ちょうど今頃の季節、頚城の火打山の山頂で、黄色のセパレート雨具を着た20代後半?の女性に、声をかけられました。
私は、東京からの日帰り登山。ハクサンコザクラと北アの展望を楽しみに、午前3時すぎに家を発って、11時前にようやく火打山の山頂に登りついたところでした。
細かい雨粒が降りかかり、ガスで視界はなし。
雨具も、顔も、風にあたっているだけでびっしょり濡れてきました。登り上がってきて、温かかった体も、風にあたるとすぐに冷えてきてしまいました。
そこで、山頂にいた女性に、山頂の標識を入れた記念写真を1枚、シャッターを押してもらったのでした。
そのお礼を言ったところで、先の彼女の一言。
「ええっ!? そんなことを山で言われたのは、初めてですよ。」
聞けば、山頂の一角に体を横たえて風をしのぎ、視界の回復を待っていたのだといいます。
「そこに横になって、いっしょに待ってもらえませんか? 今朝早くには、途中で北アルプスも見えていたんですよ。」
彼女が指したのは、小さな薄いビニルシートが敷かれた、傾斜したザレ地でした。
私の頭の中では、この火打山山頂から、東京までの、長い帰路がぐるぐる回っていました。急いで上がってきたので、帰りは花の撮影もしなければ・・・。途中、追い抜いてきたパーティーももうすぐ上がってくるし。
「無慈悲でしょうが、夕べは3時間少ししか眠っていなくて、帰りの運転が心配なんです。下で花の撮影もしたいし、降りちゃいますね。後からすぐに何パーティーか登ってきますから」
ぺこりと、頭を下げて、ガスが舞う火打山の山頂を後にしてきました。
彼女はあのあと、どうしたろうか? そういえば、リュックが見当たらなかったけれど、ハイマツの陰にでも置いたのか? 山小屋にデポして空身で登ってきたのか? 心細かったかもしれない。いっしょに話でも聞いてあげれば良かったのか・・・。そもそも、あんな山頂で1人で待つというのは、大丈夫だったのか?
幸い、天候はそれ以上は悪化しなかったけれど、笹ヶ峰への泥田のようなの道々、足はいいピッチで動いたが、頭の中は山頂での予想外の出来事に占領されっぱなしでした。
1999年の夏のことです。
http://trace.kinokoyama.net/josinetu/hiutiyama99.7.htm
(笹ヶ峰で車内で1時間仮眠して、夕暮れに東京着。)
私も2年前の利尻で体験しました。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-28333.html
tanigawaさん、後日談はないのですか ?
例えば、山頂の標識が写っていなかったとか、あとから来たパーティーのだれもその人に会っていないとか・・・。
怖さ倍増ですね。
蒸し暑い夏にぴったりの話題です。
(熊より怖い !?)
