ミスコースで試練、紅葉の大岸壁(スラブ)の御前ヶ遊窟
- GPS
- 11:12
- 距離
- 33.9km
- 登り
- 1,188m
- 下り
- 1,463m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
このコースは「ハイグレードハイキング」に出ていたので、さらに調べて山行を計画。この地域特有の雪崩に磨かれた大スラブを登る唯一に近い一般コースという。 確かにザイルなどを使わなくとも登れるという点ではそうであっても、RF,その他、少しでも間違えると岩場で行き詰ったり、コースを外れて、岩場の薮漕ぎとRFを強いられる。ルート上に出ても、ソウケイ尾根と遊窟の間ですら、結構道がわかりにくく、正体不明の分岐や鎖場があり、そこに入っても、岩山直登ルートと思える別ルートになり、どこが基本経路か初めてでは判断がつきにくい。地形は複雑な岩と谷で読図も容易ではない。経験のある人との同行をお勧めする。 棒目貫の登山口にはポストがあり、ノートがあるので、ここで入山記録に記入。見ると昨日一人だけ。紅葉時期でもっと大勢入っているかと思いきや、登る人が少ないのも、このコースの特長か??今日も人っ子一人出会わず。 シジミ沢入口までは滑りやすい沢沿いの嫌な道だが、慣れれば大丈夫。シジミ沢入口はわかりにくい。赤テープを見落として魚留の滝の左上を巻いて進んでしまい、道がおかしいので後ろを振り返ったら対岸に赤テープを発見。魚留の滝の脇にもロープなどで道が作られているのは沢歩き用か? シジミ沢の最初の上りもいきなり滑りやすいコケの生えた大石の多い急な沢を上る。スラブの滑滝になり、右の石窪のような岩の溝の踏み跡を追うが途中で赤テープを見失い、まっすぐ岩溝と潅木の藪岩をよじ登るとすでにコースをはずしている。ハイグレードハイキングや他のネットの記録では詳しい記録は少ないので、何事もないかのようにスラブの登りが書かれているが、途中は非常にわかりにくい。スラブをまっすぐ登ればよかったが、踏み跡のある右の潅木付の岩溝を登ると、赤テープがなくなり、わけがわからなくなる。コース案内に記載されている大スラブの入口に出られない。すでに左下になっていると思われるが、下るのが怖いので戻れない。踏み跡らしきものを探して岩場を行ったりきたり。結局最後はソウケイ尾根に突き上げてしまった。ソウケイ尾根の下りも結構嫌な岩場と藪コース。経験ある人と同行することをお勧めする。 また井戸小屋山に向かう場合、山頂直下と最初のヤセ尾根のロープの岩場の間の岩場の細いロープは切れる寸前。危ない感じがしたので体重を乗せずに三点確保で登ったが、上に出て切れそうなロープを見てびっくり。体重をかけないでよかった。後で阿賀町役場の観光課にロープの状況を知らせておいた。ロープ自体ももっと太目の方がよいだろう。 井戸小屋山から林道へのくだりはこれまで見かけたネットの記録にはほとんどない(一件だけあったが詳しくない)が、道は整備され、赤テープが沢山あって不安なく下れる。標高も低いのであっという間に林道まで安全に降りることができる。 なおGPSログは登山口から津川駅まではMTBでの走り。 |
写真
感想
二日目は御前ヶ遊窟、朝5時30分頃、宿の玄関に向かったら、迎えのタクシーが早くも来ていた。MTBを輪行袋に入れようと思ったが、そのまま積み込めるというので、そのまま積んで出発。6時過ぎにたきがしら湿原によって状況を見ようと思ったが、大尾集落から登ると途中にゲートがあり、3月から11月まで朝晩ゲートを占めるという。仕方なく、戻って棒目貫に向かう。たきがしらは廃村になった集落の田んぼが湿原になり、観光地化したらしい。棒目貫はまだ数件残っており、一番奥の集落だ。登山口の駐車スペース手前の分岐でたきがしらに向かう林道を少し登ってみたが、結局こちら側にもゲートがあった。登山口でタクシーを降り、MTBを一番奥の登山ポスト横にデポ。登山ポストのノートに記入して出発。ポストにあるノートを見ると、昨日に一組入山の記録しかなかった。
