熊山☆シダヤブと好展望の清水尾根〜万富コース縦走
- GPS
- 04:16
- 距離
- 16.6km
- 登り
- 837m
- 下り
- 880m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年11月の天気図 |
アクセス |
登山口へは山陽本線和気駅よりタクシーで大中山温泉(跡地)へ 下山は万富駅へ |
写真
感想
先週に続き、二週連続で土曜日に岡山への出張が続く。この日もどうやら快晴が期待出来そうだ。岡山での仕事の前に、chimachuを誘って、熊山に登ることにする。以前に和気アルプスを登った際、雲海の彼方で大きな山容を広げていたこ山が気になったいたのである。
熊山というのは一つの山というよりは幾つかの小さなピークが集まって出来た山塊を指すようだ。多数の登山コースがあるので、どのようなコースをとるか選択に迷うところである。この大きな山塊を縦走するということを考えると和気駅の近くの論山から尾根を辿るのが一般的であるようだが、あまり眺望のよいルートではないようだ。そこで南西部の清水尾根に目がいく。小さなアップダウンが続くが、尾根上にいくつもの送電線鉄塔が並んでいる・・・ということは良好な眺望が期待出来そうだ。この尾根を熊山アルプスと呼称しているサイトもあったが、その名称は残念ながら人口に膾炙しているとは云い難いようだ。
和気の駅からはタクシーで「大中山温泉へ」と運転手に告げると「あそこは数年前に廃業になりましたよ」。そこは既に事前に確認済みである。老夫婦が営んでいた小さな温泉は4年ほど前に廃業してしまったらしい。「そこから熊山に登るので、温泉の跡地で結構です」「私は何度も熊山に登っておりますが、あそこから登る登山道というのはきいたことがありませんな〜」。
果たして、大中山温泉の跡地に到着してみると完全な更地になっており、かつてここに温泉があったことを示すよすがは何もない。道の反対側は崖地となっているのだが、その間にかすかな踏み跡とロープがある。それが登山口であった。登り始めるとすぐに明瞭な道が現れ、電力会社の送電線巡視路特有の偽木階段が続いている。尾根に到達すると、まわりは低木が多く、絶好の眺望が続く快適な登山道である。kのコースを選択したことをchimachuと二人で喜んだのだが、それはとんでもないぬか喜びであったことをこの時点では知る由もない。
No.5と記された送電線鉄塔を過ぎると道は南斜面を下っていくようだ。これはどうもおかしいと思って地図を見直すと、巡視路分岐とあり、本来の登山ルートは尾根筋を辿らねばならない。尾根上に戻ると繁茂する羊歯の間に微かな踏み跡がついているばかりである。ここまで快適な登山路だと思っていたのは実は送電線の巡視路だったことに思い至る。
ここから先は一足毎に足を羊歯の中から抜き差ししつつ前進することになる。羊歯だけなら良いのであるが、ところどころにサルトリイバラと思われる有棘植物が潜んでいるのでたちが悪い。Tシャツやランニングタイツには頻繁にイバラの棘がからみつくので、その度毎に慎重に棘を外す手間を強いられる。Tシャツは長袖であったから良かったが、素肌が出るような格好であれば無数の擦過傷を負うことになったであろう。
頻繁に倒木もあるので、倒木の先の踏み跡を見極めた上で慎重に倒木を越えてゆく。登りで傾斜がきつくなると、繁茂する羊歯はジャングルのような様相を呈してくる。深いところでは背丈ほどの高さの藪こぎを強いられることになる。当然ながら、先程まで随所でみられた眺望も全くといってもいいほどみられない。ところどころにつけられた小さな赤いデープのお陰で間違いなく登山路を辿っているという確信はあるが、ルート・ファインディングや藪こぎの経験のない方には到底お薦め出来ないルートである。
烏帽子岩にたどり着くと、山頂は見晴らしはないが三角点の石標がある。ここからは先はようやく明瞭な踏み跡が現れる。伊部からの登山コースが通じているので、ここを通る人がおられるのだろう。登山路は細いものの、chimachu曰く「先程までと比べるとパラダイスのようですね〜」。
畳谷、鬼ヶ城、不老山からのルートと合流する五叉路を過ぎると、ここからは途端に良く整備された快適な登山道となる。羊歯が繁茂する箇所では道の両側は広く刈り込みされた後だり、登山路も広い。伊部から熊山に登るコースと合流するからであろう。ここまでは誰とも出遭わなかったのだが、女子大生や岡山工業高校のパーティが登っておられるのに出遭う。
