奥久慈男体山
- GPS
- --:--
- 距離
- 13.4km
- 登り
- 1,030m
- 下り
- 1,034m
コースタイム
- 山行
- 5:35
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 5:40
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大円地山荘脇の木道がかなり傷んでおり、穴に足を突っ込んだり、踏みぬいたりすると大怪我になるので注意が必要です。特に暗い早朝と夕方にはいっそうの注意を。 一般コースの木の階段部分も丸太が朽ち果てて押さえの鉄杭だけが飛び出している箇所が散見します。下山は楽勝と走ったりすると、これまた大怪我を招くので気をつけましょう。いくつかにはテープが巻いてあります。 健脚コースの下部は踏み跡が枯葉に覆われていて辿りにくくなっています。特に自分のように下山で健脚を使う場合には変なところへ迷い込まないように用心が必要です。 (座禅岩に関する注意) 座禅岩(筆者勝手に命名)へのルートは地図に記載のないバリエーションルートで、一般ルートではありません。鎖はありません。ルートを示すテープもありません。登はん要素はありませんが、枯葉が深く積もっていてホールドがとりづらく滑落する危険があります。草付きの雪の急斜面とよく似た感じです。従って、アイゼンとピッケルの装備があると安心です。筆者は今回丸腰で臨んでかなり怖い思いをしました。かつて登ったことがなければ撤退していたでしょう。 |
写真
装備
備考 | 雨具上下、水、カロリーメイト、スマホ(地図とGPS目的)、ヘッドランプ、サングラス、日焼け止め(あらかじめ塗ってスタート、それでも今回は焼けました)。 |
---|
感想
■山をやめるかも?まだ大丈夫
今年の正月休みの最後に、故障した足の回復を確かめるように奥久慈男体山を登って以来、低山も含めて山から遠ざかっていた。山をやめる気で遠ざかっていたのではない。いつでも戻れるように、走ったり、懸垂や腕立てをやったりして最低限度の体力作りはしていた。しかし一時期のように毎日山のことばかり考え、スケジュールとルート情報集めに血道を上げていたときのことを考えてみれば、山に対する関心ががまるでなくなってしまったのも同然の状態が続いていた。
熱狂がさめたときに、無理に登ると死ぬ。
まず、山に対する情熱がまだ残っているのかどうかを確かめるために、我が心のふるさととも言うべき奥久慈男体山に戻ってきた。たぶん戻ってきただけでも大丈夫だと思っていた。今日も、本当は東京に出てワインを飲んでこようと思っていたのだ。しかし朝走りながら、薄明に浮かび上がる日立アルプスを見ていたら、ワインじゃなくて山だろうと思ったのだった。
かくして、朝ひとっ走りジョギングした後であるにもかかわらず、最低限度の荷物をザックに詰めて奥久慈にやってきた。
いつものように西金駅に車を停めた。3連休の初日ということもあってか、普段はがらがらの西金駅駐車場もほとんど満車寸前の状態であった。
国道118号を渡ってすぐに、奥久慈岩稜がその片鱗を見せる。いつものように、いや暫く遠ざかっていた後だけに、いっそうの狂乱状態になり、足取りがいっそう速くなった。どうやら、まだ大丈夫なようだ。
男体山をやるだけならば、登山口近くに車を停めるところはいくつかある。そこが満車になっても弘法堂に少し広めの駐車場があり、そこからでも十分アプローチできる。初男体山は弘法堂に車を停めた記憶がある。
しかし、西金から徐々に近づく岩稜がもたらす狂乱は、車で一気にアプローチしては味わうことができない。P460、入道岩、鷹取岩を擁する奥久慈岩稜がどんどん大きくなってくる、そして民家越しに奥久慈の盟主男体山が圧倒的な全容を見せるとき、興奮はピークに達した。あれもやりたい、これもやりたいというアイデアが次々と沸いてくる。この狂気がまだ感じられるうちは大丈夫だろう。
でも、1年近くハイキングもしていない。今日はほどほどにしておかなくては。
車道まであふれかえった大円地駐車場を横目に、男体山に手を合わせて無事を祈った。
■いつものように一般で登り、健脚で降りた
一般コースで登った。木道がかなり傷んでおり、最近人気が急上昇していることが伺われた。特に紅葉シーズンは1年のうちで最も登山者が多い季節だ。多くの登山者とすれ違うのではないかと思っていたが、車の台数の割にはすれ違った登山者の数は多くなかったように感じられた。
