蔵王 杉が峰〜地蔵岳縦走☆スノーモンスターの夢の跡
- GPS
- 04:54
- 距離
- 13.7km
- 登り
- 988m
- 下り
- 766m
コースタイム
- 山行
- 3:58
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 4:53
天候 | 晴天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
下山は蔵王ロープウェイ |
コース状況/ 危険箇所等 |
雪は締まっており、チェーンスパイクで充分であった |
写真
感想
この山に登るなら冬の時期と決めていた。エコーラインが冬季通行止めで、刈田岳の山頂まで車で到達出来ない季節に。勿論、圧巻のスノーモンスターの大群に出遭うことも期待しつつである。
出張先の盛岡から始発の新幹線と高速バスを乗り継ぎ、ライザ・ワールドに辿り着く。天気予報では曇りの予報であったが、快晴に近い。昨日までの八甲田での悪天候が嘘のようである。
スキー場のリフトからすでに絶景である。背後冠雪した朝日連峰をはじめ、山形を取り巻く山々がすでに一望のもとだ。ただ、期待していたスノーモンスターの姿ははどこにも見当たらない。それどころか、霧氷すらほとんど見られず、シラビソの樹々はすっかりと黒々とした葉を見せている。やはり先週の暖かい天気と雨はスノーモンスター達を退散させてしまったのだろう。
一本目の4人乗りリフトを降りて、二人乗りのリフト(Liza pair II)に乗り換えるのだが、この間に横断するわずか50mほどのゲレンデがなんとスケート場のよう凍っている。しかもひとたび滑りはじめるとかなり下まで滑りかねない。早速にもスノーシューを装着するのだが、なんとリフトに到達するとスノーシューを履いたままリフトに乗ってはいけないという。勿論、スキーはいいようだ。
スキー場の上を進んでゆくと、まもなく御田神の広大な景色が広がる。遠くに刈田岳の山頂の奥宮が見える。高層雲による刷毛で掃いたような模様を背景に飛行機が次々が白い筋を描いていく。
刈田岳への稜線に上がるとかなりの強風である。強風で雪が飛ばされているせいだろうか。かなり地面が露出している。露出していない箇所には灰白色の氷が覆っている箇所が多くみられる。近ずくと碧空を反映して、金属的な碧色の輝きを放っている。尾根の淵まで辿り着くと荒涼ととした御釜が見える。さすがに水面は凍りついており、青白色の氷を湛えている。御釜の向こうには仙台平野がひろかっている。
刈田岳山頂に着くと手間に杉ヶ峰、奥には屏風岩と南蔵王の山々が視界に飛び込む。荒涼とした御釜のあたりとは対照的に、なだらかな山容の山並みが続いている。刈田峠の向こうに広がる雪原を挟んで、雪の中に疎らに生えるシラビソの林が美しい。杉ヶ峰に登ってゆく夏道が白く一条の筋となって見えている。その美しい山容に登頂意欲を掻き立てられる。当初、ここで引き返して熊野岳を経てロープウェイの地蔵岳山頂駅に至る予定であったが、余裕で13時前には辿り着いてしまうだろう。杉ヶ峰まで往復2時間。刈田峠への雪の斜面を下りはじめる。
峠に下ると風の影に入るのだろう、先程の刈田岳での強風は嘘のように風は穏やかだ。広い雪原を越えると、シラビソの木立の間を抜けて、斜面に取り付く。スノーシューとアイゼンの真新しいトレースがあるものの、人の気配の感じられない静かな山だ。展望を遮るもののない尾根筋からは、左手には飯豊・朝日連峰の山々を眺めながら登っていく。意外と山頂は遠い。目の前に見えているピークを登ったら山頂と思いきや、前山であった。
杉ヶ峰山頂からはさらに南の山々の稜線が連なっている。機会があれば屏風岳を越えて不忘山まで縦走してみたいものだ。ここで折り返して、刈田岳への復路につく。避難小屋を越えて、広い雪原に戻ってきたところで山スキーのパーティに出会う。この南蔵王で始めて遭った方々であった。
刈田岳の山頂に戻ると、やはり途端に風が強い。だが多くの登山者達がおられる。今度は早々に山頂を辞し、熊野岳へと向かう。刈田岳から熊野岳への稜線を縦走する人影がほとんど見られないのは偶々だろうか。稜線の強風が景色の壮大さと荒涼感を増幅させるようだ。
熊野岳は登山道は避難小屋を越えて北の地蔵岳に進んでいくようだが、敢えてルートを外れて熊野岳の南斜面を直登する。雪の季節だからこそ可能なことだろう。しかし、御釜を北側から眺める機会を逸したことと思われる。岩肌の間を縫って、緩やかな斜面を登りきると熊野岳の広大な山頂広場だ。今度は地蔵岳への稜線、北蔵王の山々が視界に入る。地蔵岳の彼方には真っ白な鳥海山が大きな山容を拡げている。
刈田岳からここまでは終始、風がきつい。天候が荒れた場合はかなり厳しい山行になりそうだ。神社のはたでは再び風の影に入ることが出来、遅めの昼食をとる。いつしか西の空は薄曇りとなり、傾きつつある午後の陽光を鈍らせる。
熊野岳の北斜面は途端に雪が多くなるが、地蔵岳の南斜面は対照的に雪がかなり少なくなっている。ここも強風のせいだろうか。赤茶けた岩石からの砂塵のせいだろう。雪の上にも赤褐色の粉を撒いたようだ。
地蔵岳の山頂からはようやく直ぐ下にロープウェイの山頂駅が目に入る。結局、刈田岳の山頂から地蔵岳まで誰にも遇わなかったが、
ロープウェイ山頂駅におけるスキー客の賑わいとは別世界のようだ。地蔵岳からは一気に下り、現実世界に舞い戻る感じがした。
コメント
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猪苗代湖の白鳥より一足早く蔵王のモンスターはいずくかへ行きにけりやね。
北国での三日間の山行お疲れ様でした。
yamanecoさんは日本国中にとどまらず、出張先々での山行の数々、見識の広さ…
いつか本にまとめて欲しいものです。
東北地方でも3月上旬の陽気と雨でモンスターがいなくなってしまったようです。モンスターに期待して下さっていたら申し訳ありませんが、私の失意落胆を少しでも共感して頂ければ(笑)。それからまたまた過分なご評価有難うございます。自著出版という意欲は持ち合わせてはいないので、このレコを訪れて下さる方がひと時でも興味を感じて下さることがあればそれで充分です。
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