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更新日:2020年08月26日 訪問者数:238
ジャンル共通 技術・知識
日本の山々の地質;第2部 北アルプス、2−23章(3) 白馬岳とその周辺(3) ―白馬大池火山ー
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 (1)はじめに
 白馬岳とその周辺の地質、地形的なことをこれまで2つの章で説明してきましたが、この章では、白馬大池を中心とする、「白馬大池火山」について説明します。

 白馬岳への主な登山ルートは、猿倉登山口から白馬大雪渓を登るルートの他、栂池までゴンドラとロープウエーを使って高度を稼ぎ、そこから登るルートがあります。
 このルートの途中に、白馬乗鞍岳という小ピーク及び、白馬大池という高山湖があります。この付近が白馬大池火山の領域です。
(2)白馬大池火山の噴火史
 ここでは、(文献1)に基づいて、白馬大池火山の噴火史を見ていきます。

 白馬大池火山の活動は、大きく分けて、約80〜50万年前の「旧期活動期」と、約20万年前以降の「新期活動期」に分かれます。

 「旧期活動期」で出来た火山は、すでに大きく開析され、火山の原型はとどめておらず、噴火位置も不明ですが、白馬大池より東側の領域のあちこちに、その時期の溶岩が残存しています。

 「新期活動期」では、正確な噴出地点は不明ですが、主に現在の白馬乗鞍岳の付近から溶岩が噴出した、と考えられています。また風吹大池付近(風吹岳)からも、7万年ほど前に噴火(溶岩ドーム形成)が起きたようです。 
 
 なお、「白馬大池火山」という名前がついていますが、白馬大池自体は火口ではなく、溶岩などによるせき止め湖です。
 また新期活動期に火口から流れ出た溶岩流は、この山域の東側にかなり広く広がっており、「地質図」を見ると、栂池スキー場や、やや北東の風吹大池付近なども、この溶岩流で覆われています。
 また、風吹大池自体も、火口跡ではなく、溶岩流によってできた、せき止め湖です。

 なお、「白馬大池火山」に関する、さらに詳細な研究は、(文献2)に詳しく書いてあります。
 (3)地形的な特徴
 白馬乗鞍岳を歩かれた方は解ると思いますが、この山は、見た目上は平坦そうな山頂部を持っていますが、歩いてみると、巨岩がゴロゴロして非常に歩きにくい場所です。

 こういう、数mサイズの巨岩がゴロゴロと転がっている平坦な場所を、地形学用語では、「岩石原」と言います。他に、蓼科山の山頂部や、北海道 トムラウシ山の山頂付近も、同じような巨岩がごろごろした景観を作っています。
 この巨岩は、氷河期の寒冷な気候のもとで、溶岩層の間の割れ目に入った雪が、解けたり凍ったりすることを繰り返しつつ、どんどんと溶岩層を割っていき、巨岩の堆積状態になったものと考えられています。

 また、こういう巨岩が、山頂部ではなく山の斜面にゴロゴロと転がっている状態は、地形学用語で「岩塊斜面」(がんかいしゃめん)と言い、日本アルプスや東北、北海道の山々の各地に存在します。

 いずれも、氷河期の寒冷な状況下でできた地形で、地形学用語では、「周氷河地形」の一種です。(文献3、4)
(参考文献)
(文献1)中野、竹内、吉川、長森、刈谷、奥村、田口
    地域地質研究報告 金沢(10)第25号 NJ-53-5-4
     「白馬岳地域の地質」のうち、「白馬大池火山噴出物」の項。
      (独)産業技術総合研究所 地質調査総合センター 刊 (2002)

 https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_10025_2002_D.pdf
     
(文献2)柵山(さくやま)
   「白馬大池火山の地質」地質学雑誌、第86巻 p265-274(1980)

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc1893/86/4/86_4_265/_article/-char/ja/

(文献3)小畔(こあぜ)* 「山を読む」 岩波書店 刊 (1991)

       *「あぜ」の漢字は、本当はもっと画角の多い難しい漢字だが、
         パソコンでは出てこない(外字)なので、簡易体で表記。
 
(文献4)米倉、貝塚、野上、鎮西 編
     「日本の地形 1 総説」のうち、5−3章「氷河地形・周氷河地形」
         東京大学出版会 刊 (2001)
白馬乗鞍岳山頂部
ヤマレコ内の、「山の情報」のサイトより、引用させてもらいました。
「白馬大池火山」の溶岩流の分布図
シームレス「地質図」を元に、筆者が加筆。

オレンジ色の部分(赤で囲った範囲)が、白馬大池火山」の溶岩流の分布地帯。

・白馬大池は、図の左めに位置する。
・風吹大池は、図の中央やや上側に位置する。
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