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Yamareco

記録ID: 1453528
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ハイキング
東海

山伏-大谷崩 〜彼方からの風〜 A33

2018年05月04日(金) [日帰り]
 - 拍手
kimichin2 その他1人
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
10:28
距離
17.5km
登り
1,467m
下り
1,642m
歩くペース
標準
0.91.0
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
8:58
休憩
1:23
合計
10:21
6:18
6:22
34
6:56
6:56
67
8:03
8:06
124
10:10
10:10
14
10:24
11:25
64
12:29
12:29
21
12:50
12:56
65
14:01
14:01
13
14:14
14:17
7
14:24
14:24
112
16:16
16:22
11
16:33
16:33
1
16:34
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2018年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
(前日)(小田急箱根高速バス、御殿場線、東海道線)静岡駅前BS発13:06(しずてつバス、1500円)池尻橋BS着14:45
(当日)新田温泉黄金の湯BS発17:59(しずてつバス、1500円)静岡駅前BS着19:37
コース状況/
危険箇所等
山伏の伸びやかな山頂。
大谷崩の急傾斜ザレ場。
その他周辺情報 ペンション「くさぎ里」 囲炉裏端の食事、貸切温泉、登山口への送迎。感謝。
以前aiko似のウェイトレスが居た「鐘庵」。桜えびおろしそばをいただきながらバスを待つ。
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以前aiko似のウェイトレスが居た「鐘庵」。桜えびおろしそばをいただきながらバスを待つ。
静岡駅からバス旅1時間半、安倍奥の一軒宿に着いた。
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静岡駅からバス旅1時間半、安倍奥の一軒宿に着いた。
貸切の温泉に身を沈める。
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貸切の温泉に身を沈める。
囲炉裏端でアマゴ塩焼き、猪鍋、山菜天ぷらを堪能する。
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囲炉裏端でアマゴ塩焼き、猪鍋、山菜天ぷらを堪能する。
ご主人に登山口駐車場まで送っていただく。
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ご主人に登山口駐車場まで送っていただく。
登山口前の渡渉点を振り返る。
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登山口前の渡渉点を振り返る。
沢音涼しく、されど少しローペース、かな。
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沢音涼しく、されど少しローペース、かな。
橋の架かる場所を含め何度か渡渉を繰り返す。
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橋の架かる場所を含め何度か渡渉を繰り返す。
「木の枝で支えられている」大岩。
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「木の枝で支えられている」大岩。
ロープ場を通過する。
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ロープ場を通過する。
大分、沢が細くなってきた。
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大分、沢が細くなってきた。
青葉が美しい。
崩壊地点を通過する。
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崩壊地点を通過する。
蓬峠、Iは当然のように腰を下ろしていた。
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蓬峠、Iは当然のように腰を下ろしていた。
峠から1時間40分、急坂終わり、「南アルプス的」な道を進む。
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峠から1時間40分、急坂終わり、「南アルプス的」な道を進む。
西日影沢分岐。ここから山頂は間もない。
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西日影沢分岐。ここから山頂は間もない。
樹林帯抜け、青空が広がる。
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樹林帯抜け、青空が広がる。
これほど開放的で気持ちの良い場所とは思っていなかった。
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これほど開放的で気持ちの良い場所とは思っていなかった。
富士山と対面する。10時過ぎ、風はまだ強い。
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富士山と対面する。10時過ぎ、風はまだ強い。
「フレーム」に収める。
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「フレーム」に収める。
10時24分、山伏到達。先ずは山梨県の標柱から。
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10時24分、山伏到達。先ずは山梨県の標柱から。
そして静岡県側、富士山方向を向く。こちらでは山伏岳の表記。
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そして静岡県側、富士山方向を向く。こちらでは山伏岳の表記。
あまりの気持ち良さに、1時間動けなかった。さて往路を引き返そうか、予定どおり周回にしようか。
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あまりの気持ち良さに、1時間動けなかった。さて往路を引き返そうか、予定どおり周回にしようか。
昼過ぎ、風は収まり、緩やかな下降を続けると、眼前に大平沢ノ頭が現れる。
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昼過ぎ、風は収まり、緩やかな下降を続けると、眼前に大平沢ノ頭が現れる。
越えるといよいよ大谷崩(西側)と対面。迫力に息を呑む。
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越えるといよいよ大谷崩(西側)と対面。迫力に息を呑む。
12時51分、新窪乗越に立つ。見下ろし、急勾配におののく。
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12時51分、新窪乗越に立つ。見下ろし、急勾配におののく。
安倍奥東山稜の十枚山、大光山を望む。感慨深い。
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安倍奥東山稜の十枚山、大光山を望む。感慨深い。
大谷崩を横から眺める。
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大谷崩を横から眺める。
吸い込まれそうに急なザレ場を下る。
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吸い込まれそうに急なザレ場を下る。
振り返り、新窪乗越を見上げる。ここまで来るとガレ場と化す。
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振り返り、新窪乗越を見上げる。ここまで来るとガレ場と化す。
下降を始めて1時間あまり、ようやく扇の要に着く。ダムに堰き止められた池の水面が美しい。
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下降を始めて1時間あまり、ようやく扇の要に着く。ダムに堰き止められた池の水面が美しい。
大谷崩の全容。
新緑の舗装路を行く。
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新緑の舗装路を行く。
あれから1時間、西側登山口への分岐点に到達。
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あれから1時間、西側登山口への分岐点に到達。
それから1時間、ようやく「黄金の湯」に到着。山頂からの5時間、よく頑張ったね。
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それから1時間、ようやく「黄金の湯」に到着。山頂からの5時間、よく頑張ったね。

