表妙義縦走🌸さくらの里〜強風と断崖のカタルシス
- GPS
- 08:13
- 距離
- 17.0km
- 登り
- 1,528m
- 下り
- 1,517m
コースタイム
- 山行
- 6:16
- 休憩
- 1:57
- 合計
- 8:13
天候 | 晴れ 強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
さくらの里に自転車をデポ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・さくらの里から妙義神社まで約7kmは自転車走行です。 ・妙義山稜線上は鎖場、岩稜登攀の連続。滑落事故が多く各所に警告あり。しっかりとした山行計画が必要。 ・当日は雨後の岩稜と靴底の泥で滑りやすかった。稜線上やその北側は北西から10〜15m/sの強風、体感温度は5〜8℃。逆に南側は山で堰き止められ微風で暑く15℃。鷹戻し付近は、強風をもろに受け、煽られ緊張を強いられた。 ・妙義さくらの里、ソメイヨシノ五分咲き、彼岸桜満開。開花状況など詳細はHPにて。http://g-kikin.or.jp/sakura/sakutop.html |
写真
感想
遠く離れた場所からでも、その山の険しさは見て分かる。ギザギザで奇妙な形や柱のような岩峰の数々。人の立ち入りを拒絶するように断崖がそびえ立つ。荒々しい岩稜の連なりは、時と自然が作り出した風景、人にはそれが美しく見える。
高度感ある断崖に恐怖を抱き、生と死のはざまを意識し強く鎖を握る。崖と岩の抑圧にもどかしくも登攀していく。静寂のルンゼ、心のわだかまりを捨て去り、無心になって着実に頂きを目指す。
征服した頂きからの眺望は美しく瞳に映る。難関を越え達成し清々しい心で佇む。登頂のカタルシス。この広い自然と青空に心を解き放つ。
妙義さくらの里のソメイヨシノの開花が始まったと花便り。予定通り妙義山へ。昨年12月に第二見晴西の復旧工事が終わって中間道は通行可能だが、ミョウギコザクラが咲いていれば幸運と稜線縦走で行くことにした。また今年初の自転車を使った周回もする。
早朝4時まで降り続いた雨。雲も東へ抜けるのは6時頃。日の出も見られないので、5時に前橋を出発。道端の桜を見ながら車を流す。妙義神社をスルーして妙義公園駐車場へ。駐車場から金洞山を眺める。予想通り快晴だが風が強くなりそうだ。
少し戻ってさくらの里入り口に停める。まだ開門していない。自転車を下ろしてトイレ裏にデポ。妙義神社へ再び戻り市営駐車場に停める。土日や混雑時は登山者専用駐車場に停めるのだが、平日の閑散時期なので迷惑は掛からないだろう。3台しか停まっていない。
装備して出立。先行者3名が参道を歩いている。満開のソメイヨシノを眺めつつ会話。稜線縦走で堀切で下りるそうで、鷹戻しは危険で行かないそうだ。先行者を抜いて神社本殿で参拝。北に抜け登山道へ。
急坂の樹林帯で鳥のさえずりを聞きながら大の字へ。俯瞰する景色を堪能し辻へ向かう。辻には上級者ルートの表示がある。装備も技術も金もない愚か者。不屈の気力と有り余る体力で悪知恵を駆使して切り抜ける。
奥の院でも参拝し無事な帰還を祈願した。最初の長い鎖場を上がり見晴へ。北端まで行き景色を俯瞰。朝の冷たい風が清々しいほどの高度を感じさせる。上越県境はまだ降雪している。浅間山は再び真っ白に雪化粧。前掛山は今日も爆風だろう。
ビビリ岩の鎖場を登って行く。当日までの降雨で湿っている岩稜。登山道の地面も湿っており、靴裏にその泥が付き滑りやすい。稜線を登るにつれ北西の風が強く吹き始めた。見渡す裏妙義の素晴らしい景色に夢中。思わずカメラを取り出して撮影。
