両神山☆八丁尾根より周回
- GPS
- 05:04
- 距離
- 6.5km
- 登り
- 825m
- 下り
- 826m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
八丁隧道〜志賀坂トンネルの間は道路工事により通行止めであり、大滝を経由して上落合駐車場にアクセスする必要あり |
コース状況/ 危険箇所等 |
八丁峠〜東岳は鎖場の連続 東岳〜両神山山頂は山頂直下にわずかに鎖場があるものの、危険箇所のほとんどない緩やかな道となる 両神山山頂〜落合橋への下りは明瞭な踏み跡あり、感想参照 |
その他周辺情報 | 日帰り入浴施設 道の駅 大滝温泉あり |
写真
感想
鳥取県にある扇ノ山を下山したまま、用意しておいた上着とシャツを着込んで東京へ出張。会合が終わるや否や、西武鉄道の特急レッドアロー号に乗り込んで一路、西武秩父を目指す。
しばらく前に登山をされる親しいご夫婦と横浜で会食をした時のこと、どこの山が最も印象的でしたかとお伺いした際に両神山と即答であった。東京近郊で生まれ育ったにも関わらず、百名山の一つである両神山には足を運んだことがない。本来、5月半ばであればアカヤシオが山を彩る季節なのだろうが、今年は花の時期が早いのはこの両神山でも例外ではないらしく、2週間ほど前の連休の頃には既にアカヤシオも終盤であったらしい。
両神山の登山コースは複数あるが、ご夫婦が八丁尾根がよいのではないかと仰るので、調べてみるとスリリングな鎖場と鋭鋒が続くこ魅力的な登山路だ。当初、出張の前日に日向大師から清滝小屋に泊りがけでの山行も考えたが、金曜日は全国的に雨の予報だったので清滝小屋泊は諦めて、レンタカーで八丁尾根にアプローチすることとした。
翌朝は日の出前にホテルを出発し、前夜のうちに借りたレンタカーで大滝を経由して八丁峠を目指す。個人的には日の出前に八丁峠に辿り着きたかったのだが、連日の山行の疲れもあることだしと、そのプランは家内に即座に却下される。
登山口となる上落合橋には鹿野を経由して志賀坂峠のほうから回るとはるかに早いのだが、崩落危険箇所に対する道路工事のためしばらく通行止めが続いているらしい。上落合橋の駐車場に辿り着いたのは5時半過ぎであったに関わらず、車8台〜9台分の駐車場は既に5台の車が停まっている。
大滝のあたりの電光掲示板に示された気温は8度とのことであったが、駐車場の辺りは5~6度であろう。天気はよいものの、かなり肌寒く感じられる。八丁峠への登りは気温の低さのせいでほとんど汗をかかない。峠が近づくとブナやカエデの新緑がまばゆい。辺りにはトリカブト、ハシリドコロ、バイケイソウ、マムシグサと何故か毒草ばかりが目につく。斜面に咲いているレンゲツツジも毒草のひとつだ。
八丁峠を越えるといよいよ急峻な登りとり、鎖場が連続する。細かい足場が多いので、鎖がどうしても必要な箇所はほとんどないと思われる。勿論、いざという時には鎖を掴むことが出来ると思うと安心である。全般に、雨で岩が濡れていないかぎり、難易度の高い岩場は少ないと思われる。しかし、足場が多いということはホールド(岩場の手がかり)が崩れやすいことを意味するので、岩を落とさないように細心の注意を払う必要があろう。特に後続がいる場合には尚更である。我々も念の為、ヘルメットを装着する。岩場の急峻な斜面には多くのイワカガミの群落が緊張感をほぐしてくれるようだ。
西岳の手前からは絶景ポイントが連続する。後ろの正面には雲の合間に残雪の多い八ヶ岳連峰がわずかにその姿を見せる。右手には雲の上に浅間山が顔を見せている。好展望の岩場で簡単に朝食をとる。西岳、行者峠、東岳の他にも多くの岩場で好展望に恵まれることもこの八丁尾根の魅力でないだろうか。東岳の手前で山頂から往復されるソロの若い男性の方と擦れ違う。二週間前に上落合橋の登山口を目指すも志賀坂方面からの通行止めでアプローチ出来ず、今日は無事リベンジ達成とのこと、何よりである。
最後の鋭鋒である東岳を過ぎると、それまでの岩場続きの緊張感溢れる登山道からはうって変わり、緩やかな樹林の中の道となる。山頂の直前で先行されていた親子の二人組とソロの方の二組とご一緒になる。わずかに鎖場あるが難なく山頂に辿りつく。
両神山の狭い山頂は既にかなりの人である。日向大師の登山口の方から登ってこられた方も続々と到着される。山頂からは360度の大展望である。西の方には北アルプスの山々を一望する。南の方角には雲取山の右手に富士山がその頂きを雲の上に突き出している。富士山を眺めながら、山頂の南面にある見晴らしのよい岩場の上で二回目の朝食とする。
山頂からは白井差口方面に少し南下したコルでは見事の白樺の林が広がっている。過去のレコでも多くの方が通られているが、このコルから上落合橋に向かって下る道がある。この道の分岐点にはトラロープが貼られ「立入禁止」の札が掛けられている「登山道ではありません」とのこと。京都に帰るには時間的にも辿ってきた八丁尾根を引き返す余裕はないので、この道に入らせて頂く。しばらく前のレコでも報告されていたが、以外なほどに踏み跡の明瞭な登山道で、倒木もほとんどなくかなり歩きやすい道である。
最初は斜面のトラバース道が続くが、やがて両神山と東岳の間から西に延びる尾根を下るようになる。順調に下っていくと登ってこられる初老の男性とお遭いする。昔から両神山に相当よく登られておられるらしい。立ち話で長いことお引き留めしてしまったかもしれないが、いろいろと興味深いお話をお伺いする。八丁尾根は昔は危険なところも少なくなかったが、最近は鎖が整備されて以前に比べればだいぶ安全になったとのことである。それから、以前は落合橋と両神山山頂を結ぶこの道は大勢の登山客が往来したものだったが、数年前に立て続けに二件の事故が生じ、それ以来、上と下の入口に立ち入り禁止のトラロープが貼られるようになってしまったとのこと。多少、急な坂はあるものの今更、改めて整備する必要がないほどに歩きやすい道である。危険という点では八丁尾根のほうが余程、危険箇所も多くで、八丁尾根を歩く登山者のためにもこの道の存在を明らかにした方が良いのに・・・と個人的に思う。
紅花灯台躑躅や蓮華躑躅が咲く急峻な山道を下って一気に駐車場に辿り着く。驚いたことに駐車場の上にも下、橋の手前にも数台の車が停まっており、この八丁尾根の人気の高さが伺える。さらに私達が停めたときにあった5台の車の内、3台は既に出られたようだ。途中ですれ違ったのはお一人のみだったので、二組は我々と同じ下山路を辿った可能性があるということであろう。
帰りは大滝温泉で一汗流してから、京都までの長い帰路につく。その前に昨夜のホテルに忘れ物をとりに立ち寄ったのだが、ホテルの手前、赤平橋のあたりからは東岳、西岳の尖峰を従えた両神山の雄姿を辛うじて遠望する。秩父から眺める山の遠さに改めて両神山の奥深さを知るのだった。
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