沼の辺から炭沢山
- GPS
- 05:56
- 距離
- 9.2km
- 登り
- 700m
- 下り
- 702m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
往路では破線の林道は確認できなかったが、その付近の鞍部で北側の尾根に取りつくために東北東に少しトラバースしたが、地形図とコンパスで迷わず歩けた。しかし、帰路では北北西の尾根に下りてから599mのピークを北に見ながら西の尾根に左折する箇所で、一つ北側の尾根を下りそうになった。その時はGPSに助けられた。平坦な尾根の末尾から半球状の向こうにあるヤセ尾根を目指すのは、見遠しも悪く、ただコンパスで西に向かって下ればいいと判断しただけでは不十分でかなり難しかった。 |
ファイル |
野鳥の囀り(1)
(更新時刻:2013/04/10 07:06)
野鳥の囀り(2)
(更新時刻:2013/04/10 07:07) |
写真
感想
大型の低気圧のため全国的に荒れ模様だった。自宅の玄関を出た時から雨が降り出して、沼の辺の駐車場では雷が鳴ってきたが、尾根に取り付く頃には雨は上がり、まずまずの展望にも恵まれた。3週前の炭沢山は残雪がまだ沢山見られたが、山復にわずかに見える程度でショウジョウバカマや野鳥の声を楽しんだりと春の訪れを感じる山行だった
沼の辺の駐車場に着いた時には5、6台の車があったが、雨具を着たり、車の中でスパッツをつけている間に雷が鳴り出し、歩き出す頃には数台が残っているだけだった。低気圧の中で釣り糸を垂れ続ける人も僅かにはいるのだろう。空を仰ぐが一面の灰色で埋め尽くされているが、黒々とした雷雲は見えなかった。
尾根の取り付きはGPSに記憶させていたが、歩いてすぐの所だった。右側には林道が切れていたが、忠実に尾根を辿ることにした。取り付きには膝くらいの石の祠があったのでびっくりした。雪は消えていたが落ち葉には踏み跡らしきものはなかった。尾根といってもほとんど崖のような斜面を登ろうとするとショウジョウバカマが咲いていた。家から出る際に降り出した雨も上がって高度を上げるごとに清々しさを感じた。雷も私の山への思いを聞き届けてくれるかのように鳴り止んでいる。
まだ蕾が硬い枝に雨水が涙滴のようにぶら下がっては、薄い空の青さを映していた。雨上がりの山は私の一番好きな場所だ。いや、少しくらい降っていた方が、雨音が静けさを引き立たせてくれる。鉄塔が見えて来たので歩いている尾根が346mのピークを予定通り目指しているとわかった。ピークには麓と同じような石祠があって、里人の気配も感じられた。左手に尾根を分けて東に少し下った。そこからは笹藪に隠された手つかずの道が626mのピーク手前の破線の山道まで続いていた。
笹に隠れて黒い糞が大量に残っている、そんな熊のトイレが数か所、見つかった。道に残るドングリも僅かだ。風が強くなってきて、動く生き物は私だけのように思っていると、野鳥の声が聞こえてきた。熊鈴代わりに持っていたi-podをボイスレコーダーにして囀りを持ち帰った。
両側が傾斜になった稜線はレールの上を歩いているようで左右の雑木林で展望は良くなくても気楽に歩けた。しかし、ピークを過ぎて下りになるとそんなレールもなくなってしまって手にした地形図と首から下げたコンパスを頼りにいかに実際の山や谷を読みこなせるかが試される。それがまた里山を歩く楽しみでもあるのだが、鞍部を歩くと早く尾根に取りつきたくなった。真っ直ぐ進んでも斜面になっている山肌を登るだけだったので、北側にトラバースすると尾根が見つかった。その尾根を登るとこの前に歩いたルートに辿りついた。あの時は、この尾根に帰りには迷わないようにと思ったことが思い出された。こうして何度か歩いては山の地形がわかるようになると、山力もアップしたと自信が少し出て来たが、それも帰りには萎んでしまった。
