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更新日:2016年08月18日 訪問者数:6214
ジャンル共通 技術・知識
明神岳南西尾根からザックが谷底に堕ちて消えた💦時の対応(単独)
jyunntarou
もう直ぐ5峰下テン場なのに…やせ尾根からザックが谷底へ滑落(/ω\)
おおっ、やっと明神岳の4峰と5峰が見えてきました(^^)/
上高地を13時過ぎに出て、22kgのザックを担いでひぃひぃーって、この南西尾根を這い上がって来ました。かなりの斜度ですし、オマケに風も無く暑い?暑い?
上高地が小さく見えます(^^)/
ふぅ。登って来たなぁ。うん?河童橋も 見えるぞ!
ずっと森林地帯を上り詰めていましたので
ナイス!ビュー(^^)/ に感激です。
ココから、岩稜地帯が始まります。
ココから岩稜地帯のやせ尾根に変わります。
トラロープなどフィックスが続きます。登りではそないに必要性は感じられませんでしたが、下りでは要ると思います。結構ナイフリッジなやせ尾根も通過します。
ごろりんと・・・最後はバウンドしながら消えました?
上高地が下に見える標高2450m辺りのやせ尾根の少し上で、ザックを下ろして休憩中に・・・ザックがゆっくりと動きだし、え?っと 思った瞬間に加速がついてハイマツのブッシュを突破して、勢いよく転がり始めました。最後はバウンドしながら深い谷底へ消えていきました?。
水・食糧・テント・シュラフ・・・生きて行かなければならない全てを失った時どうするか?
「あ・あ・あ エライ勢いでザックていうのは堕ちて行くんやなぁ・・・」と傍観していた自分がいました。
慌てて、それを追ってしまうと、あの急斜面ですから自分も同じようにゴロンゴロンとバウンドして滑落を招いてしまいます。
「おおっ。貴重品を入れているいつもの赤ポシェットは、別の場所にちょこんとあるなぁ・・・良かった」

で、ココは標高2450mの?峰の台地の下のハイマツとダケカンバが混じった森林限界に近いやせ尾根かぁ。
あの勢いだとかなり下の谷底まで、堕ちてもたなぁ・・・この谷どこまでフリーで降りれるんやろ?
懸垂下降して探すかぁ? (あっ、ロープやハーネス登攀具は全てザックの中・・・食糧にテントに水も生きて行く全てが入っています。)
っていう事は、このハイマツの急斜面をクライムダウンしてザック捜索ってこと?
時刻は午後5時半を回ってるけど・・・日没までに探し出せるかぁ?

あっ、赤ポシェットには予備のヘッデンがある(^^)/
暗くなるまで探し続けえて、後はビバーク? 着ているTシャツはファイントラックの薄手の長袖一枚と首と頭に巻いているタオル。まぁ、下は結構厚手のこれまたファイントラックのタイツに水着のサーファーパンツ。
この標高で、一夜を明かせるかどうか?食糧はまぁええとして水が無いのが辛いなぁ・・・
単独のバリエーションとは、登攀・技術・体力の他に「耐力」が必要ですね。
フィジカル面も勿論外せませんが、意外とメンタリティーの必要性を強く感じます。忍耐や根性とかも大事ですが、悲惨な状況に追い込まれた時に「はぁ・・・?・・どないしますぅ?(笑)」的なある意味、開き直りが必要だと思います。
90m程クライムダウンしたけれどザックは見つかりません・・・。しかもそこから垂直の十数mの崖になっておりクライムダウンは不可能でした。
しかし、その崖の下は意外と平地になっていまして、デカい倒木が×みたいに倒れて居まして、「アレは、流石に乗り越えて下まで堕ちないやろう・・・」
そう判断して、堕ちた地点からこの崖っぷちまでのハイマツの激急斜面を捜索しましたが、見つかりません。
赤ポシェットを置いている南西尾根まで何の手がかりも無く、帰ってきてしまいました。
空身で上高地へ降りるか?日没までザックを捜索するかの選択を迫られました。
上高地に降りるか? 3〜4時間で着くでしょう。空身ですしね・・・。しかし、あきらめきれない自分もまたそこに居ます。

チョット休むかぁ。焦ったらあかんって。まだ陽が落ちるには1時間と少しあるし…。
あれだけ重たいザックやから真ん中を狙って堕ちて行ったはず。
今度は、ハイマツのブッシュを嫌がらずにど真ん中を真っ直ぐに降りてみよう。

とにかく、堕ちた地点から谷のど真ん中をどんなにハイマツに邪魔されようとクライムダウンをしていきました。すると、ザックの外付けにしていた100均で買った銀の尻敷マットが見つかりました(^^)/
「おおー、やっぱりど真ん中のココを通って堕ちて行ったんや!」
しばらく一直線に降りていますと、3m程度の段差に飛び出しました。飛び降りるのに微妙な高さです。
しかし、スリングもザックの中・・・

