三ノ塔〜丹沢山〜鍋割山 周回
- GPS
- 06:20
- 距離
- 23.7km
- 登り
- 1,949m
- 下り
- 1,948m
コースタイム
- 山行
- 7:33
- 休憩
- 1:08
- 合計
- 8:41
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
トレースがしっかりとついており、危険箇所なし。三ノ塔と塔の岳からの丹沢山方面下りでのみチェーンスパイクを装着。 鍋割山への尾根の途中でiphoneのバッテリーが上がってしまったので、そこからのGPSのログが切れていますが、鍋割山からは二股に下りて、大倉に戻るという一般的なルートで下山。 |
写真
感想
北陸地方の大雪をよそに今日も関東地方は快晴の予報。京都の自宅に戻る前の寄り道先として選択したのは丹沢であった。高校時代、冬になるとワンゲルの友人達と幾度となく足を運んだ想い出の山域である。しかし、人の少ない丹沢主稜や西丹沢を縦走することが多く、表丹沢は以外と足を踏み入れていない。早い時間からの登山と下山後に京都まで帰ることを考慮すると、表玄関である大倉から鍋割山に周回することとした。当初、馬鹿尾根と通称される大倉尾根から丹沢山にアプローチを目論むが、この尾根道はなんともつまらないという父のアドバイスを受けて三ノ塔からの表尾根を塔ノ岳に向かうことに。
新宿発の小田急線の始発が渋沢駅に到着すると多くの乗客が降りるが、丹沢に向かう登山客以外の姿は殆ど見かけない。その大半は大倉行きの始発のバスにそそくさと乗り込む。駅前から眺める表丹沢の山々に見惚れてから遅れてバスに乗り込んだときに既に立錐の余地が無いほどに超満員である。大倉でバスから降りた登山客達はやはり大倉尾根に向かうようである。風の吊り橋を渡って三ノ塔尾根に向かう人の姿は私の他には見当たらない。
下枝が綺麗に刈り込まれた整然とした杉林の中を進む。霜柱の崩れ具合からすると先行するのは小柄な女性のようだ。果たして林道との交差点で初老の女性の二人組に出会う。聞けばモーニングをとるためにここまで来られたとのことで、日課のように山に入られるらしい。健康的というか洒脱というか、素晴らしい限りだ。すぐ先を男性一人が登って行かれたと聞く。私もそれなりの快足で登っているつもりが、先行する男性になかなか追いつかない。尾根筋からは時折、朝日を反射する相模湾の眺望が開ける。
三ノ塔も近いと思われる頃、ようやく先行する男性の後ろ姿を捉えるが、山慣れた様子で軽々と登っていかれる姿勢も矍鑠とされている。お話をお伺いすると若い頃はヒマラヤを登っておられたとのこと。道理で只者ではない訳である。三ノ塔の山頂ではここからの急降ては軽アイゼンがあった方がよいとのことでチェーンスパイクを取り出されるので、私もそれに倣う。4/7に作治小屋で講演のご予定とのことで、ご案内を頂戴する。「登山の分類と山岳スポーツの違いについて」との演題。東京にいるのであれば私も拝聴したい面白そうなお話である。
三ノ塔からは東に大山の堂々たる山容、西には塔ノ岳へと至る表尾根が一望のもとである。頂上からの急降を登り返すと、一気に鳥尾山である。ここからは急な下りもないと思われ、早々にチェーンスパイクを外す。ひたすら好展望の表尾根は後方には大山と三ノ塔を望みつつ、行者岳、新大日と修験道に因んだ山名のピークを小気味良く越えていく。丹沢の山は尾根続きが多いが、尾根によっては笹、岩稜、広葉樹と目まぐるしく変わっていくその表情の移ろいが魅力ではなかろうか。尾根から通過してきた山々、これから登っていく山の眺望に恵まれるというのも私が好きな山の要件の一つだ。
塔ノ岳の山頂に着くと、それまでは雲に包まれていた富士山の秀麗な頂がようやく顔を覗かせる。塔の岳の山頂では風が強く、早々に山頂を辞し丹沢山へと向かう。塔ノ岳の下りは雪が多くなり、チェーンスパイクを装着したが、凍っているようでもないので下りきったところで外す。間もなく笹が多くなり、非常に明るく開けた尾根となる。雪に埋もれた白い登山道と笹のコントラストと展望を楽しみつつ丹沢山にたどり着く。目の前に見える蛭ヶ岳が何とも魅力的で、往復の可能性を一瞬、考慮したが、大倉尾根を諦めて表尾根を楽しんだことだし、まともな時間に京都に帰着するにはと思って諦める。丹沢山山頂は塔ノ岳とは対照的に風が穏やかで、風の影に入ったようである。私が塔ノ岳の下りでチェーンスパイクを装着してから追い抜いた二人組の山ガールがすぐに山頂にたどり着かれた。相当に速いのでは?