玉石からの風景を楽しみ、背ビレ岩を越えると大のぞき。断崖の最上部に居り、高度感ある景色を堪能する。南側は金鶏山、筆頭岩、西上州の山並みが見えていた。30m鎖場を降下しキレットを進むと天狗岩。軽く食事をしつつ風景を楽しむ。
西肩から丁須の頭など裏妙義と浅間山を眺めて、タルワキ沢のコルへ下りこむ。ここが溶けだした霜と泥と木の根で滑りやすかった。表妙義最高点の相馬岳で記念撮影。三脚がなびくほどの強風。倒れないようにザックを重りにした。
急坂を下り分岐を南下。茨尾根を歩んでいく。再び急坂を登り返し、岩の隙間の空間を潜り抜ける。どうでも良いような所で頭をぶつけるのでヘルメット必須。
茨尾根のピークから北側は歩んできた白雲山、相馬岳、南側は金鶏山、筆頭岩、奇石群の尾根を眺める。堀切を過ぎ鷹戻しへ向かう。断崖を見ながら北側を巻いていく。ミョウギコザクラはまだ早く咲いていなかった。
分岐から見上げる鷹戻しの頭。ヤセオネを経由して湿った道をトラバースして高度を上げる。断崖の岩稜帯を登っていく。北西の強風が吹き付け、突風が体を煽る。最初の鎖場では強風で身体を振られ左ひじを強打。骨に染み入る痛さ。ミノムシの気分。鉄はしごがアルミはしごに架け替えられたいた。
下を見ると痺れるほどの高度感ある三連鎖場のトラバース。足場はしっかりしているのだが、雨後と靴裏の泥で滑りやすく、北西からの強風にさらされ煽られた。悪条件での高度感ある登攀は緊張の連続。ここは落ちたら死しかない。たった一度のミスが死を招く。
鷹戻しの頭に到着。振り返ると相馬岳、白雲山。200m近い断崖の高度感。マゾヒズムとは違う、クライマーズハイに近い感覚だがそれとも違う、すっきりとした清々しい気持ち。
南東方面は金鶏山、筆頭岩、さくらの里。緊張を強いられた登攀を終え、眼下に見る景色は素晴らしいの一言。清々しい気持ちで佇む。まさに精神が抑圧から解放され浄化する。鷹戻しのカタルシス。
東西に走る尾根を越えるとルンゼの鎖場。オーバーハングして足元が見えにくい。鎖のあぶみがあるが、私は足が大きく抜けにくいので掛けなかった。
時間と遠回りになるので中ノ岳へは行かず、東岳から大砲岩分岐へ下る。ザレた急坂にはロープが設えてある。道端のスミレに心が和む。
奇岩群には立ち寄らず、第四石門と日暮の景を眺めて見晴台へ。金洞山を見上げ険しい岩稜帯を眺める。強風と時間がないため轟岩には行かず、中ノ嶽神社で参拝し急階段を下る。
参道を通りさくらの里へ。県道の歩道を歩いてさくらの里の概観を眺める。ソメイヨシノは五分咲き。彼岸桜が満開。管理事務所から一本杉園地方面を散策。五分咲きのソメイヨシノ並木を眺めた。
デポした自転車を回収し、通路のソメイヨシノ並木に送られ出入り口へ。筆頭岩が凛々しくそびえ立つ。県道も北西の風の影響があり、彼岸桜の花吹雪。桜舞い散るなかを自転車でゆったりと下っていく。
振り返ると五分咲きのソメイヨシノを山麓に従えた金洞山。厳しく険しい岩稜に優しい彩りを添える。県道は金鶏山を迂回するように進む、今日の山行を振り切るように金洞山が見えなくなった。
ヤマブキ、ツバキ、ミツバツツジが沿道を彩る県道を下り。途中でふるさと美術館に寄り道。大の字から見た桜並木を観賞する。満開のソメイヨシノとレンギョウが出迎える。桜吹雪が舞う中を歩き展望スポットへ。
人を拒絶する金鶏山、金洞山、白雲山の荒々しい山並みが一望。サクラとレンギョウに彩られ、桜吹雪が舞い散っている。日本の美しい景色。まさにカタルシス。
市営駐車場に無事帰還。打撲した左ひじが少し痛むがすぐに治るだろう。自転車をきれいに掃除して積み込む。私は元から汚いので適当に着替えて乗り込む。