wakaさんのケースの方が、不思議さが深いですね。誰も下山してくるのに、すれちがわないなんて。
利尻岳は、いまも旅やキャンプの人気の場所ですから、ハイカーの割合が多いですよね。
その割に、滑落する場所があるし、雪渓が残るルートもあるし、夜の気温低下も大きいですから。
こういうことがあると、その人の表情もふくめて、ずっと忘れられません。
sirotenguさん、「後日談はないのですか ?」 と来ましたが、情報は山頂の場の限りで、あとは何もわかりません。
あの人は、山靴をはいていたし、雨具もゴアテックスと標準的だったので、それに足もちゃんとあったので、私の寝不足からくる夢見事ではなかったと思います。
ただ、会話は、言われた私の受け止めからすると、意外で、ちょっと戸惑いました。
もう少し、時間に余裕があり、あの人の話を聞いてあげれば、後の心残りはなかったのかもしれません。
たとえば、快晴の山頂だったら、北アの山々をずっと同定してあげたりとか・・・。
霧と雨は、山の出来事を摩訶不思議にしてしまうのかもしれません。
コメントありがとうございます。
長く山に登っているベテランの方々は、多少なりとも、このような不思議でちょっと怖い経験があるのでしょうね。
その2以降の続編を期待してます。
tanigawaさん、こんばんは。
私も一度だけ不思議な体験があります。
劔岳の早月尾根を馬場島に下山する途中、進行方向の木の上に若い人が登って下山する私の方を見ていました。
何をやっているのかは判りませんが、下を通過するときに挨拶しようと思って下っていきました。
しかし、登山道は目算した方向とは違う方向に降りていき、周りをキョロキョロしましたが、それらしき木は見つかりませんでした。
その後、木の根で滑って転倒して嫌というほど尾てい骨をぶつけて、そんなことはすっかり忘れてヘロヘロで下山しました。
MATSUさんへ
それは、かなり不思議ですね。場所も場所ですから、条件がそろいすぎ。だいたい、人が木に登るような場所ではないですよね。
実際にその若い人がいたとして、何をやっていたのか、なかなか理由が想像できません。
ちょっと話が進展しますが、私は、霊とか、現実離れした現象は、まったくありえないという考えの人間です。幽霊ももちろん信じないし。
そうであるからこそ、山で、いろいろな不可解なことに遭うと、結局、一番不可解なのは、自分も属する「人間」の行動や想像ではないか、と思ったりします。
ところで、アクセスランキングを追う私から見ると、7月の短期間のMATSUさんの期間アクセス数は、ダントツの新記録、超突風ですね。
sirotenguさんへ
>その2以降の続編を期待してます。
実は、その2はまだ何を書こうか決めてないんですが、ずっと現実に即した話になるかもしれません。
sirotenguさんは、良い山、自然いっぱいのフィールドに囲まれて、うらやましいです。
山の記録、東北のものは、いつもしっかり見ています。今後ともよろしくお願いいたします。
こんにちは。
山に足繁く通われている方は大抵似たような体験をお持ちのようですね。
私は白昼、快晴の六甲山中で和服姿の女性にお会いしたことがあります
事後にあらゆる「論理」を総動員して「解釈=説明」しようと試みましたが、やはり無駄でした(笑)。
こういう事は、たまたま山中で起こった事なので記憶に残るだけで、おそらく日常茶飯の生活でも気づかないまま遭遇していると考える方が自然ですね。
最近は、おっしゃる通り、人間は不可解、不確定な存在だと納得する方が、はるかに生き易いと思うこの頃です(笑)。
pokopenさん、「白昼、快晴の六甲山中で和服姿の女性にお会いした 」ですって?? 有馬温泉あたりからどこかの登山口にタクシーで乗り付けたのかも?
六甲といっても、どうやってここまで? なぜ? と、頭はずっとそのことに支配されちゃいますね。
やっぱり、ますます、人間て不思議だなあ、と思います。
tanigawaさん、おはようございます。
たしかに不思議な体験ですね。
怖い話は聞くのもするのも好きですが、私もtanigawaさんと一緒で、霊の存在は信じていません。どれだけ不思議な現象であっても、現実のこととして説明がつくものだと思っています。
そういえば、私も若い頃、六甲山中でテント泊していて、(その日はザーザーと雨が降っていたのですが)夜中にテントのすぐ近くで、美しいソプラノで歌う女の声を聴いたことがあります。そのときテントにいた4人全員がその声を聴きました。もちろん、その河原にはわれわれのテントだけ。近くには道路も家もありません。歌声はすぐ消えましたが、かなりゾッとしました。
けれど、あれも幽霊なのではなく、本物の(!)人間なんでしょうね。そのほうがもっと不思議なことですが。
donburiさんへ
六甲山中で2例めの不思議体験ですね。
山といっても、やはり人間くさい空間ということでしょうね。
それと、タフな縦走登山が続けられてきた山域ですから、夜間でも行動する人たちがいるのかもしれません。私も、日が出る前、日没後の山での行動は、好きです。
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