滝戸山-春日山 〜独奏〜 A23
- GPS
- 06:35
- 距離
- 14.3km
- 登り
- 1,095m
- 下り
- 948m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
芦川農産物直売所発15:50(富士急山梨バス、540円)河口湖駅着16:22、高速バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
滝戸山の往復を除き、アップダウンの多いコース。ところどころでピンク色のテープは紛らわしい誘導をするので注意が必要。 |
その他周辺情報 | 芦川農産物直売所 様々な農産物を扱っている。食事のメニューも豊富だった。 |
写真
感想
穏やかな一日だった。眺望の驚きも無く、昂りも無く、落胆も無かった。ただ限りなく静かで饒舌な時間が流れていた。
甲府駅発6時57分の列車で石和温泉駅へ。18分の待ち合わせ、鶯宿行きのバスに乗車する。例によって乗客は独り、約1時間後、自由乗降区間、峠入口で降車した。運転士に心から礼を述べ、「気をつけて」に見送られる。車の通らない真冬の林道、気分よく軽快に歩く。鶯宿峠への登山道を横目に尚も進み、林道の峠へ。
アイゼンを装着し、滝戸山に向かう。積雪は数センチ、昨日と異なりパウダースノー、青空の下の尾根道。あまりにも心地よく、歌いたくなる。滝戸山までは急坂もなく、しなやかに到着する。眺望無く、閉ざされた空間。静かな場所だった。
名残惜しくもゆっくりとその場をあとにする。今日唯一の往復路を経て登山口に戻った。林道を鶯宿峠まで進み、ナンジャモンジャの木に迎えられる。しばらくそこに居ると話しかけられそうだったので、見上げて一礼してその場を離れた。
名所山までの道のりは、変化に富んで飽きさせない。先行者(昨日のものかもしれない)のトレースを追うが、途中、沢状の不明瞭な個所で乱れ、外したようだった。そのためそこからは真っ新な雪の上を進むことになった。広い尾根道に気持ちよくトレースを刻む。それだけでも今日の目的を達したのかもしれなかった。
ほどなく、先ほど道を失っていた先行者が戻ってきた。道迷いの後のせいか、それは、林道に近づいた地点で離れて行った。再びトレースの無い進路。カモシカの足跡だけが刻まれている。不思議と道を外す不安は無かった。快い速度で小刻みなアップダウンを繰り返す。そして名所山への壁の如き急坂に行く手を阻まれる。
この時、初めてルートに迷った。かなりの斜度である。前爪が欲しかった。思いがけず長い時間の後、春日山連山の最高点に到達した。11時49分、迷わずお店を広げる。ここも眺望は無い。けれどもパンもコーヒーも間違いなく美味かった。
峠に向かって急坂を下りる。八ヶ岳、南アルプスは木々に隠れたままだったが、奥秩父の山々は姿を現してくれた。見とれて滑った。ザックに救われた。そういえば今日は余計な雑念が過ぎらない。日常の悩みを忘れ、心底山歩きに夢中になっていた。心残りは、かの山との対面叶わないこと。近くに居るのに会えないもどかしさ。
春日山、春日沢ノ頭、共に樹木に遮られ眺望は得られない。青空と次第に数を増す雲。眺めるのに飽き、下山を開始した。鳥坂峠を経ておよそ1時間後、登山口に達する。すでに脱いでいたアイゼンと共にスパッツを仕舞う。14時30分、街に戻る用意を整えた。
芦川農産物直売所。山中に俄かに観光名所が現れ、疲れた身を癒してくれる、そんな不思議な場所だった。「いらっしゃいませ。どこ登ってきたの?」、朝、バスの運転士と別れてから初めて言葉を交わした。土産の漬物を買い、天ぷらうどんを食べた。食後、ぼんやりと空を見上げた。最近目が離せないドラマのように、その青さと新雪と針葉樹、そして深紅のザックを強引に調和させた。幸せな「四重奏」とかけがえのない「独奏」を十分楽しめた一日だった。
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