沢沿いのアプローチ道は滑りやすいが昨日の御神楽岳への道のほうが厳しい。渡渉は二・三回あるが、石伝いに飛び越え可能だった。30分くらいでソウケイ新道分岐、さらに90分くらいでシジミ沢出合の先にある魚留の滝に出た。実はそのときは魚留の滝かどうかわからず、滝の横にテープやロープが見えたのでそこに入ってしまったが、その先は道がなくなり、高巻き道であることがわかった。振り返ると対岸に赤テープが見え、シジミ沢入口とわかった。戻って沢を渡渉して渡り。いざ出発。最初は水のほとんどない苔むした滑りやすい大小の石だらけの沢を進む。危なそうな場所にはロープがある。その先で樹林帯を抜けて滑滝のスラブに出た。目の前には御前ヶ遊窟周辺の岩峰がそそり立ち、紅葉の絶景と大スラブが広がっている。
撮影しながら大スラブに向かって進むが、途中ロープのない場所で右の樹林の中の岩溝に踏み跡がはっきりついている。スラブのなめた木の右の際を木に捕まりながら登ることもできるが、踏み跡がはっきりしているのでこちらに入る。しかし赤テープが見えない。ここで確認のために元に戻るか、左のスラブまで薮漕ぎして出てみればよかったのだが、抜ければ大スラブの下に出るだろうと安易に考えてしまった。しかし岩溝はその上も続き、コースは右寄りになってスラブ下には出なかった。結局右側の岩尾根に出てしまったらしい。もっと早い段階でGPSで確認すべきだったが、下準備不足だったのか、なかなか状況がつかめない。地形、岩峰の状況が読み取りにくい。準備不足、力不足だった。事前にチェックした記録ではこのあたりのアプローチは前提としてすんなりスラブ下に出ているが、ここは問題だ。
私の場合は「ハイグレードハイキング」の出ていたチムニー状の岩溝の登りと勘違いしていた。これはスラブ下に出てからの話だ。
戻るべきところで戻らず、岩尾根に進んでしまい、もはや後戻りもできない。下るにも急すぎて、潅木に捕まりながらの厳しい下降になる。間違う人もいるらしく、所々に踏み跡らしきところが出てくるが、道迷いの踏み跡だろう。岩尾根を上りきればソウケイ尾根に出られるのではないか、あるいはソウケイ尾根からの下降路に出ないかーーそんな甘い期待をしたがとうとう大岸壁に突き当たった。
右側を見ると岩尾根の東側の谷になっており、岸壁を右に回りこんで上に出られないかどうか、あるいは右下の谷に下って登り直すルートがあるかどうか、岩場の状態を観察し、検討したが危ないと判断。左側はシジミ沢スラブから突き上げる草付ルートでそこに下降できるかどうかーー。ケータイで救助依頼をすべきかどうか迷ったが、かけてみる。しかし案の定つながらない。これでルートを探す決心がついた。シジミ沢入口から1時間強の場所だった。まず行動食のお稲荷さんを補給し、落ち着かせてから左の谷の状態を観察し、潅木に捕まって下り、トラバースして谷筋の草付に出られそうだった。降りてみると踏み跡のような水流の跡のような対岸の岩を見つけてそこまでスラブをトラバースし、状態を見る。岩場を少し進むが、上に出ると傾斜がきつくなり、先行きが不安になる。戻って下に下ってみる。すると再び踏み跡らしきものが出てきて、潅木に捕まりながら強引に岩場を登る。苦しい薮漕ぎを繰り返すと赤テープがあり、助かったと思った。
結局、登りきるとソウケイ尾根に出た。何とか遭難せずにルートに出られてほっとしたが赤テープを発見してから稜線まで一時間も薮漕ぎを強いられた、結局道迷いから二時間も岩場の薮漕ぎを強いられ、かなり体力を消耗した。
