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Yamareco

記録ID: 1050502
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ハイキング
阿蘇・九重

坊がつる読書山行(楽園のカンヴァス/原田マハ)

2017年01月20日(金) 〜 2017年01月21日(土)
 - 拍手
体力度
2
日帰りが可能
GPS
14:25
距離
14.3km
登り
547m
下り
535m
歩くペース
ゆっくり
1.21.3
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
2:47
休憩
0:10
合計
2:57
20:24
93
21:57
22:07
74
2日目
山行
2:17
休憩
0:08
合計
2:25
8:23
64
9:27
9:35
73
10:48
金曜の仕事が長引き、出発がずいぶん遅れた。
土曜日の午前中に4週間ぶりのお休みを頂いたから、法華院で本を読もうと目論んだのに。しかも天気は大荒れの予報だったが、何とかなるさと思って向かったのが大間違いだった。

往路は途中から雪が降りだし、チェーン無しに車は動けなくなった。
登山口の長者原に着いたのは日もすっかり暮れた午後7時半。駐車場には一台の車もなく、一面の雪野原。吹き溜まりには軽く膝までの積雪が…。

このまま車中泊すべきか迷った挙句、車を出た。
最初のうちはトレースのない登山道をホクホク顔で歩いていたが、ベンチを過ぎたあたりから雪が深くなった。脛からひざ辺りまで積もった新雪をツボ足で進むほどに疲労が溜まる。しまいには足が痙攣しはじめた。

芍薬甘草湯を飲んでごまかしつつ歩くがペースが極端に落ちる。
完調であれば1時間ちょっとのルートに、なんと3時間もかかってしまう。法華院に着いたのは間もなく午前0時になろうかという頃だった。当然、談話室は貸し切りだ。手早く着替えてダウンを着込み、「竹やぶ」で仕入れた肝刺しを肴にホットワインを流し込んだらようやく温まった。

まぁ、3月に行く予定の八ヶ岳の予行演習には良かったか。
なんて勝手なことを思い、ゴウゴウと吹雪く音をヨソに酒を舐めつつ本を読む。この至福の時間のためなら、雨だろうと雪だろうと僕はやっぱり山に向かってしまうんだな。
天候 暴風雪
過去天気図(気象庁) 2017年01月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
・国道210号線・豊後中村から長者原に向かう場合、「野上」交差点より夢大橋を経由する県道40号(飯田高原中村線)の方が雪道規制が少ないが九酔渓に入るとチェーン脱着をするスペースがない。早めのチェーン装着を。
・四季彩ロード=県道680号(田野宝泉寺停車場線)は県道40号より雪が残る。
今回の本はコレ。傑作です。あと「ジヴェルニーの食卓」に「暗幕のゲルニカ」はアート好きなら読むべし
今回の本はコレ。傑作です。あと「ジヴェルニーの食卓」に「暗幕のゲルニカ」はアート好きなら読むべし
本書はアンリ・ルソーが描いた「夢」をモチーフとしたミステリー小説。ところで著者の原田マハさんのお兄さんて、原田宗典なんだと今日初めて知った。この人の本も好きなんだよね〜
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本書はアンリ・ルソーが描いた「夢」をモチーフとしたミステリー小説。ところで著者の原田マハさんのお兄さんて、原田宗典なんだと今日初めて知った。この人の本も好きなんだよね〜
さて雪の夜に歩き始めます。気温−2℃。雪の日はアニマルトラッキングを楽しめる
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さて雪の夜に歩き始めます。気温−2℃。雪の日はアニマルトラッキングを楽しめる
これはイタチの足跡かな、と言いつつこの後は全く余裕なし。新雪ラッセルが足にキタ
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これはイタチの足跡かな、と言いつつこの後は全く余裕なし。新雪ラッセルが足にキタ
翌土曜の朝には晴れてきたが風はまだ強い
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翌土曜の朝には晴れてきたが風はまだ強い
昨晩に僕がつけたトレースはすっかり埋もれていた
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昨晩に僕がつけたトレースはすっかり埋もれていた
今日は地鶏の余裕なし
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今日は地鶏の余裕なし
三俣に上弦の月がかかっていた
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三俣に上弦の月がかかっていた
「はねやまドライブイン」でチャンポンを食べて帰りましたとさ
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「はねやまドライブイン」でチャンポンを食べて帰りましたとさ

感想

旅先では、美術館や博物館によく行く。
20代の欧州バックパック旅では、どこの美術館へ行こうかと次の目的地を決めたものだ。絵が好きだというのもあるけど、安い入館料(無料も多い)で一日過ごせるという理由もあった。なにせ貧乏旅行だったから。パリでは朝から晩まであちこちの美術館に通った。金も力もなかったけれど時間だけはたっぷりあった、輝ける青春の日々だった。