ふと前のガラスを見ると桜の枝が落ちていた。春の風の置き土産。再び車から降りる。見上げるソメイヨシノ。桜吹雪の風に吹かれ愛おしむ様にしばらく眺めていた。
コメント
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growmonoさん
こんにちは
57年前頃の出来事が夢幻の如く夢がえる。
妙義の白雲山の山頂で初夏の早朝に一人で登っていたら
山頂でリュックが一つあり、なんか遺書めいたのを発見
慌てて神社登り口の土産屋にその旨告げると、
直ぐに松井田の青年団が来てくれて山頂まで案内する。
ここから捜索を開始、崖下に倒れていた大学生を
皆して担架で担ぎ下ろす。
後日群馬県警よりガラス製の大きな花瓶と表彰状を頂きました。
いろんなことがありますね。
こんばんは、iiyuさん。
例年通り出かけましたが、少し早く五分咲きでした。満開時期は今週末ですね。
過去の開花状況も出てますので、ご覧ください。
http://g-kikin.or.jp/sakura/saku7.html
白雲山山頂となると相馬岳ですかね。断崖ですよね。落ちたら助かりません。荒船山も先日転落死者がでましたね。自己でも事故でも転落死はむごいです。早急なiiyuさんの対応でその大学生も浮かばれましたね。
growmonoさん こんばんは
今年初めて鷹戻しを通過しましたが、いつも呑気な自分でも…
落ちたら無事では済まないことは分かりました。桜の季節にも
行ってみたいと思いますが、天気の良い週末は渋滞しそうなの
で、また来年にしたいと思います。それにしても、強風下では
怖さ倍増でしょうね。お疲れ様でした。
埼玉のchii
こんばんは、chiiさん。
少し行くのが早かったですが、ソメイヨシノが咲き始めました。オオシマサクラもですね。その後は八重の関山や普賢桜が待機しています。GW辺りは素晴らしい咲きっぷりですよ。
稜線縦走は秋にshilokoさんと堀切まで行きましたが、鷹戻しは久々でしたので緊張しました。相変わらず素晴らしい高度感と眺望です。風が強かったですね。ヒノキ花粉がまだ飛散してます。
さくらの里は今週末非常に混雑するでしょう。妙義公園の駐車場も満車となります。桜の季節はどこでも混みますね。
growmono さん こんばんは。
現在の妙義は、秋、春と混雑しますね。
一年中登山者の途絶えない山となってきましたが、それなりに事故も多いです。
岩壁の城は絶壁ばかり、ここを制すれば北アなど怖くは無いと思っていました、・・・距離、時間は短いけど濃縮されています西上州の岩峰
そんな岩峰を包み込むような桜いいですね。
おはようございます、yasioさん。
平野部に続き山間部も桜が開花してきました。峻嶮な岩稜と鮮やかな花との取り合わせは、お互いを引き立たせて素晴らしいです。紅葉時期もそうですが、混雑しますね。
妙義山は春秋に必ず訪れております。ほぼ平日月曜ですが、日曜は確かに混雑してます。
初めて稜線縦走を訪れた時は十代でした。若い時は怖いもの知らずでガンガン行きましたが、年を重ね、世間に未練があり死も考えるようになってきた年齢ですので、恐怖を抱くようになりました。
たしかに甲斐駒ケ岳や戸隠、穂高など、妙義に比べれば子供だましです。おっしゃるように規模や距離が違いますが、恐怖心を抱かせる岩稜と景観が半端ないです。そんな厳しい岩稜とさくらを見ると心が和みます。
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