丁度、12時を迎えたところであり、軽くランチをとって往路を引き返す。西に東に好展望を眺めながらの縦走である。富士山は相変わらず雲のなか。塔ノ岳に着くとやはり風が強い。登ってきた表尾根の写真を撮り忘れていたので、撮影するといよいよ表尾根を下る。登って来る人、下る人で相当な渋滞である。また先ほどの山ガール二人組に追いつくが、もうここまで戻って来られているとはやはり速い。少し下ったところで、相模湾の大展望ば開けたところに。先ほどの山ガール達が降りて来られるかと思いきや、来られないということは・・・北を眺めると鍋割山へのブナ林が続く魅力的な尾根。金冷やしと呼ばれる分岐のあるコルからかなり下がってきてしまった。慌てて登り返し、鍋割山への尾根に戻る。
今度は南に相模湾、北には蛭ヶ岳〜丹沢山への稜線を眺めながら、途端に美しいブナ林の尾根である。雪が少ないことを除けば普段、通い慣れている比良の趣に似ていると感じるのはこのブナ林のせいであろう。陽光が傾くにつれブナ林の規律的な線状の陰翳が蒼白い斜面に映える。気がつくとブナ林の彼方に往路の塔ノ岳でわずかに雲から顔を覗かせたばかりの富士の頂きが、再び姿を顕しているではないか。展望のいいところに歩を急がせると小丸尾根からの分岐であった。尾根に戻ると先ほど抜かした二人連れの男性が怪訝な顔をされたようだ。少し尾根を進むと鍋割山への美しいブナの稜線の彼方に富士が裾野に至るまで、その秀麗な姿を拡げる。この写真を撮影を最後にスマホのバッテリーが切れた。慌てて充電器に繋ぐものの、これも寒冷のためかウンともスンとも反応しない。乗越を登り返した先を先の山ガールが登っていくのが見えた。
鍋割山荘では登山客のほとんどが名物、鍋焼きうどんを注文されるようだ。少し前にランチをとっているのと、まだ食していないカップヌードルがあったので、どうしようかと逡巡しているところにトレイに鍋焼きうどんを載せた先ほどの山ガール達が。再び彼女等と会話をしているところに、後ろからは先ほどの男性二人連れが山荘ではしばらく鍋焼きうどんが作れないとのことだったので写真を撮らせて欲しいとのこと。私は携行したカップヌードルを啜ることにしたのだが、私も鍋焼きうどんを撮らせて頂いたらよかったかな。
後はひたすら下山のみである。二股からの林道をリズミカルに歩を進めていると、後ろからランニングして来られる方がいるかと思えば、また先ほどの男性二人連れである。私のしばらく前でランニングを休止されたので、後ろから追いつきお話をさせて頂くと、丹沢のバリエーションを専門とされる方のようで、丹沢に対する深い愛情が犇々と伝わって来て、お話もとても興味深い。大倉までの長いはずの林道が瞬く間に終着点に達してしまう。ヤマレコにおけるottoman様であった。
足を踏み入れた山域はわずかであったが、表丹沢の魅力を存分に感じる時間であった。また素敵な人達との印象的な対話にも恵まれた山行であった。
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