船原峠-猫越岳-天城峠 〜峠の数を数えて（かくも遠き峠�供法繊�A26
kimichin2
体力度について
- GPS
- 08:50
- 距離
- 25.9km
- 登り
- 1,607m
- 下り
- 1,407m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 8:17
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 8:57
| 天候 | 朝方晴れのち曇りときどき小雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2017年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
天城峠BS発15:51（7分遅れ）（新東海バス、1090円）修善寺駅着16:35、発16:51（伊豆箱根鉄道駿豆線、510円）三島駅着17:27 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
船原峠〜天城峠 伊豆山稜線歩道ゆえに道も標識も整備されているが、猫越峠以降、踏み跡不明瞭個所や崩壊個所が若干見られる。 |
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感想
早朝、漁港に注ぐ陽射しは、その後の荒天を全く予期させないほど強く鮮明だった。天気図を見ても予報官のコメントからも、天候が優れないことは明らかであり、問題はいつからか、だった。すっかり世話になった民宿をあとにして、1番バスに乗り込む。平石のバス停から西伊豆スカイライン船原峠を目指した。
御座山、思親山を南北に駆け抜け、いよいよ三日目、長距離への挑戦を迎えた。エスケープルートは途方もなく長い車道歩き、そしてただでさえ風の強い稜線を、この悪天候の日に歩かなければならないのだ。峠に着く頃には、その不安は頂点に達していた。
けれどもなお残る陽射しに、騙されていると知りつつも足は自然に南に向き、ペース配分に留意するよう戒めながら、アップダウンを繰り返した。西伊豆スカイラインを走る車の数は疎らで、静かな稜線歩きを楽しんでいた。時より西から吹き抜ける海風にも爽やかさを感じ、このままこの快適さが続くように思えた。
今日は幾度となく峠を通過する。古から往来の続く峠や、新たな町ができたことにより生まれた峠。同じ名前の峠も少なくない。峠の数を数え、カヤトの原を走り、海の向こうの富士を望む。天候が良ければ様々な場面を楽しめる道。現に序盤2時間あまりは、魂（こん）の山の彩や時折咲いている花々を眺めながら気持ち良く歩くことができた。
果たして天候の悪化は予想よりはるかに早く訪れる。風は強まり、雨も混じる。樹林帯を抜け出すと、20メートル以上の強風に曝され、暫時立ち止まる必要があった。ひどく体力を消耗していた。
中間地点の仁科峠で、平行する車道が稜線を離れる。残る行程はコースタイムで5時間、雨は本降りになりつつあった。三日目ゆえ疲労も極まりつつある。無念の下山を考えた。そして、何事もなかったかのように雨具を取り出し、予定どおり目的地を目指した。
猫越岳山頂の池、何かが出てきそうなので、早々にあとにした。前々回、丹沢の犬越路通過後に猟犬と出会ったことが脳裏を過ぎる。と、前方にそれらしきものが霧の中に浮かぶ。ほら現れたじゃないか、ぶつぶつ言いそうになったとき、「こんにちは」の声、お互いに人と出会ったことに驚いていた。私は、人であったことに安堵していたのだが。
そんなかんなで目的地の猫越岳に到着した。眺望も無く、天候のせいか少々気味が悪く、立ち止まることを嫌い、すぐに出発した。道は、眺望の無い樹林帯の中に在り、風は凌げるが、ゆっくりと休む気にはなれなかった。そしてこのことが一層疲れを増長させていた。
ツゲ峠の手前で踏み跡を見失った。それまでの明瞭な道が広い尾根で消失していた。少しペースが速すぎたのかもしれない。あたりを見渡し、峠に辿り着いたときには、最早山歩きを楽しむ余裕も消失していた。
それからの1時間、ほとんど記憶に無い。ただひたすらトラバースを繰り返していた気がする。旧天城峠に着く頃には、稜線を離れ天城ゆうゆうの里へショートカットすること、何のためらいも無くなっていた。結局、3分弱ベンチに座り込んだのち、稜線歩道を進んでいた。
見覚えのある天城峠からトンネル園地に向かう頃には、ようやく人心地が付き、観光客の前に醜態を晒さずに済んだ。それにしても長かった。25キロメートルの歩行は、これまで幾たびか経験してきたが、これほど厳しいのは初めてだった。やはりコースタイム10時間は一筋縄ではゆかない。こんどは天候の良い時に「部分的に」歩いてみたい。顔を洗い、着替えたのちバス停に向かった。完歩したのに、街に戻ることに少しだけ気が引けた。
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takeyrideon さん
kimichinさん
こんにちは。
伊豆半島は大好きなところで、海には毎年のように散々出かけていました。
海だけでなく、良い歩道が各所にあるようで、下田から弓ヶ浜を歩いたことがあります。
伊豆山稜線歩道は気になりながらも、距離の長さと人気の有無に不安があり、計画できていません。
kimichinさんの感想を読んで、川端康成が書いた山岳随筆を読んだような気持ちになりました。自然の中で自分と向き合って、こんな文を書けること、素敵です。
maple19様
こんばんは。コメントをありがとうございます。
こちらこそ、いつも素晴らしい写真やウィットに富んだ言葉で、楽しい気分にさせていただいています。登山はこうして楽しむもの、と教えられている気がします。
東伊豆は、学生時代には「庭」だったのですが、山歩きで来ることは想像していませんでした。今回も前回も天候に恵まれませんでした。次回はぜひ好天の下、両手を広げてみたいと思っています。
kimichin2様
こんにちは｡
約26km9時間近くのお山歩き本当にお疲れ様でした｡
少しこわい思いもされた御様子でしたが､御無事でよかったです!!
二本杉峠……
結局3つあったということでしょうか……
目立つ杉の木がぴょんぴょんと2本あるから二本杉峠という名前になったのでしょうか??
確かに混乱しそうです｡
峠がたくさんあるということは生活の径として使われていたのでしょうか｡
峠好きの私としては惹かれます｡
3日間､本当にお疲れ様でした｡
reochi19様
こんばんは。
仁科峠で、あと5時間の表示、本降りになりそう、わかっていても心折れそうでした。
ちょっと考えて、こうなれば独り歩きをとことん楽しもう、と決意も新たに歩き始めた矢先、霧の中から人影が現れ、かなりドキッとしました。というか、かなり怖かった。
reochi19様も静かな山歩きがお好きなようですから、物の怪に惑わされないよう気をつけてください。あっ、今回は、礼儀正しい好青年でしたよ、念のため。
早く夏が来ればいいなあ。
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