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更新日:2020年05月05日 訪問者数:380
ジャンル共通 技術・知識
日本の山々の地質;第2部 北アルプス、 2−3 北アルプスの隆起について(後編)
bergheil
2−3章 北アルプスの隆起について(後編)

・・(前編よりつづき)・・

(3)現在の北アルプスは、隆起しているのか
 さて、前節(2)にて、北アルプスの隆起は、約250万年前から始まり、隆起速度のピークは約100万年前であることを解説しました。
 では、現在の北アルプスは今も成長を続けているのでしょうか?

a) 三角点測量結果
 日本アルプス付近の隆起速度は、三角点測量値の、約70年間の変化に基づき、南アルプスでは、約4mm/年の隆起、中央アルプスも、北部では約2〜4mm/年の隆起をしていることが確認されています。しかし、北アルプスは全域で、+1mm/年以上の隆起は確認されていません。(文献5、図1.3.2)。
   
b) GPS測量結果  
 最近は、GPSでの鉛直方向の測量の精度が上がって来たので、GPSによる北アルプスの隆起速度の検討が始められています(文献6)。
 それによると、前穂高岳山頂での約9年間(1999年、2005年、2008年)の計測で、+5mm/年の隆起という結果が得られています。
 また立山(浄土平)では、1996〜2004年の8年間のGPS測定にて、+3.8mm/年の隆起という結果も得られているようです。

 ただし、数年〜十数年レベルの測定では、地震などの影響で、地殻が水平方向だけでなく、鉛直方向にも変動するため、わずか10年未満の期間での測定結果だけでは、何とも言えないと思います。今後、長期間かつ多地点の鉛直方向GPS測定により、隆起/沈降速度およびその変動が精度良く測定されるのを期待したいと思います。



――――――――――――
【この章の主な参考文献】

1) ウイキペディア 「飛騨山脈」の項、2020年5月閲覧

2) 「飛騨山脈東半分における前期更新世後半からの傾動・隆起運動」、原山ら、
      第四紀研究誌、42(3)、p127−140(2003)
 ・・・原山先生らによる、原山仮説(北アルプスの二段階隆起説)をまとめた、
    非常に参考になる論文。文献7)のベース論文でもある。

3)「飛騨山脈の隆起と火成活動の時空的関連」、及川、
     第四紀研究誌、42(3)、p141−156 (2003)
 ・・・北アルプスの約250万年前から現在までの火山活動、マグマ活動
    を総合的にまとめた、隆起活動との関係を考察した論文

4)「飛騨山脈北部における1Ma頃の急激な隆起 
    ―北部フォッサマグナ西縁、居谷里層の礫組成を指標として―」
     及川ら、地質学雑誌、第110巻、9号、p528-535 (2004)
 ・・・爺が岳の西側に露出している「黒部川花崗岩」由来の礫(石ころ)層が、大町市
    東部に存在していることを元にし、黒部川花崗岩体の上昇過程、および北アルプス
    北部の隆起速度、時期を検討した論文。

5)「日本の地形」第5巻 「中部」、図1.3.2、小泉ら編、東京大学出版会(2006)

    なお、図1.3.2のデータの元は、
    「日本における最近70年間の総括的上下運動」、壇原、
     測地学会誌、17、p100-108(1974)。 
       ・・(電子ファイルは見つからず)

6)「北アルプス穂高連峰の隆起に関する測地学的検証 
     〜 一等三角点 穂高岳でのGNSS観測 〜」
     西村、国土地理院時報 124、p117-123(2013)
   ・・・前穂高岳でのGPSによる測定。

7)「超火山「槍・穂高」」、原山、山本 著、山と渓谷社刊(2003)
    ・・・北アルプスの地形、地質について、初めて一般の人向けに
       出版された良書。おすすめの本です。


(2−3章 終わり)
2−3章 北アルプスの隆起について
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