樽前山(7合目登山口〜東山分岐)
- GPS
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- 距離
- 2.5km
- 登り
- 301m
- 下り
- 301m
コースタイム
樽前山はいつもなら初級者向けのやさしい山なのですが、この日は積雪と強風で非常に難易度の高い山になっていました。
また、予想を越える積雪だったためか、登山者たちの中には7合目駐車場にはたどり着いたものの、そのまま車から降りることなくUターンして戻って行く車も結構ありました。
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
樽前山に向かって進んで行くと、なんと!遠くからでもはっきりと分かるくらい7合目辺りから上は雪で真っ白になっていました。
多少の雪は覚悟していたものの、ここまで降っているとは、正直、想定外でした。
もしかしたら、市道樽前観光道路(5合目から7合目までの未舗装道路)自体が5合目ゲートが封鎖されて通行止めになっているのでは?と、結構、不安になりましたが、その時は予定変更してイチャンコッペ山か紋別岳に行こうかとも思いました。
幸いなことに市道樽前観光道路は通行止めにはなっていなかったので、そのまま進みました。
いつもなら11月中旬頃に冬タイヤに交換するのですが、今年は例年よりも冬の到来が早そうな気がしたので、すでに10月中旬に済ませていたため、雪道になっていても慌てることはなかったのですが、とりあえず市道樽前観光道路上には積雪はなく、道なりに進んで行くと、駐車場まであと100mほどの所に来た時、突然、道路上に雪が現れました。
驚いたことに、積雪の路面上に残された車のタイヤの跡は明らかに1台分のみでした。さらに進んで行くと、そのタイヤの跡は駐車場手前にある管理人のいるヒュッテの前に停められた車に続いていて、午前8時半過ぎの一面銀景色の駐車場には1台も車が停まっていませんでした。
真っ白な駐車場の端に車を停めて降りて樽前山の東山ピーク方向を望むと、風に乗って次々と速いスピードで南の方へと流れて行く灰白色の雲が掛かっていました。
ここ(駐車場)で数cmの積雪だと、当然のことながら上の方はもっと深く積っているかもしれません。さらに、天気はまずまずのようですが風も結構強そうです。
当初予定していた風不死岳〜樽前山の縦走はこの時点で諦め、とりあえず樽前山の東山か西山、あるいは外輪山を一周するか、上の方の登山道の状況次第で今日のコースを決めることにして、登山準備を始めました。
先週の風不死岳(北尾根コース)登山の時の反省から、念のため持参してきていた軽アイゼンを付けるかどうか迷いました。今日ぐらいの積雪なら、つぼ足でも行けるんじゃないかなとも思いましたが、もしも付けずに行って、山の上の方で強風にさらされながら取り付けることになったら結構大変だろうなと思い、初めから付けて登ることにしました。
寒さ対策のため、アウターを1枚余計に着込み、手袋もたまたま持って来ていた保温性のあるものに替え、軽アイゼンを装着し、予定外ではありましたが「夏山モード」から「準冬山モード」へと切り替え、凍りついて開きづらくなっていた登山ポストを開けて登山者名簿に記入した後、登山開始です。
登山道は雪で覆われ、真っ白でした。
その足跡一つない白銀の登山道を一人で登って行きます。
7合目付近の登山道は両側が低木で覆われているのですが、木の枝に雪がびっしりと貼りついていて、まるで樹氷帯の中を登って行くようでした。
間もなく展望台に到着です。
振り返って眺めると、恵庭岳の山頂部は雲が掛かっていて見えませんでしたが、紋別岳やイチャンコッペ山も、少なくとも頂上付近は真っ白になっていました。
森林限界を過ぎ、雪の登山道を黙々と登って行きます。上空を渡る風はまるでジェット機のような重い地響きのような音を立てて凄い速さで南へ流れていきます。
登山道も結構強い風が吹いていましたが、樽前山は東山分岐(外輪山取付)の辺りから急に強風になっていることがしばしばあるので、一抹の不安はありました。
やがて、登山道は積雪のため、果たしてどこが登山道なのか不明瞭になってきていて、場所によっては完全に東山のピークから続く斜面の一部となっていました。
雪質はパウダースノー状ではなく、やや湿っていて、それなりにグリップしてくれていたのでたぶんつぼ足でも大丈夫そうでしたが、場所によっては風で雪が飛ばされてアイスバーン状になっている所もあったので、やはり軽アイゼンを付けていて正解だったと思いました。
東山分岐(外輪山取付)まで来ると、無人の白銀の外輪山周辺は、予想どおり…いや、予想をはるかに上回る強風が吹き荒れていました。
突風に耐えながら、西山方面を見ると雪が強風に煽られてまるでブリザードのように白い煙幕状の雪煙となって吹き抜けていきます。思わずここはヒマヤラか?と思いました(もちろん行ったことはありませんが…)。瞬時に西山方面へ行くのは不可能と言うか自殺行為だと悟り、せめて距離の短い東山のピークへ…と思い直して、分岐の標識近くに立ったまま、少しでも突風の勢いが弱まる瞬間がこないかどうか様子をみることにしました。
とても長い時間が立ったように感じましたが、実際は精々数分だったと思います。風の強さは全く変わりませんでした。それでも最後まで、進むべきか退くべきか迷っていたのですが、結局、諦めました。「撤退」です。
分岐からUターンし、登山道を下り始めました。
登山口まで下り終えて自分の車の所に戻ると、駐車場へ入ってくる車の誘導をしていた係員(?)のおじさんの一人が、この日最初の下山者である自分に、山の上の方の状況を尋ねにやってきました。状況を話した後、あまりの強風のため外輪山取付の分岐から引き返してきたことを告げると、その方は「まあ、山は逃げないからね」と、こうした時の常套句で慰めてくれましたが、実際そのとおりだと自分自身で妙に納得してしまいました。
頂上まで登れなかったせいか、なんとなく中途半端な気持ちで帰路につきましたが、車で少し下まで来ると、そこには穏やかな晩秋の景色が広がっていて、冬から突然、秋に舞い戻ったような、なんだか不思議な気がしました。
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