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更新日:2019年08月31日 訪問者数:9648
ジャンル共通 山道具・装備
テント泊用ザック「オスプレー アトモスAG 65」のレビュー
hoz
6年ぶりに買い替え
 6年前に買ったテント泊用の大型ザック「オスプレー アトモス 65」が経年劣化のため使用に難が出てきたので、アウトドアショップの下取りキャンペーンを使って最新モデル(以前使っていたものの次々モデルにあたる)のアトモスAGに買い替えました。まだ実際に山では使っていませんが、とりあえずのレビューです。

←オスプレー アトモスAG 65
《商品のホームページ》
https://www.lostarrow.co.jp/store/g/gOS50181001004/
※”アトモス”は男性用で、女性用は”オーラ”という名称で展開しています。
 前々モデルとの最も大きな違いが「AG(Anti-Gravity)サスペンション」という機能で、もともとあった背面メッシュの範囲が立体的なデザインでヒップベルトまで広がり、通気性を高めて体(特に背中から腰までの部分)と一体化するような形状になっています。

《参考までに、6年前に前々モデルを購入した時の日記》
テント泊用ザック「オスプレー アトモス OSPREY ATMOS 65」のレビュー
https://www.yamareco.com/modules/diary/970-detail-55989
■買い替えて良かった点(もともと良かった点も含めて)
(1)背面メッシュが進化
 外見上大きく目を惹くのがAG(Anti-Gravity)サスペンションという、背面から腰まで広がったメッシュ生地です。前々モデルより重くなっているはずなのに、そのことを感じさせないフィット感と背負い心地です。

 大きく湾曲して腰に抱きつくような形のヒップベルトまで、体に接する部分がメッシュというか穴だらけの生地で立体的に覆われているので、通気性は抜群で汗濡れ感や蒸れ感はほぼゼロです。こんなデザインを考える人は変態(良い意味で)ではないでしょうか。
 体に密着している部分で言うと、むしろショルダーベルト(こちらも通気性にはだいぶ気をつかっていますが)の方が蒸れる感じがしました。
(2)雨蓋のポケット容量が大きくなった
 前々モデルは雨蓋のポケット容量が小さく、また表側のジッパーの口が小さかったため、中のものを出し入れするのに非常に苦労していました。
 現モデルは、雨蓋自体が巨大化して容量が増えています。その大きさはザック本体と比較してもアンバランスなほどのシルエットで、特に下のポケットの口はガバッと大きく開きます(一目見たとき「カネゴンだ」と思いました)。

