12月23日（金）金生遺跡から見える山々と吹雪と縄文の虹
hirokok510
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- 距離
- 14.1km
- 登り
- 282m
- 下り
- 142m
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| 天候 | 晴れ一時吹雪 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2016年12月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 タクシー
|
写真
金生遺跡は縄文前期から中世戦国時代に至るまでの複合遺跡で、圃場整備で多くの破壊された遺跡は深くまで発掘調査がなされ、この縄文晩期の遺構とこの場所の東南に続く中世・戦国時代の遺構などは保存され、縄文晩期の配石遺構と住居址は復元整備されている。晩期と並んで戦国時代の層からは大量の遺物包含層があり、これは大半が未調査のまま保存されている。
中央左に瓜坊（イノシシ）の囲いがあるが、圃場予定地を発掘して下の方から大量のイノシシの幼獣の下顎の骨が出てきたことからイノシシの幼獣を飼っていたこと示している
金生遺跡は標高770m 、八ヶ岳南面の緩斜面上にあり（古の南側の釜無川の段丘は5~600mくらい）、縄文前期から中世戦国時代までの遺跡が眠っている。
縄文後晩期にはこうした配石遺構・お墓が東北・北陸を中心に全国各地に見られ、居住区と墓域が隣接しているのが特徴で、弥生以降になると墓域と居住区が分離されていく。縄文時代は死者と生者の世界が一体であったということか？
4年前に考古資料館を訪ねた時、地図出はなかなか探せず苦労したーー元の名前は谷戸城ふるさと歴史館―名前が変わっていたようだーー
北杜市内、45カ所の遺跡から400以上の石棒が出土、最大は1m以上、最少は4�僂班�が広い。後期が最盛期で晩期は少ない。特に八ヶ岳と茅ヶ岳山麓遺跡に多いそうだ。
石棒は北杜市でも他地域でも縄文中期からで、中期初頭の五領ヶ台式期では酒呑み場遺跡C区の土坑から、中期中葉の藤内式期では古林第4遺跡の住居址から、井戸尻式期では海道前C遺跡の土坑から人面装飾付土器などとともに埋められ、何らかの祭祀に使われたようだ
不思議な三角壔形土器？？ー三角とう形土製品は、主に縄文時代中期（約4,500年前）の東北地方から北陸地方、秋田・長野など東日本で見られる土製品です。その性格については、装身具（そうしんぐ）、糸を作る道具、何らかのマツリに使う道具、あるいは、埋葬（まいそう）に関する道具と考えられていますが、今のところ、はっきりしていません（山梨県埋蔵文化財センター）。
石堂B遺跡は標高900m、八ヶ岳南麓台地上の尾根より一段低いテラス上の緩斜面に立地、中期末から晩期までの配石遺構を持つ集落跡が発見され、金生遺跡に先立する時代の配石遺構と24基の石棺墓が検出された。後期中葉の加曽利B式期では2列の石棺墓と配石遺構から多数の土偶や土製耳飾りなどが出土している。
寄生遺跡の発掘時の配石遺構ーさすがに圃場整備事業を一部ストプし、文化庁や農水省ー農務部など関係諸機関との遺跡保全のための協議が行われたようだ。
石剣・石刀は主として縄文晩期に近畿。北陸・中部。東北を中心に出現、石棒などから変化したとする説や大陸から来た製銅剣・刀子などを見た人々が石で模倣して造ったなど諸説ある
石棒と丸石：中期初頭に出現し石棒は中期末から後期初頭に増加、この時期は主として住居址から、後期前半から晩期にかけては出土数は減るが大型の配石遺構からの出土が多くなる。
一方丸石は前期から出現するが、中期末から後期初頭は住居址から、後期から晩期は配石遺構から出土し、屋内から屋外の集団祭祀へと転換していったようだ
