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私は理系でないから、その「達成感」がよく理解できないが、レシピを見て、ガトー・ショコラを完璧に作り上げた時の達成感のようなものだ、とその人は例を挙げていた。
登山も頂上を極める事で「達成感」があるのは確かだ。その意味で、数学の問題を解くことに似ている、とは思う。
しかしながら、登山の場合、山頂は「中間点」にすぎない。
本当の登山は「下山」から始まるのだ。無事に登山口にたどり着き、そこからさらに自動車を運転して、事故を起こさずに、家まで帰って、パソコンに向かうまでが、本当の「試練」である。
数学の問題であれば「正解を見つけたが、さあ、そこからどうする」という事である。数学の正解も「中間点」だと思うのである。
正解に至れば、さらに難しい課題に挑戦するか?
それとも、何回もそのプロセスを繰り返すか?
あるいは、それで満足してしまい、もうやめるか、しかない。
登山の場合、山頂から下山を開始し、元の標高まで戻るときに、足を滑らせて滑落してしまう人、道に迷ってしまう人も多い。「油断」が生まれるから。
本当に難しいのは、登った山を下りる時だ。それは、昔、穂高岳山荘の故・宮田八郎さんのブログを通じて学んだことだ。
https://bochiiko8.blog.fc2.com/blog-entry-586.html
「ま……下りが一番難しいってこともきっとこれから学ぶと思う。人生という山を無事に下りるという生命の重さや……難しさも……」
この一文の意味を、だんだん感じられる年齢になってきた。