頂上の祠で無事を感謝し、またこれからの精進を誓ってから健脚コースで下山した。登りに比べるとホールドの取り方が難しい下りは、頭を使うので面白いところがある。また下を見ながらの下りは高度感が案外高い。じっくりと時間をかけて展望台岩まで戻ってきた。いつもならひと攀じするところだが、今日は元気なついでに座禅岩(筆者勝手に命名)に寄ってこようと思ったので、日没になることを避けるべく展望岩はスキップした。
メインの鎖場の終盤、そして座禅岩(筆者勝手に命名)の登り口であるところの、かつて割れヘルメットが乗っていた標識を通過するところで、これから取り付くお嬢さん二人とすれ違った、この谷を詰めることを告げたら驚き、かつ励まされた。黙っていたほうが良かったのかも知れないが、道迷いと思われることを嫌ったというわけもある。むろん、女の子の前で格好いいところを見せたいというところもたっぷりあったのだが、、、。
■座禅岩(筆者勝手に命名)はかなりしょっぱかった
実は座禅岩(筆者勝手に命名)は登はん要素はほとんどない。しかし枯葉が深く積もった急斜面は、丁度腐れ雪の急斜面を登るような別の種類の難しさがある。ピッケルにアイゼンでもあれば安定に登れるが、今回は丸腰な上に靴も底の柔らかいハイキングシューズだ。滑落の恐怖と戦い。そしてところどころ倒木に行く手を阻まれてルート変更を余儀なくされた。右往左往しながら、しかし潅木に助けられつつ、何とか座禅岩のコル(筆者勝手に命名)に到着した。ここまで来れば危険度はほぼなくなるが、今度は少しいやらしい薮こぎになる。そういえば今日の服装は薮こぎ仕様でもなかった。松の葉が食い込んだり、いばらなどの潅木で山パンツを引っかかれつつ、小岩峰へたどり着いた。ここを1mほど登れば、かつては憧れのピナクルだった座禅岩の頂上である。
滝倉尾根、滝倉別尾根(筆者勝手に命名)の紅葉が美しい。それにもまして、奥久慈岩稜のもろい岩壁に張り付くようにしている潅木の紅葉が岩壁と美しいコントラストを作り出していた。紅葉シーズンとしては、イロハモミジを除けば盛りを過ぎた感もあるが、ところどころに輝くような金色の霞を楽しむことができた。
そして座禅岩(筆者勝手に命名)から眺める奥久慈男体山の正面岩壁が誘う。奥久慈岩稜に比べると、高度感は若干劣るものの、いくつものルート(?)が走っている。最も自分の実力ではとても手に負えるものではないことは、言うまでもない。紅葉への名残は尽きないものの、そろそろ日没が気になる。降りよう。
まず、稜線を少し巻いて、薮こぎが軽くなるコースを選んで、コルまで戻ってきた。ここからが勝負だ。登りでもかなりしょっぱかったホールドの少なく滑りやすい急斜面を、今度は降りなければならない。最初は自分のつけた踏み跡が明瞭だったのだが、途中から踏み後が不明瞭になり、ホールドを取ることを優先しつつ、最も安定して降りられるルートを探しなおしながらの下降となった。
何とか一番悪いところを通過し、座禅岩(筆者勝手に命名)の基部岩壁を通過したと思ったら、健脚コースの標識を知らぬ間に通過していた。どうやらこれで死なないで済みそうだ。そしてまだ山への情熱は冷めていなかったことがわかってほっとした。
健脚コース下部も座禅岩(筆者勝手に命名)の急斜面同様、枯葉が深く積もっており、日没前であったにもかかわらずルートファインディングは容易ではなかった。普段ならば間にも考えずに踏み跡をたどればよいところだ。しかし今回は枯葉でほとんど取れなくなった踏み跡を追いかけた。こんな最後の小さな冒険をこなしつつ、ところどころ斜度のある斜面を横切り、何とか潅木のトンネルを抜け、茶畑の横に飛び出した。
■夕方の表情はすごい
大円地駐車場でいつものように無事の下山を感謝して、手を合わせた。男体山は勇気を浴びて金色に輝き、その谷や岩溝そして岩穴の彫りをいっそう際立たせて、奥久慈の盟主にふさわしい堂々とした姿を見せていた。まるで標高まで1000mほど高くなったようにさえ感じる。奥穂高だって、この姿と比べればなだらかに感じるのはひいきの引き倒しかもしれないが。
この夕方の男体山、そして奥久慈岩稜の姿を振り返り、振り返り、西金駅へ下山した。途中、件のお嬢さん方が、車で下っていく途中で止まって声をかけてくださった。どうやらお互いにピークに立った所を見られなかったようだ。自分が座禅岩(筆者勝手に命名)に立つのに思いのほか時間がかかったからに違いない。お互い無事の帰宅を祈って別れた。
西金への最後のひと歩き、登りと同様に旧道を使った。道に沢の水が流れている箇所があり、ペットボトルに詰めて持ち帰った。若干甘く感じたのは、カルキが聞いていないせいだろうか。
国道118にたどり着くころには日没も過ぎ、奥久慈岩稜は静かに闇に包まれようとしていた。
また来よう。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する