイン。見たことあるような、ないような。インパクトあるので過去に遡って記憶に定着しているのでしょうか。
・東郷青児写真・構成「別冊アトリエ 風景の中のヌード」第42号（1958年）
→ 表紙だけ、モノクロームなのに、どうしようもなく印象に残る。「未鑑賞」ですが「サンタフェ」（1991年／篠山紀信）と同様に？「鑑賞時」、隣に可愛らしい感じの女性と予期せず隣り合い、（顔も見ていないのに）気まずさも会い絡まって余計にですね。モデルにもなってる浜村美智子を描いた作品「浜村美智子」（1958年／鉛筆・水彩、紙／東郷記念）もありました。
鏡をあしらった広告パネル、横長の幕広告にも採用された「望郷」、フォトスポットの前面（中心）に採用された「バイオレット」、幕広告とフォトスポット（背景部分）に採用された「若い日の思い出」などは今回の展示の「広告塔」であり、ポピュラーな作品であったとも言えるでしょうか。
それにしても、「若い日の思い出」は、東郷青児が70歳頃の作品、そして東郷が所有した「よく見る夢」（マルク・シャガール）は、シャガールが80歳を超えてからの作品。唯々、技術やハートに感嘆。
さて、2018年4月1日より、三菱東京UFJ銀行が三菱UFJ銀行に名称変更しました。これは、エイプリールフールなニュースではなく事実。損保ジャパン日本興亜や損保ジャパン日本興亜ひまわり生命は名称変更なしでしたが、（社内で）エイプリールフールな馬鹿な風説も流布されたのでしょうか？今日から社名変更！ひまわりがいいじょう火災保険や、みなきゃそんじゃひまわり生命！！とか。さてどうかな？
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