私の山行記録（2021）

2021年12月25日 02:09備忘録全体に公開

　森林は、地球温暖化防止の役割を担うのみならず、土砂崩れなどの災害防止や、「緑のダム」と呼ばれる通り降水を貯留、河川の水量を平準化・流量維持など、多くの機能を有しています。そして、私達は広い範囲でこの森林の恩恵を受けて生活しています。よって、適切な森林整備の促進は、私達の暮らしを守ることに繋がる重要な施策であると言えます。
　しかしながら、日本の森林所有は小規模かつ分散的で、長期にわたる林業の低迷や森林所有者の世代交代等によって、森林の管理が適切に行われない事象や伐採後に植林がされないという事態が多く発生しています。また、所有者が不明な森林や境界が分らない森林も増加し、更に森林整備の担い手不足も加わり大きな課題となっています。
　このような状況の下、平成30(2018)年5月に成立した「森林経営管理法」を踏まえて、パリ協定の枠組みに則った温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する目的で、平成31(2019)年3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立しました。

　「森林環境税」は、令和6(2024)年度から個人住民税均等割（※ 所得の多少に関わらず当該自治体に住所を置く人が一律に納めなければならない住民税）の枠組みを用いて、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収することになっています。なお、これは令和5（2023）年度で終了する「復興特別税」と同額での衣替え（納税科目変更）となります。しかしながら、森林の整備や担い手の育成は、喫緊の課題であることから「森林環境税」が施行されるまでの空白期間を補うべく「森林環境譲与税」が令和元（2019）年度から市区町村および都道府県に対して交付されています。また、同年度より「森林経営管理法」が施行され、予算に加え実効性も担保されることとなりました。
　以下に、「森林環境譲与税」および「森林経営管理法」の画期的な法令内容をご紹介します。

「森林環境譲与税」「森林環境税」
〇資金使途が限定されている（市区町村では、森林の間伐や林業従事者の育成、木材の利用促進。都道府県では、森林整備を行う市区町村の支援)。
〇市区町村の森林環境譲与税の使途について、HPなどでの公表を義務化。

「森林経営管理法」
〇森林の所有者による森林整備の義務化。
〇諸事情によって森林所有者による森林整備が困難な場合は、市区町村が代わってそれを行わなければならない。
〇所有者不明の森林等を市区町村が整備を代行する際の大幅な手続き簡略化。

※以下より、令和6年度から施行される「森林環境税」についても「森林環境譲与税」として説明します。

　以上のような法令によって、これまで十分に手入れが行われてこなかった山間部の森林整備が進展し、災害防止や水源涵養機能の向上が図られることが期待されるほか、都市部の行政が山間部で生産された木材を利用するなどして、林業全般の振興につながることも期待されています。

　一方で、「森林環境譲与税」の市区町村への配分は、「森林面積50％」、「人口30％」、「林業就業者数20％」の比率によって行われることとなっているのですが、その結果、都市部と山間部において税の配分のミスマッチが発生しています。
　例えば、私が住んでいる埼玉県の場合、森林面積が最も広く森林整備費用や林業従事者の育成費用が最も必要なのは秩父市（人口約６万人、総面積57,783ha、森林面積50,204ha 森林率87％）なのですが、最も多くの交付を受けているのは、都市部のさいたま市（人口130万人以上、総面積21,740 ha 森林面積461ha 森林率2.12％）となっています。【令和２年度交付額秩父市：約58百万円、さいたま市：103百万円】
　法令の趣旨としては、都市部で山間部原産の木材を使用することによって、間接的に山間部の森林整備が促進されるという循環を目指しているところですが、さいたま市における令和２年度の森林譲与税の資金使途を見てみると、約8割の79百万円が使われること無く基金に積み立てられました（※ 森林環境譲与税は、使用目的が決定するまでの間、基金に積み立てることができる）。このように、資金が必要な山間部では一向に森林整備が進まず、資金使途の無い都市部では使えないお金がどんどん積み立てられていくという矛盾が生じているのです。因みに私が居住している小江戸川越においても、約13百万円の交付に対して基金への積み立てが10百万円、市営保育園や学童保育室の木製品が2百万、市民農園の木製ベンチが0.8百万円というトホホな使い道でした。

　飯能市から荒川に繋がる入間川、越生町から同じく荒川に繋がる越辺川等々を含め、秩父市を源流とする荒川水系は、東京都の中央区を通って東京湾へと流れています。極端なことを言えば、荒川流域の市区町は埼玉県の山間部の森林整備が進むことで洪水のリスクを軽減させる恩恵を受けています。そして、都市部で使い道の無い森林譲与税を山間部の森林整備や林業従事者育成のために使えるとしたら、都市部の治水に役立つ素晴らしいことだと思うのです。
　上記のような考えのもと、荒川流域の東京都豊島区は、４百万円で秩父市から森林を借受け、それを整備して「としまの森」という環境教育の場を創出しました。また、埼玉県で最も多くの交付を受けているさいたま市の主導で、埼玉県と荒川流域市区町を巻き込んだ検討会を発足し、山間部の森林整備への効果的な資金環流等について意見交換を開始したとのことで、少しづつ良い方向に動き始めているようです。何れにしても、都市部と山間部が互いに協力し、私達の血税が適切に森林整備（地山・治水）に活かされ、しいては国土保全に役立つのなら、本当に素晴らしいことです。

　以上、ややこしい話題でしたが、山を愛する方々と課題を共有したいという思いと、自身の記憶整理の目的で記しました。

　さて、2021年は計35回の山行となりました。以下に備忘録として山行記録を羅列します。ご興味があればご覧ください。

1月1日　茶臼山毘沙門山　日光への家族旅行