紫雲の滝から阿星山へ☆笹原の古道を辿って
- GPS
- 03:39
- 距離
- 11.5km
- 登り
- 723m
- 下り
- 678m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
7月は下旬に入るが今年はまだ梅雨明けの見通しが立たないようだ。家内は前日の山行で疲れたというのでこの日は単独行となる。それほど気温が上がらなければ、まだ低山を歩くことが出来るだろうと思い、湖南に阿星山を訪ねることにする。
阿星山は長寿寺か常楽寺を経て登るコースが一般的だが、山麓にある紫雲の滝に興味を惹かれたので、この滝から阿星山にアプローチすることを考える。登山道はないのだが、滝の上流からどちらかの尾根を登るか沢をそのまま遡行することが出来るだろうと考える。
甲西の駅から旧東海道を歩き始める。左手に「うつくし松」への道標が現れる。うつくし松の自生地に寄ると、紫雲の滝へ向かうルートがややこしくなるが、この機会でもなければなかなか松の自生地を訪れることにする。
道標に従って住宅地の中を歩き始めるが、アスファルトの上を歩くのが早くも暑く感じられる。
右手には小さなため池とその向こうに雑木林が見えるので、早速、コースアウトする。ため池の前を横切ると雑木林の中の適当に歩いて、その西側の歩きやすい林道に出る。
林道の右手には下生のないなだらかな美松山への尾根が目にはいる。急ぐ山旅ではないのでまずは美松山に立ち寄る。尾根を辿ると山頂近くで、林道から登ってくる明瞭な道と合流する。山頂は展望のない小さな広場であった。その周囲は藪に囲まれており、自由に歩くのは難しそうだ。
山頂からすぐ東側にはほぼ同じ高さの小さな山が見えるが、うつくし松が自生しているのはこちらの山だ。どうせならこちらの山を美松山と命名したら良さそうなものである。いや本来はそうだったのかもしれないが、地図に記載する段階で取り違いが生じた可能性も無きにしもあらずだろう。
再び林道に下降すると、林道を歩いて無名山の南に回り込む。道が細くなり、笹原の中の道になると左手の斜面の中にあたかも根元から幾本にも枝分かれてする赤松の美林が現れる。松の樹々の間には他の樹木は見当たらず、樹林の中はかなり広々として感じられるが、おそらくは他の樹木は生育しないように管理されているのだろう。
小さな尾根に沿って歩道が設けられているので、一面に羊歯が繁茂する林床の中を歩いてみる。この枝分かれする松はこの斜面に二百本あまりあるらしいが、いずれも劣性遺伝形式による遺伝子の変異による現象らしい。普段見る松の樹形とは全く異なり、欅の樹影を想起させるが、確かに印象的な樹形に思われる。
うつくし松の自生地を後にすると、住宅地を南下する。紫雲の滝に通じる道は落合川の左岸にあるので、どこかで川を渡る必要があるのだが、地図ではかなり上流に破線が記されているのみである舗装路から右手の雑木林の中に入る薄い踏み跡があったので辿ってみると、雑木林の中でシイタケを栽培しているのであった。再び雑木林の中を藪を漕いで進むと忽然と農場の裏手に出る。
農場は獣避けのフェンスで囲まれているのだが、扉を開けて内側に入ることが出来る。農園の方がいらしたので、農場の中に勝手に侵入したことをお詫び申し上げると笑顔で許諾してくださる。農場を出ると、周囲は雑木林に囲まれた中に青田が広がり、別世界に紛れ込んだかのような印象だ。南側には青田の彼方に阿星山と大納言の山が見える。
景色を見るために少し北に進もうとすると慌てて農場の方が追いかけてこられた。何かと思えば周囲に広がる田圃の四方は全て柵で囲まれており、私が進んだ方向は出られないらしい。南側と西側のみが出られることを教えて下さる。
農園の西側で落合川にかかる橋を渡り、西側の雑木林の樹林の中に入ると未舗装の細い道と交差する。未舗装ではあるが、林道とはかなり雰囲気が異なる。どうやら古道のようだ。この道がまっすぐに向かう先は紫雲の滝と阿星山だ。おそらくは昔の参拝道だったのだろう。
趣のある道を辿るうちに突然、道は不明瞭になったかと思うと右手のアスファルトの道に合流する。長寿寺から来る道である。落合川に沿って上流に向かうと、樹間から川に二段の滝が見える。滝が正面に見えるところまで下降してみる。落差は7〜8mほどあろうか、紫雲の滝より明らかに落差はあり、本流なので水量もこちらの方がはるかに多いだろう。
やがて道は落合川から離れ、植林の林間へ入ってゆく。左手から再び支流が近づいてくると林間に木造の建物が現れる。この建物は不動堂、すなわち不動明王を祀るお堂のようだ。お堂の裏手に紫雲の滝があるのだった。ネットに掲載されている以前の滝の写真では自然の滝に思われたが、滝は水垢離のための樋から落ちる水量が多く、流れが変わってしまったのかもしれない。
紫雲の滝を後に林道を先に進むと、右岸の尾根を登ってゆく踏み跡があるように思われた。沢を渡渉して尾根に取り付いてみると明らかな古道がある。先ほどの参拝道の続きだろうか。紫雲の滝からこの尾根を辿ると山頂までほぼ一直線にたどり着くことが出来る。
尾根上はやがて丈の低い笹が繁茂するが、一面の笹原の中にも微かな古道の痕跡を辿ることが出来る。しかし、山腹を横切る林道が交差するあたりで突然、道は消失する。舗装された林道に出ると林道が大きく尾根を削り取ってしまっているのだった。尾根の続きには古道が続いているのだろうと思われるが、林道の切り立った法面からは到底、尾根に上がれそうもない。
林道を少し戻り、小さな鞍部をめがけて谷筋を辿るとすぐにも長寿寺からの明瞭な登山道に出る。再び笹原の中の快適な尾根筋を辿る。道は快適ではあるが、風がなく、暑さがこたえるようになってきた。
山頂で休憩すると常楽寺へのルートを下る。このルートは樹林の中の林道歩きが延々と続く。林道が樹林から出るとようやく時折、風が吹くようになった。
西寺のバス停にたどり着くと丁度、10分後に湖南市のコミュニティー・バスが来るところだった。もう少し涼しければ石部駅まで数キロの道を歩いたことだろうが、この蒸し暑さでは躊躇なくバスを選択する。やはり七月も下旬となると、梅雨が明けていなくとも低山を歩くのは難しい季節のようだ。
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