 二つのポケットはどちらも背面の表側に上下についており、上のポケットはやや浅く、赤いキークリップ付きで、登山中、滅多に出し入れしないものを入れておくのに適しています(鍵、ヘッドライト、財布、モバイルバッテリーなど)。
 下のポケットは大容量で、デュアルジッパーで大きく開くため、相当多くの物を容易に出し入れすることができます。
 この雨蓋は本体から取り外せますが、他のザックにあるようなウエストバッグやサブザックに変身するギミックはついていません(前々モデル同様)。
 雨蓋のサイズを測ってみたところ、おおよそ幅30×奥行き26×高さ13cmありました。これだけ大容量(おそらく10リットル以上はありそう)にしたのだから、ウエストバッグやサブザックにできればいいのに、ともったいなく思いました。
 一応、前後のバックル同士をつなげると手提げのような形状にはなります。このままでも、テント場に温泉があるときなど入浴に必要なものを入れるのにちょうどいいです。さらに長めのストラップを買い足せば、背中に背負えるようになるかもしれません(自己責任で)。
(3)正面両サイドの垂直ポケットは使いやすい
 前々モデルと同様で、下記のものがそのまま収納できるポケットが正面の両サイドについています。
・ふだん使っているZポール(ブラックダイヤモンド・ディスタンスFL:約37cm)
・テント(ニーモ タニ 1P)用のポール(約40cm)
 最大50cmくらいまでの長尺物を入れられ、マチ付きで思ったより大容量なので、ザックに外付けするものは無くなりました。
 なお、この垂直ポケットからザック内部へアクセスすることはできません。また両サイドのポケットの間には仕切りがあり、それぞれ独立しています(前々モデルは、上部に握りこぶし1個が通るくらいの穴が貫通していましたが、現モデルにはありません)。
 汚れるもの(ストックやサンダルなど)とそれ以外(地図、ティッシュなど)を分けたい時に便利です。
 この垂直ポケットが50リットルについていたら、50リットルの方を買ったでしょう。
(4)ヒップベルト長の調節機能は継続
 ”フィットオンザフライ・ヒップベルト”と呼ばれる機能は、前々モデルと同様です。ヒップベルト内部の面ファスナーをベリベリはがして、スルスルと腰のだいぶ前まで伸ばすことができます。出てくるベルトは薄いものですが、こうすると安定感が多少増します(上の写真が収納状態。下が最大限伸ばしたところ)。
 ただし、面ファスナーをはがすためにはベルトの奥の方まで指を伸ばす必要があり、かつ結構力がいるため、ザックを背負ったままでの調節は困難です。
(5)ヒップベルトのポケット容量が大きくなった
 前々モデルに比べて、容量もジッパーもひとまわり大きくなり、普通の大型ザック並みになった感じです。ポケットの内側はAGサスペンションに合わせてやや湾曲していますが、余裕を持って小物類を出し入れできるようになったのは嬉しいです。
 ジッパーの位置がだいぶ上になって、上面と側面の接合辺についているので、以前のモデルよりは力を入れて開けやすくなっています。
 ただし、全部開けないのがコツです。閉めるのにちょっと苦労します。これが歩きながら自由に開閉できるようになると、ストレスがより減ると思います。
(6)正面の大きなストレッチポケットが耐久性アップ
 前々モデルについていたものは、伸縮性はあるものの生地が薄くて耐久性が心配だったのですが、現モデルは色の濃い逆Uの字の部分が耐久性のある素材で補強されています。多少乱暴にウェアなどを入れたり、枝がこすったりしても大丈夫そうです。
(7)ザックの口は大きく、中が見やすい
 ザック本体の口はだいぶ大きく開きます(写真では雨蓋は外しており、右側にはね上がっているのはフラップジャケット)。背面メッシュの割りには、内部の容積が犠牲になっているようには感じません。ハイドレーションを入れるポケットが背面側についています。入口の絞りコードだけでなく、その下の赤いストラップで荷物を固定することもできます(荷物が増えた時用)。
 また内面の生地が、表面の差し色にもなっている蛍光グリーン色で明るく、中の視認性はとても良いです(本体のカラーがアビスグレーの場合)。
(8)一気室・二気室の切り換えが可能
 前々モデルも二気室タイプであり、中の仕切りはストラップで簡単に外せて、一気室にすることができるようになっているのも同様です。大体テント泊の時は一気室にして、上から荷物を押し込み、荷物を広げる時は下部ジッパーを開けて、大物(テント、シュラフ、マットなど)を取り出すようにしています。
 写真は下部ジッパーを大きく開いたところで、中の蛍光グリーン色の視認性はやはり良いです。ただ、仕切りフラップを表面側(下部ジッパーを開けた時、上側)ではなく、背面側につけてくれていたら、荷物の出し入れの邪魔になりにくいと思います。
■少し残念だった点
(1)すばやく背負えない
 ヒップベルトがAGサスペンションと一体化した複雑な立体構造になっており、腰を包むように固く湾曲しているので、まずヒップベルトをグイッと広げて、すき間に腰を入れるのにちょっと苦労します。
 よほどスリムな人でないと、一回では腰を入れられないと思います(私は絶対無理)。その分、背負ってしまえば腰にガッシリはまって安定性はいいのですが。
