去年の夏本を終えた感想文で、一度上げたものの消したヤツが出てきたので、一応載せなおす。
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さて、これ以上ない形で夏本番を終え、OBのお宅にお邪魔してこの日記を書いている今、もはやすでに頭は積雪期の知床に囚われているが、夏本を終えて感じたものを記そうと試みる。
プレを4つ、歩荷山行を2つ超えて入山した本番が、非常に天気に恵まれ、停滞を1つ消費するのみで完遂された。なんとも幸運に恵まれた非常な素晴らしい山行であった。構想、審議から協力してくれた先輩方、さらに現地で協力いただいたOBの方には、心から感謝を述べさせて頂きます。
深沢川、浜益御殿乗越、湯内川、積丹岬、2回の羊蹄山を経て、また初の沢登りを経験して、そして今回本番を完遂して、登山に対する思い入れは一層深まった。そもそも、パウダースキーに憧れて入ったはずの部活で、いつの間にか私は純粋に登山を求め始めている。確かに、積雪期の山に早くも恋い焦がれ始めているが、それさえすでにスキー目当てではなく、長期の縦走によってピークを踏み倒したい思いが強い。プレでピークを踏んだのは浜益御殿だけであるのにも関わらず。何故なるかな、私にもわからないが、確かに今言えることは、この本番山行によって、私の登山観は不可逆的に変わってしまった。沢に登ることで、より自然を身近に感じられることや、また山域問わず様々な山行の記録を読むことで何か変化があったのかもしれない。
また、同様に知床という山域に魅せられてしまっている。山、沼、海岸、海と、あらゆる自然が揃っており、藪漕ぎ、巨岩の海岸歩きなど人跡未踏な場所が多い。また、世界自然遺産に登録されるように、ヒグマ、エゾジカ、キツネ、オジロワシ、カモメ、ツバメといった動物たちが、事前に限りなく近い状態で私達に接してくれる。植生も豊かで、所々なテン場で美しい風景が現れる。また、春、羅臼岳に海別岳と敗退した苦い記録もあり、知床連山に大きな憧れも抱いている。こと沢登りにおいては、人工物を目にすることなく、山から海へ、海から山へ移動できる。これは知床でしか体験し得ないことだ。
知床に魅せられたことにより、もう一つ、より辛く難しい山行を求める志向が芽生えてきている。山行における喜びとは、私にとって、ピークやランドマークを踏んだときや非常に美しい風景を自然が見せてくれたときで、それはやはり知床のような未踏の地では、藪漕ぎや海岸トレッキングを超えなければ手に入れることはないのだ。BCスキーにおいても、雪の尾根を乗り越えて初めて最高の斜面に辿り着ける。辛さを乗り越えて喜びを得ることができるなら、その辛さは楽しみと言えるだろう。山行の楽しみとは、その辛さのことだと考える。実際、今回の本番でのウルトラハイマツの藪漕ぎは知床岳のピークについた瞬間には素晴らしい思い出と変わっていた。ある一年目の藪漕ぎ愛好家は、ある意味では正しい登山家の在り方だと、今では思っている。
山に登るというのはどういう意味を持つ行為なのか、人は何を求めて山に登るのか、その答えの一端が垣間見えた、そんな山行だったように思える。登山家の、スキーヤーの卵として、山スキー部の上級生としての2年間をどうやって過ごすのか、後輩に伝えられる何かを得られるのか、この半年で探していきたい。
精神、肉体両面で素晴らしい山行だった。
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