丸石はその出現理由は不明だが、天体説、赤ん坊の頭説、生命の象徴説など様々ー石棒とともに豊穣や生命再生の象徴だったか？山梨県では丸石は現在でも道祖神として祀られ、他県にはあまり見られずこの地域特有のものらしいーー
山梨県では丸石は現在でも道祖神として祀られ、他県にはあまり見られずこの地域特有のものらしいーー
北杜市では21カ所73個の丸石が出土、最古の丸石出土例は前期前半の上北田遺跡24号住居址から、中期には数は増えるが住居址からがほとんどで、後期には姥神遺跡や石堂B遺跡のように採石遺構から石棒とともに出土する例が多くなるようだ。
見学を終了し、講演会が始まるまで考古資料館の外の山を見るー中央右奥が金峰山−五丈石がぼんやりだが見えるーー講師の新津氏も言っていたーー
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講師の新津氏は当初から発掘調査に関わるーー圃場整備の大開発事業で水田の下を調査したことから、縄文後晩期を含む遺跡が多数出土、その驚きと保存へのプロセス、裏話は大変貴重な証言
新津市によるとこの土偶は晩期の亀ヶ岡文化でよく出る遮光器土偶が南下して伝わるうちに次第に簡略化された結果、こうした土偶が生まれたと推理している―講演中に東北から中部までの様々な晩期土偶を図示して形態の簡略化を説明ー
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金生遺跡8号土坑から出土した138の焼けたイノシシの下顎の骨、そのうち115は幼獣のものーーおそらく春から初夏に捕まえた幼獣を秋まで飼っていたようだと新津氏
金生遺跡は1983年に土地所有者の理解と関係部局の協力で3400平米が史跡保存されることが決定、1991年に整備公開された。
感想
急に思い立って、二日酔いにめげずに金生遺跡に行きました。北杜市考古資料館で
金生遺跡の発掘調査に携わった新津氏の講演と遺跡から当時の甲斐駒日没見学とあったので、出かけてきました。長坂駅から5�匱紂�金生遺跡を経由して北杜市考古資料館まで歩きました。空は晴れていたのですが、昼前、急に冷たい風が吹いてきて、甲斐駒ケ岳付近の南アルプスが真っ白になりましたーー。吹雪がやってきました。空は晴れているのに、山麓にも風とみぞれが降ってきました。山用の雨具を着て手袋をして何とか耐えましたが、甲斐駒ケ岳の日没は絶望的、みぞれがやむと八ヶ岳方面に虹が出ました。
金生遺跡は、ちょうど4年前の11月に考古学の勉強を始めて最初に区外の遺跡見学に出かけた場所で思い出深い遺跡でした。2013年10月に世田谷区内の野毛大塚古墳の古墳祭りで古墳ウォークに参加してから初めて自分で調べて計画を組んで、マウンテンバイクで中央線の信濃境駅から自転車で井戸尻遺跡を見学し、そこから金生遺跡に向かい、北斗市考古資料館からさらに甲府の風土記の丘の考古博物館と古墳を見学するというものでしたが、現在のようにスマホのナビを使っておらず（ガラケーしか使っておらす、登山用GPSと地図だけで対処）北杜市考古資料館の場所がわからず、山上のお墓に出てしまい、慌てて急坂を下って転倒し、右手親指付け根を負傷（その時は骨折とわからず、親指と人差し指が動かなくなるも、左手と右手指三本で40�勸幣總�り続けた！！）
負傷しながら北杜市考古資料館と金生遺跡を見学したことを思い出し、講演会に足を運びました。国指定史跡・金生遺跡はおそらく多くの方が見ていると思いますが、今回、発掘調査を長年指導された新津氏の裏話を含めたお話を聞いて、私の思う以上に重要な遺跡と思いました。