感想

 今年も静岡の山々に焦点を絞り、3日間静かな山歩きをしよう、2月に暴風雨のため諦めた山伏を中心に組み立てた。宿もバスも押えた4月のある日、学生時代の後輩Iからメールが届いた。連休にどこかへ行くなら同行させてほしい、しばらく登っていないが足手まといにならぬよう気をつける。1日考えて応諾した。
 3日朝の予想天気図は、これ以上悪い絵は無いだろうと思えるほどひどい。初日は移動日とした。バス、普通列車をつなぎ、低廉移動で静岡駅に立つ。豪雨の後の安倍線、2年前の「相渕折り返し」という言葉が頭を過ぎった。駅前の蕎麦屋で桜えびを味わいながらバスを待つ。バス停へ移動し、先頭で並んでいると、相棒が現れた。日帰りか、目を見張るほど小さなザックを背負っていた。
 バスは定刻どおりに発車し、定刻どおりに到着した。周りには何も無い。その宿のためだけに設けられたバス停だった。5分で目的地に到着、部屋に通され荷を解く。(中略)
 
 昨晩、囲炉裏を囲み様々な話を聞かせてくれたご主人は、御年81歳、しなやかな動作にただただ驚いていた。そんなご主人が登山口駐車場まで運んでくれたお蔭で、私たちは6時すぎに出発することができた。林道を横断する沢の勢いは強く、昨日の降雨を推し量れる。ほどなく現れる登山口から蓬峠までは、序盤に適した緩やかな道が続いていた。
 Iは、早くも峠のベンチに座り込んでしまった。2年のブランク克服に手間取っているようだったが、標高差1,100メートル、それなりの急登は甘受しなければならない。その後の約1時間半で、体力消耗が著しいことを知り、稜線手前のなだらかな場所で多めの休憩時間を取った。すでに1時間の優位は20分ほどに縮まっていた。
 山伏の山頂には、強い北風が吹いていた。標柱に括り付けられていた温度計は気温3度を示していたから、体感温度はマイナスだったはず。幸い陽射しは強く、私たちは風を避けられる南面の草原に腰を下ろした。先ほどまで、もう帰りたいという表情をしていた人は、嘘のように張り切ってコーヒーを淹れている。朝食の替わりに宿で包んでくれたおにぎりは、とてもおいしく、短時間に3個を平らげた。
 富士山を眺めながら、この先稜線を歩き続けるか、往路を戻るか、思案していた。コースタイムに従えば、周回しても、温泉に浸かり最終バスに乗れる。問題は9時間の歩行時間に耐えられるかどうか。問いかけると、このまま予定どおり進もうと言う。その元気な姿を目の当たりにし、縦走を続けることにした。
 先ほどまでとは異なり、心地よい風が稜線の道を吹き抜けていた。Iは、登り返しの不安を紛らわすかのように話し続けている。地図を見ているのは私だけだったから、大平沢ノ頭の存在は告げずにいた。果たして、気力が充実していたからか、そのピークを難なく通過し、大谷崩を視界に収める時が来た。
 砂の急斜面に圧倒されながら、ザレ場を慎重に下りる。下に誰もいないことがわかっていても、落石に細心の注意を払い、時折後ろを見上げた。別に落石が怖いわけじゃない、そう言うと、白出沢を思い出す、の応え。過ぎ去った時間に思いを馳せ、何だか心が躍っている気がしていた。
 やがてザレ場はガレ場へと移り、崩壊地末端の、扇の要と呼ばれる場所に着いた。これから始まる林道歩きに備え、一呼吸を入れる。ローカットを履くIは、小石を笑いながら取り出していた。けれどもこののち笑えない状況が続く。
 覚悟していたとはいえ、舗装路の2時間歩きはやはりきつかった。林道の長時間歩行に慣れているつもりの私でも、7時間の後の2時間は堪える。隣を見ると、それまでの饒舌ぶりが嘘のように無言で脇目も振らず歩いていた。確か夏合宿で、積丹半島を歩いていた時もこんなだったよな、言いかけてやめた。
 新田温泉に着いてからようやく口を開いた。お腹が空きました。閉館1時間前に入り、辛うじて汗を流せたが、食事処はすでに閉めていた。休憩所でアイスクリームを食べ、バスを待つ。宿のご主人に下山の報告をした。
 バスは、夜のしじまの中、隣の寝息と共に南下を続ける。長く、楽しく、厳しい時間だった。街の灯りに車窓が明るくなる頃、ようやく目を覚ました。静岡駅はもう近くに迫っている。何、食べようか。

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