前回に歩いた頃の雪も谷に下る斜面に残るだけになって歩き易かった。まだ、若芽が伸びない里山の林の中は、ちょうどいいくらいの気温で、雨の心配もなくなった。岩が並ぶ山頂の西の端に着いて帰りのルートを確認した。赤布も見られたので間違いないだろう。山頂までの最後の登りは二重尾根のようになっていて、帰りに南に逸れないように気をつけようと思っていると山頂に立った。
炭沢山山頂でランチタイムにした。山頂での楽しみは展望だろうが、まだ若葉は出ていないとはいえ、雑木林に囲まれた空間には春風が吹くばかりだった。まだ、12時を過ぎたばかりだったので、帰りのルートを地図で確認しては十分に休息をとろうと思った。北の方に連なる里山の幾つもの稜線を辿ってみようかと等高線のV字の縞模様を指でなぞる。ちょうどからだも冷えてきたので靴ひもを締め直して未踏の尾根を歩くこととする。
山頂の東西に伸びる尾根を引き返すと、また鳥の声が聞こえて来た。数分の間、録音しながら聞き入った。風の音に隠れながら、場所を変えては囀る、その源は耳でしか探せなかったけれど。そんな耳の旅を楽しむのも里山ならではだろう。
登りの時に赤布を確認した北方向の分岐からはかなり急な下り坂が続いていて、西側に切れ落ちた斜面の縁を外さないようにくだれば、細長く伸びるゆるい稜線に出会った。そこには黄色の毛糸くずが絡んで枝の先をわずかに色取っていた。ショウジョウバカマについで今度はマンサクと、今年初めての花にまた巡り会えた。
向こうには599mのピークが見えてきて、里山の稜線は複雑に上下を繰り返して里に続くのがしのばれて、私を誘うが、深沢不動の方に下ることにした。地形図では西に曲がる尾根が描かれているが、実際には雑木林に隠れて、その分岐点は見出せない。コンパスで西を目指して坂を下るが尾根らしき高まりが見つからない。実際に、地形図を見ても尾根となるのは30mくらい下ってからのようだ。それでただコンパスを頼りに西に傾斜を下ると、尾根らしき所に着いた。ここでGPSを出してみた。邪道だが、ルートが正しいことを確認したかった。すると谷にむかってGPSの軌跡は下ろうとしているではないか。
どうして思ったように進めないのだろうか。稜線を歩いていた時は雑木林で視界が悪かったが、斜面を下る頃には木々の高さも低くなって、里の方まで見渡せてきた。その行く手にはどんな地形があるかを気にもかけずに、ただコンパスで西に向かって下っていた。でも、里までの地形と地図をと見比べれば現在自分が進んでいるのが尾根に行き着くかわかったはずだ。目にしたのは谷の深まりだけだったのに、ただ方向が間違っていなかったから、ずんずん下ってしまった。もうすこしすれば目的の尾根が眼前に現れるだろうと期待していたが、もっと広く視野に入れるべきだった。
GPSで現在地がわかると見えなかったものも見えてきて、約50m左の方に里の方まで続く尾根がありそうだった。両ストックでは藪に絡まるのでザックに縛りつけて漕ぎだした。情けない気持ちと未熟さを感じながらトラバースした。
いったん稜線を外れてからの斜面では自分が何処にいるのかを知るのは難しく、そんな時は来た道を戻るのがいいのだろう。高みに立てば進むべき確かな方角も見えてくるものだ。藪をかき分けながらトラバースすると、果たして尾根に辿りついた。そこからは左右に傾斜する斜面の中心から外れないように気をつけて下った。そんな尾根の様相も下るにつれて怪しくなると、前方のV字に切れ込んだ谷が地形図が示す行き先と合致することを確認した。
左右に沢の流れが見えて来て、最後のヤセ尾根を下ってしまうと、りっぱな社があった。そこを越えるとやっと林道にでた。そこから林道をUターンすると深沢不動にゆけるらしい。思った以上に立派な道だったので、歩いてゆくまでもないだろうと気が変わって沼の辺に戻ることにした。舗装された道が市街地に続くが随分回り道をしているようで、また里山を跨ぎたくなったが、知らない町を散策するのも楽しかった。沼の辺についてもすぐに帰る気になれなくて、沼を見下ろす神社脇の高台を登ると、こんな街中で藪漕ぎしていては怪しい人に思われそうだった。
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