救いは、標高が下がって来ていますの、でここら辺りのハイマツは、結構背が高いのです。その長いハイマツの枝の先っぽを掴んだら、1m位は、降りることができました。後2mですが、身長と腕の長さを足すと、段差までそないに有りませんので、えいやっとそこから落ちました(っと言っても数十?ですがっ)

段差の下は、また背の高いハイマツが生え茂っています。しかしダケカンバが多くなってきました。時々そのダケカンバにもたれては休んで、ゆっくりと降りて行きますとまた1m位の段差がありました。
その段差をよく見ると・・・その奥に光っているものが見えました。はい、ザックの外付けに付けていたテントの中に敷く390円の銀マットでした。
急いでその段差を降りると、外付けにしていたロープが木の枯れ枝に巻きついて、ザックを辛うじて止めてくれていました。もう数十m下は、あの絶壁でした?
しばらく、呆然としてその場にへなへな・・・と座り込んでしまいました。
やっと見つけたザックなのに・・・新たな試練がっ!!
しかし、そのザック発見もつかの間の喜びでした。
大きなザックを担ぐと、ハイマツの生い茂った急斜面がザックに引っかかって通り抜けできないのです。
僅か1mの段差さえくぐり抜ける事ができないのです?

またまた 試練です。 
「まぁ、ええかぁ? ザックがあると言うことは水たっぷりありますしパンも行動食もある。おまけにシュラフさえも。この斜面でもビバークもできるしなぁ・・・ハイマツの枝をアンカーにして落ちないようにしたら眠るのも可能やし・・・」
ふっ、ポカリを飲みましょう。がぶがぶがぶ。ごっくんごっくん。

陽は傾いてきています。

と、その時に そうや・・・・こういう沢詰めでブッシュに詰まったら尾根に逃げていたやん!。
さっきの崖っぷちまで行くと、右手のガリーにはハイマツは生えていなかった・・・
そして、その上の支尾根にはダケカンバが生えていた。

何も登ることばかり考えても仕方がない。降りよう・・・
そして、その崖っぷちまで何とかデカいザックを背負ってハイマツのブッシュを降りて行けました。
狙った通りにガリーを登り、ダケカンバの根っこを掘り出して支尾根に上がれました(^^)/。
その支尾根は、ハイマツが生えておりませんので、ダケカンバの幹やら他の草付をして、やっとこさ赤ポシェットを置いてきた南西尾根主稜に復帰することができました!
西穂独標に陽が沈む前にテントを張ることができました。
ザックを回収できましたので、テントで眠れます。水も飲むことができます。夕食も食べられます。明日の山行で使うロープやギアもあります。
本当に、普通の事が 一つ一つ感謝です。
もしも、発見できなかった場合は・・・(=_=)
もし、私が若かったなら、強引に重く嵩張るザックを背負い、強引にハイマツのブッシュと闘っていたと思います。そして3mの段差で喘いで、これまた強引に登ろうとして今度はザックごと自分が滑落していたかもしれません。加速が付いたら下の数十mの崖っぷちまで回転してアウトになっていたかもしれません。

「体力」も必要ですが、いざとなると「耐力」そしてメンタリティーでの 余裕。
今回は、初めてザックを失う事に遭遇し、確かに焦りましたが、歳も取った分、経験的に「落ち着こう!」と言う気がありました。
バリエーションルートや沢にノートレースのラッセル漕いでの雪山など、「体力」だけでは、登り切れない場合も多いかと思います。悪天候にルーファイなど・・・様々な悪要因が飛び出してきます。
しっかりとした道や、トレースの付いた好天の雪山なら「体力」だけで十分です。
しかし、何か不遇な事に遭遇しやすいバリルート等では、「耐力」と「メンタリティー」が重要になってくるかと思います。
テント内が温泉に(;・∀・)
あれだけバウンドして滑落していったザックなのに、確認もせずにカップ焼きそばに熱湯を入れたら、テント内が温泉状態に(笑)
しっかりと焼きそばの発泡スチロールが潰されて穴が開いておりました?
絶景
こうして、このテン場から甲斐駒と富士山も見えます。やや硬めの芯が残った焼きそばと共にしっかりと脳裏に焼き付きました。
晴天のナイスビューな明神主稜
こうして、縦走できるのもザックが見つかったおかげ様です。なんだか感謝しながら、進むことができました。
ロープに感謝!
2峰を越えた懸垂2Pも、ロープがあればこそです。これにも感謝。
無事に前穂に到着しました。
本当に、ザックが見つからなければ、ここに立てませんでした。
冬の富士山でザックをアイスバーンで滑らせて、無くしてしまった人が居ましたが、その時は、「何でザックをビレイしないのぉ????」って、偉そうに思っていましたが、そっくりそのまま今の自分にそれが言えます(/ω\)
大丈夫だろう・・・だろう・・・だろう・・・まさかっ! 皆様も休憩時はザックに気をつけてくださいね。
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