ソウケイ尾根をこのまま下ろうかと一瞬思ったが、その下りルートを見るとやはり藪の岩場を登ったり下ったりで嫌なルートであることに変わりはない。遊窟に出て井戸小屋山まで出れば後は楽な下降ルートがあるので、そちらを選択、しかしソウケイ新道を遊窟まで辿るのも、道がわかりにくく、無論道標は分岐付近までほとんどなく、ルートミスを何度もしていったりきたりしてなんとか遊窟に出た。ここだけで一時間もかかってしまった。本当にわかりにくいコースで、ソウケイ尾根に出る出方も何通りかあるらしいし、遊窟の上の岩山を直登するルートあるようだ。どれがどれか、初めてでは判断しにくい。
粘り強くやり直してルートを確認し、遊窟を発見、そこからまたわかりにくい道で二回くらい上りなおし、最後はスラブの岩場を登り切って遊窟の上に出た。すでに二時間半以上当初の予定より遅れてしまったので、遊窟の岩山までいかずに、すぐ井戸小屋山に向かった。井戸小屋山が見えてくると再びロープのかかる急斜面が見えてきた。もう岩場は沢山と一気に疲れを感じる。再び補給して息を整え、山頂直下の急斜面に向かう。
歩き出してしまえば実際にはたいしたことのない岩場で、ロープはあるが細く怪しげなので、一応ロープを持ったが体重はかけないよう、ホールド、スタンスを探して慎重に登る。二つ目のロープは上ってみると切れる寸前で細いロープがさらに細くなり、体重をかけて切れたらと思うとぞっとした。山頂直下のロープは大丈夫そうだったが細すぎて危ういことに変わりない。下山後、役場の観光課に報告しておいた。今年役場観光課から業者に業務委託したようだが、ロープ細すぎで業者は手抜き作業では??かなりの長さになるので下からぶる下がると相当な加重になるはずで、安全面を考慮して改善すべきだろう。
山頂は三角点だけで山名プレートもない。道標はないが方向ははっきりわかるので林道に向かって休まず下山開始。赤テープが沢山ついていて安心できる下山ルートだ。普通の山道で最も安全度の高い下山ルートだ。
右にソウケイ尾根を見ながら一時間ほど下ると右側の草原の中に林道終点が見えてきた。やはり楽で早い下山ルートだった。林道に降り立ち、助かったと生還を確認できた。
林道をさらに進むと451mのピーク付近のゲートに出た。左に下るとあきがしら湿原に向かうが湿原は全く見えない。右に下り、登山口に戻る。時間がかなり遅くなり、早い汽車には到底間に合わない。タクシーを呼ぶこともチラッと考えたがどうせ遅くなるなら、ゆっくりMTBで下って、間に合えば昨夜宿で飲んだ麒麟山酒造によってお酒を買い、18時台の列車で新潟に向かえば今日中に帰宅できる。紅葉や集落などの撮影をしながら、津川に向かう太田交差点に向かった。上りも何度もあり、足が心配だったがなんとか走りきった。
大田まで来ればあとは緩やかな下り、途中麒麟山酒造に電話して場所を確認し、津川の町に向かった。昨夜アスナロ荘で麒麟山を飲み、おいしかったので、場所を聞き、津川駅近くなので、寄りましたというと、お上さんに深々と頭を下げられた。麒麟山酒造では試飲はしていなかったが、話を聞きながらいくつか注文し、宅配便をお願いした。
5時をかなりすぎていたので、麒麟山温泉に行くのはあきらめ、トイレを借りて着替えをして駅に向かった。居酒屋を探したがすし屋一軒だけ。時間もなくなり、酒屋でお酒を追加して買って、駅に向かって輪行準備。駅の待合室でお酒を飲みながら列車を待つ。津川は無人駅。天気は次第に曇から雨になり、何とか二日間の山では天気が持ったことは幸いだった。
今回はまたまた反省点の多い山旅になった。少ない情報でこうした危険の多い岩場を歩くのはよほどの準備が必要だが、今回は情報が少なく、何とかなるという考えは甘すぎた。ルートミスで今回同様ソウケイ尾根に出てしまった記録もあったが、どこでどう間違えたのかわからず、最初に気づくべきだった。戻っておれば、スラブの際を登ることに切り替えて、大スラブ下に出ることもできたはずだ。それが本来のルートかもしれない。いつか再チャレンジして確かめたい。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する