やがて登山道は幅の広い林道に出る。さすがに山の上だからか、美しく紅葉した樹々が目につく。林道の右手には赤く塗られた三角点の石標が目にはいる。三角点の上に目を上げると、樹に大滝山の山名標が掲げられている。見過ごしてしまいそうな小さな木製のプレートに書かれた文字は掠れて、もうすぐ判読不能になりそうである。
林道からは左手には瀬戸内に面した片上湾が見え、その右手には海を挟んで小豆島が大きく見える。
林道を進みかけるが、尺八山へのルートが見当たらない。細い踏み跡を追って左手の法面へと入ってみると、どうやらそれが尺八山への登山ルートのようだ。全く見晴らしのきかない樹林の中の道を進むと、山頂と思しきなだらかなピークの樹に尺八山の山名標を見つける。「楽器名の山シリーズ 尺八山」と書かれた白いプレートは否が応でも目につくが、判読も容易でない小さな木製のプレートのみではうっかりと通り過ぎてしまいそうである。
ところで「楽器名の山シリーズ」ということで検索しても、ネットではヒットしない。どうやら養老山地の笙ヶ岳の山頂にも「楽器名の山シリーズ」の山名標があるらしい。しかし、他にはどんな山があるのか、皆目見当もつかない。全国の楽器名の山を巡って、この山名標を架けられる方に脱帽である。
ここからは道に沿って尺八山の南稜を下ると、山腹をトラバースする道に出るので右手に進むと、先程の大滝山林道に出る。今度は熊山の三角点があるピークを目指すが、NTTの電波塔への案内はあるものの山頂を示す案内はどこにもない。電波塔へと舗装路を上がり、ぐるりと回り込むと塔の南側に三角点の石標を見つける。四方には石を配しており、三角点というより何やら遺跡や御神体の様である。
この三角点から林の中を見ると小さな赤テープがついている。テープに誘われるがままに林の中を迷路を進むが如く、細い踏み跡を辿ると、忽然と開けた場所に出る。電発電波塔と書いてあるところだった。
再び舗装路に出て西に進むと熊山神社の下に出る。神社にお参りすると、参道の長い立派な石段を下り、道なりに進むと巨杉が二本、聳えている。大層立派な杉の樹ではあるが、案内板の樹齢約千年というのは少しサバを読みすぎではないかと思われる。
熊山遺跡は方形の石組みを数段積み上げた構造をしており、いつどのような目的で作られたかよくわからないというが、ピラミッドの如きパワースポットの感を呈している。背後を振り返ると、赤い衣を着たお地蔵様の前で椿の樹に華麗なピンク色の花を多く咲かせている。そのすぐ前、猿田彦神社への参道の手前ではすっかり黄色く色づいた葉を纏った大きな銀杏の樹が見事であった。
遺跡の南側には展望台が設けられ、あたりは大勢の登山者で賑わっている。展望台からは南側から西側の展望が開けており、小豆島、直島、豊島といった瀬戸内の島々、岡山の市街までがよく見える。目をこらしてみると随所で収穫の終わった田圃から煙が立ち上っており、深まりゆく秋の風情を感じさせる。
ここからは経盛山を越えて万富の駅を目指すことにする。万富コースに入るとすぐ右手に分岐するコースをみつける。地図をよくよく見ると経盛山という文字が見つかる。山頂には巨大な送電線鉄塔があるが、その小さな山名標はこちらも通り過ぎかねない鉄塔の南東の登山路の傍らの樹に掲げられているのみである。地図の上での扱われ方もお粗末に思われるが、ピークは50?mと高く、熊山山塊の中では西端部の堂々とした山である。
再びピークから万富コースに戻り、登山路を下ると龍神山のピークの手前、尾根上の花崗岩の岩場となり、再び南方向に好展望が広がる。地図には眺望絶佳と記されたポイントである。眼下の足元にはS字状に大きく蛇行する吉井川が川面に青い空を美しく反映する。
龍神山のピークにも立ち寄ろうと思っていたのだが、眺望に見惚れていたせいだろうか、ピークへと入る小径を見落としたらしい。ピークの西側で獣道のような細い踏み跡が左手から合流するのに気がつくが、万富駅からの山陽本線の電車の時間が気になるので、先を急ぐ。
駅にたどり着いたのは13時12分。山陽本線の電車が到着する1分前であった。この電車に乗ることが出来れば仕事の前に岡山のお気に入りのらーめん店に立ち寄ることが出来るというもの。果たして岡山に到着して店を訪ねてみると、営業時間中の筈なのに店は閉まっている。なんと私もchimachuもこの日が祭日であることをすっかり失念していたことをようやく気がつくのであった。
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