(2)フラップジャケットは不要かな
 雨蓋の下に、ザックの上部を覆う薄い1枚のバックル付きカバー(フラップジャケット)が本体に固定されています。テント場からピストンで身軽になりたい時など、雨蓋を外したあとに本体の上部を覆うためのものです。
 最初は気のきいた機能だと思いましたが賛否両論あるようで、想定するような機会では私はサブザックを別に持参するでしょう(そもそも雨蓋自体がサブザックに変身してくれるとベストなのですが)。
 そして何より、ザックを開ける際に、毎回雨蓋とフラップジャケットの二枚をはね上げるのが面倒です。個人的には、せめて本体から脱着可能になっていればよかったと思います。
(3)背面長の調整機構に一抹の不安
 前々モデルは、よくあるような面ファスナーをベリベリはがして背面長を調整するものでした。現モデルはショルダーベルトの下にちょこんと出ている赤いストラップを引っ張って上下に調整するギミックに変わっています。
 確かにこれで背面は上下に可動して調整できるのですが、どういう機構になっているのかよくわからず、本当に固定されているのか、歩いている最中、下へずれていかないか不安になります。それほど頻繁に背面長を調整する場面はないと思うので、以前の面ファスナーの方が単純でよかったと思います。
(4)あまり重いものは入れられない
 背面メッシュ式ザックの宿命ですが、あまり重いものを入れると体が後ろに引っ張られがちになります。アトモスは腰に抱きつくような形状になっていますが、残念ながら背中はメッシュのサスペンションなので密着感はそれほどでもありません。
 また雨蓋が大容量化している分、物を入れすぎてトップヘビー状態になると、さらに不安定感が増すので注意が必要です。
(5)ハイドレーション用チューブの固定がしづらい
 前々モデルには、チェストストラップにハイドレーションシステムのチューブを通す穴がついていて、口元に近い部分にチューブを近づけておくことができたのですが、現モデルは無くなっています。チューブをぶらぶらさせないためにクリップで留める必要があります。
 ちなみにチェストストラップには、オスプレーザックの定番である、バックルと一体化したホイッスルがついています(最近は、他のメーカーでも見かける)。
(6)値上がりと重量アップ
 これが一番痛かったかも。同じ製品・同じサイズでも前々モデルに比べて1万円近く値上がりしていました。また同じMサイズで、重量が1.59kgから2.07kgと約400g増加していました。
■その他の機能(可もなく不可もなく)
・オスプレーのザックの定番となっている、トレッキングポールホルダーがついています(私が使っているZポールは畳むと長さが足りないため、無用の長物となっているのが残念)。
・ピッケルなどアイスツールを留めるループとバンジーコードが正面両サイドにあります。現モデルではそれらを使わない時に本体内に収納できるミニポケットがついていて、ループやバンジーコードが枝などに引っかかるリスクを減らせます。私はそもそも使う機会はないでしょうが、これは気がきいていると思いました。
・ザックの入口を絞るコードロックの形状が変わっていました。個人的には前々モデルの方が使いやすいと思いますが、慣れの問題でしょう。
・ザックの背面とメッシュのすきまにハイドレーションを吊るすための出し入れジッパーがついていますが、なぜかツマミがついていないジッパーで、かつ背面の生地でテンションがかかっている部分についているので、開け閉めは大変困難です。下手をすると爪を傷つけるので、これは使わない方がいいでしょう。
■仕様
・容量:Mサイズ 65リットル(SサイズとLサイズも展開しています)
・重量:2.07kg(前々モデルは1.59kg)
・サイズ:縦87×横39×奥41cm(前々モデルは縦75×横35×奥30cm)
※縦(高さ)87cmと聞くとものすごく大きく感じますが、仕様表に書かれているのはおそらく最大容量の荷物を収納した場合のサイズです。雨蓋を外してフラップジャケットだけにして最低高を測ると約68cmでした。それでもぱっと見は、前々モデルの同サイズよりも大型化している印象はあります。
・対応背面長:46〜53cm(前々モデルと同じ)
・推奨パッキングウェイト:14〜22kg(前々モデルは13〜23kg)
■総評
 AGサスペンションなど前々モデルから進化しているところは素直に嬉しく、背面メッシュの大型ザックが少ない中、大容量と快適性を両立させながら改良を続けているのは素晴らしいと思います。まあ、先進機能の中には個人的に不要と思われる機能がついていて、その分重量がアップしているのが少し残念ではありますが。

 購入にあたって苦労したのは、前々モデルを購入したとき同様、背負い心地を試すため、アトモスの現物(65リットルと50リットル)を置いている店を見つけることでした。背面メッシュやAGサスペンションなどアトモスで採用された機能をあとから受け継いだイーサーなどはどの店にも必ず展示してあるのですが、まだまだアトモスはマイナーなようです。

 いずれにしろアトモスは気に入っているので、今回購入したモデルもなるべく長く使っていきたいと思います。
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