山を歩く人には当たり前の事だろうが、写真や映画で観た景色と自分がそこに立って見る風景はまったく違う。絵画や彫刻にも同じことが言えると思う。どんなに精巧にできたレプリカや図録を眺めたとしても、実物から発せられる「情熱」を感じ取ることはできない。

この物語「楽園のカンヴァス」は、そんな絵画にまつわる情熱を知れる傑作だ。
画家、モデル、画商、美術館のキュレーター、コレクター、オークショニア…様々な立場の人間が持つ情熱に突き動かされ、焦がれ、翻弄されてゆく人間模様がミステリーとして描かれている。

原田マハは美術小説とでも言えるジャンルで傑作をいくつも出していて、僕の大好きな作家だ。先週も「サロメ」を上梓したばかり。これは読まねば!と思っていたところで土曜日の午前中に休みが取れた。となれば金曜の仕事を終えて向かうは法華院の談話室だ。さっそく「サロメ」を読むつもりが、Kindleに突っ込んでいた本書をうっかり開いてしまったせいで、頁をクリックする指が止まらなくなってしまった。以前読んでいたのに、すっかり内容を忘れているし(笑)。

さて、本書のモチーフはアンリ・ルソーの作品「夢」だ。僕はこの絵を、99年に訪れたニューヨーク近代美術館(MoMA)で観てきた。「夢」は同じくルソーの「眠れるジプシー女」とともに、MoMAのコレクションの中でもっとも人気の高い作品で、年間200万人の観光客が世界中から、ピカソの「 アヴィニョンの娘たち」、ファン・ゴッホの「 星月夜」、そしてこの「 夢」をめがけてMoMAへやってくる。

その「夢」とまったく同じ構図のルソー作品が人知れず、あるコレクターの元にあった。コレクターからその真贋の判定を託された二人のルソー研究者がたどり着いたルソーの真実とは…といった物語。第147回直木賞候補、第10回本屋大賞第3位にも選ばれただけあって、絵画好きでなくても十二分に楽しめます。

今回は法華院に到着したのが大雪のせいで深夜0時近くになり、結局「サロメ」は読まずじまい。こうして積読本が増えてゆくのだよなぁ…。

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コメント

夜間雪中トレ、お疲れ様でした。
金曜の夜入りてしたか。
新雪の中、ラッセンは心が折れそうに応えたでしょう。
法華院温泉があるから目標に目指せますね!

翌朝の新雪フワフワの中の下山は気持ち良かったでしょうが、こちらもラッセルで大変だったのでは?
2017/1/23 7:47
ツネさん>Re: 夜間雪中トレ、お疲れ様でした。
夜中の新雪ラッセルは体力的にも精神的にも参りました
翌日は下り基調だし、体力も回復してなんとかなりました
2017/1/23 9:07
入れ違い!
私は土〜日でくじゅうに居ました
わかさんにお会い出来なくて残念
土曜日の夜から日曜日に掛けてもかなり降って積もりましたが、それ以前も凄かったんですね
原田マハって美術系の小説をたくさん出してるんですね〜book
いくつか読んだ事あるけど、知りませんでした。
今度読んでみようっと
2017/1/23 10:05
ゆかりん>Re: 入れ違い!
おぉ〜、会えんくてよかったなぁ
談話室には魔物がおるでな、ここで会うたら
一体何が起こるか分かったもんじゃない…
2017/1/23 18:57
「竹やぶ」で仕入れた肝刺・・
談話室で摘むとなんか雰囲気のいい居酒屋ですよねー

誰もいない談話室・・4年前の正月明けのテン泊時にありました・・
ストーブも入らず寒いはずなんですが、外が氷点下10度ぐらいになると0度が何故か暖かく感じるんですよねー
2017/1/23 20:26
チャンさん>Re: 「竹やぶ」で仕入れた肝刺・・
まさしくストーブ無しでした。外は−11℃で、室内−1℃で暖かい(笑)。良い耐寒訓練ができました🎵
2017/1/24 0:04
楽園のカンヴァス
新雪ラッセルお疲れさまでした。
忙しい中でも時間作って法華院に行くあたり、さすが若さん。
良い仕事するにはちょっと無理してもチャージが要りますもんね。

実物から発せられる情熱は、ほんとにすごいですよね。
その情熱というか念のようなものにあてられて、
美術館行くとグッタリして帰ることが多々あります。
楽園のカンヴァス、私も読みなおしたくなりました。
2017/1/24 19:14
モカさん>Re: 楽園のカンヴァス
美術館でぐったり…分かる〜(笑)。
うん、あれは正に「念」だね〜
2017/1/25 19:51
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