講演では、金生遺跡の発掘調査前後の様々なエピソードー後晩期の遺跡がないと思われた同地域で田んぼの圃場整備の大開発計画ゆえの調査で、普段は見られない田んぼの下から後晩期の遺跡が続々と出てきたこと、つまり中期までの高台の立地から低地へ移行していたこと、平地式住居を発見したこと、中空土偶や土器交流と亀ヶ岡文化との関係、大量の（115頭分の）幼年イノシシの焼けた顎骨の出土ーーおそらく春に捕まえた幼イノシシを秋まで飼って祭祀の犠牲に供した）などなど、石棒、配石遺構・平地式敷石住居の復元、金生の前期遺物ではヤブツルアズキなどの土器片の圧痕の発見、他の晩期の遺跡ではアワ・キビなどの圧痕の発見などなど興味の尽きない話題でしたーー。金生遺跡やその周辺から出ている大量の遺物の土器圧痕などの継続調査をどうするのか、様々な課題が提示されました。
通常、畑だと下に埋もれた縄文時代の遺物が掘り返すたびに古い土が上に露出して土器や石器が出てくる場合が多いですが、水田だと水田底の粘土から下のものは上に出てこないので、その下に埋もれているものは、圃場整備事業などがなければ見ることができないということでした。縄文後晩期以降の低地の遺跡が圃場整備や河川改修などから出てくるケースがままあるようで、金生遺跡はその最初のもののひとつで、とても重要な発見のようでした。圃場整備をそのまま続ければ遺跡は破壊されますが、ギリギリのところで一定面積を国指定史跡とすることで保全することになりましたが、その場所は文化庁と交渉して内定を取るとそれ以上は発掘せずに保存することになり、それ以外の開発を続ける場所は、下まで掘るとイノシシの幼獣の下顎の骨が115も出てくるなど、掘り続けると思いもよらない遺物が続々と出てくるという状況だったそうです。保存エリアの住居址は低地の平地式住居で、竪穴式ではないので柱穴が明瞭でなく、平地式住居の他地域の例をいろいろと調べて今のような復元を考えたそうです。白壁の屋根の住居は違和感がありますが、白い色は土の選択のせいで白くなってしまったそうです。後晩期、中部高地などで遺跡数が急減するのですが、低地に立地が移動しており、現在の水田などの場所に遺跡が集中していれば発見が難しいと考えると、後晩期遺跡に対する考えも見直さねばならないように思えます。また平地式住居は柱穴が明瞭でなく、発見は困難です。黒井峰遺跡で古墳時代の平地式住居が多数見つかって以来、弥生以降の住居、集落を見直さねばならなくなっていますが、おそらく縄文晩期も同様ではないかと思われます――弥生早期と縄文晩期はほぼ重なっていますーー。北杜市考古資料館の「祈りの風景ー石棒と丸石」は2017年1月29日まで開催されています。
企画展示の中で中期末の郷蔵地遺跡出土の「三角壔形土器」は、主に縄文時代中期（約4,500年前）の東北地方から北陸地方、秋田・長野など東日本で見られる土製品です。その性格については、装身具（そうしんぐ）、糸を作る道具、何らかのマツリに使う道具、あるいは、埋葬（まいそう）に関する道具と考えられていますが、今のところ、はっきりしていません。
中谷遺跡のものは、縄文時代中期末（今から約4000年前）の配石遺構から発見されました。この遺構は、拳大の石が2.5×3mの広さで組み合わされていて、その真ん中付近と外側の2箇所で、それぞれ2つずつ発見されました。
土製品の大きさは、長さ10.3cm・幅6cm・高さ5cmで、側面の3面には、沈線が2重にめぐり、内側に縄文が施されています。上面・下面には、孔の周りを沈線で1重し、沈線と孔の間には薄くてわかりにくいのですが、縄文が施してあります。また、模様以外の表面は、磨かれた跡も見られます。出土した遺構は、何らかのマツリに関する遺構と考えられているため、この土製品も、マツリに使われたのかもしれません（山梨県埋蔵文化財センターによる説明）。
金生遺跡から見ると甲斐駒ケ岳・八ヶ岳・茅ヶ岳・金峰山五丈岩まで見えて、縄文人はなんてすごい景観の場所に遺跡を残したものかと感動するばかりでしたーー今回は日没が見られず、吹雪の南アルプスを見るばかりでしたが、富士山は夕日に少し赤くなりはじめ、やはり感動ものでしたーー。虹も見られましたしーー。
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