阿弥陀ヶ峰〜鍋尻山☆杉の大樹と春の花々
- GPS
- 04:48
- 距離
- 11.6km
- 登り
- 1,007m
- 下り
- 1,004m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
河内〜p657 苔むしたカレンフェルトのかなりの急登が続く p657〜杉坂峠;踏み跡は薄いがなだらかな尾根なので 杉集落〜保月集落;車道を離れて歩いている箇所は古道あり 保月〜鍋尻山;良好に整備された一般登山道 鍋尻山北尾根;踏み跡が薄く、一部不明瞭、ピンクテープは多数あり 一般登山道は妛原へと下降する 河内(宮前)へのルートはバリエーション・ルート |
写真
感想
県道17号線、多賀醒ヶ井線を芹川に沿って河内に向かう。河内の風穴のある宮前を過ぎて妛原(あげんばら)に向かうと数台の近江タクシーとすれ違う。妛原の廃村では先ほどのタクシーに乗って来られたのだろう、10人ほどのパーティーが出発の準備を整えておられるところだった。集落跡の駐車場は既に5台ほどの車が停められており、車を停める余地はなさそうだ。
河内に戻ると県道には続々と車が到来する。いずれも落合に向かうものだろう。この時期の霊仙は福寿草の人気もあって大変な賑わいだろう。集落の手前の道路脇の広地に車を停める。川から見上げる稜線は高く、登山道がない限りここから斜面を攀じ登るとはなかなか思い至らないような斜度に思える。
芹川にかかる橋を渡り、対岸の斜面に取り付く。小さな流れを渡って谷の左岸に向かうといくつもの石垣の段組が現れ、その壮麗な景観に驚く。斜面を先に進むと一面、今度は緑の苔の斜面となる。おそらく苔の生育しやすい石灰岩のためだろう。石灰岩は吸水性が非常に高いため、岩の表面が湿潤し、苔が生着するのに有利らしい。
緑の苔の谷を登るのもいいかと思ったが、鹿の踏み跡を追って右手の尾根に乗る。尾根にはすぐにも次々と石灰岩の大岩が現れ、岩を巻きながら三点支持で急斜面を攀じ登る。ひとしきり登ると左手から谷の源頭が近づいてくる。ここは谷を登る方が良かったのかもしれない。
ca400mで尾根が緩やかになると植林が現れるが、再び尾根が急登になると再び植林から自然林へと替わり、苔むしたカレンフェルトの間を縫って斜面を登ってゆく。p657のピークが近づくにつれ尾根も緩やかになり、気持ちの良い疎林が広がるようになった。
西側のなだらかなピークca650mは台地状の山頂部のみ植林となり、このあたりの植林ではよくあることだが、林床には間伐された樹が無秩序に散乱している。わずかばかりの植林を過ぎるとなだらかな尾根には再び広々とした自然林の疎林が広がる。
p627のピークの手前では樹間から北側に霊仙山の姿を大きく望む。ピークでは単独行の男性が休憩しておられた。ここで人と遭うとは思わなかった。スマホの画面を操作されておられたので通りすがりの挨拶をするのみでコース取りを聞きそびれる。尾根を西に向かうとすぐに杉の巨樹が現れる。山と高原地図では杉峠と記されているところだ。峠を越える古い道の痕跡があるようだ。数年前の「山と高原地図」では石仏があると記載してあるが、残念ながら近辺には石仏や祠は見当たらなかった。
まずは尾根を南に辿り、ca670mの小ピークに登る。標高点はないが、このピークには向山という山名がある。杉峠からは植林の登りであったが、ピークは自然林が広がっていた。尾根を西に向かうと小ピークを挟んで二つの峠がある。手前は向之倉越、西側は桃原越というらしい。いずれも古道が峠を越えていた。
さらに西に進み、阿弥陀ヶ峰を目指す。植林の中に紅白の送電線鉄塔が設置されている。送電線の下は伐採されているので、北側に展望が開ける。送電線の先にあるのは比婆山、男鬼山だろう。
阿弥陀ヶ峰は植林の中の平坦な場所で、どこがピークか判断に困るとこだったが、ピンクテープが何本もつけられた樹があり、近づいてみるとすぐ近くの杉の樹にアミダ峰と山名標がつけられていた。西尾寿一氏の「鈴鹿の山と谷」を紐解くと、どちらの呼称でも良いようだ。山頂には杉の大樹が数本あり、その根元には石仏があったとのことであるが、いずれも見当たらなかった。
杉坂峠に向かって植林の中を下ると足元にはちらほらと白いものが目につく。ミヤマカタバミの花が咲いているのだった。今期はこれまでに何度かミヤマカタバミに出遭ってはいるもののいつも雨の後で、花が閉じたものばかりだったのだ。
杉集落は道の南側に苔むした石段、その先には壮麗な杉の大樹がある。石段を登り始めると、杉の大樹の根元に横たわる倒木の上で何やら動くものが目に入る。栗鼠であった。慌ててカメラを向けるが間に合わない。石段を登ると栗鼠は祠の裏へと姿を消す。
杉の廃村集落からエチガ谷の右岸に沿って林道を辿る。道路には数多くのヒキガエルがたむろしていた。前方から女性の単独行の方とすれ違う。私が肩から下げているカメラを見て、「何を撮ってたいるんですか?」と尋ねられる。カエルとは説明し難い。「鍋尻山に福寿草の写真を撮りに・・・」と答えると、女性は「あら、私も見てきました。高室山から」・・・となると、高畑山の周回コースしかない。この時間にここを歩いておられるとは相当な健脚のようだ。
道路の右手には岩肌を流れる清水が現れる。少し上から湧き出しているようだ。どこかで水が汲めることを期待して今回は水が少なめにしていたのだが、ペットボトルを冷たい水で充たすことが出来る。
林道はエチガ谷の支流に入ってゆくが、この谷は「いぼみず」と呼ばれる谷らしい。林道は谷の左岸を大回りするのだが、左手の谷に入ってゆく踏み跡があるように思われて辿ってみる。すぐにも道は明瞭な古道の様相を呈するようになる。杉と保月の集落を結ぶ道だったのだろう。
林道と交叉するが、その反対側から道は先に続いている。再び林道と交差するところで数本の巨杉とその間に祠が目に入る。地蔵峠と呼ばれるところらしい。祠の奥にある杉は二本と思ったが一本の杉が根元で幹が分かれているのだった。
保月の集落に到着すると集落の手前の家には車があり、人が作業をしておられる。裏手の立派な神社のことを尋ねると、大分の宇佐八幡を本宮とする八幡神社であることを教えて下さる。かつては先程の地蔵峠よりもはるかに立派な杉の巨樹が神社の前にあったらしいが、焼失してしまったらしい。
公衆便所がある広場には登山者のものだろう、数台の車が停められていた。保月の集落の中でも梅の花が満開だった。登山道の左手に遠くからでもわかるほど、黄色の花の群生がいくつも見られる。花期が終わってしまっていることを懸念していたが、どうやらギリギリ終盤の花に間に合ったようだ。
植林地を越えるとすぐにも伐採地の彼方に展望が大きく開けるが、御池岳のシルエットは春霞に霞んでいるようだ。鍋尻山の山頂直下の福寿草の群落は陽当たりが良好だからだろうか、ここは完全に終盤であり、ほとんどの花が実になってしまっていた。
群生地を少し登ると再び展望が開け、御池岳の左の肩から藤原岳が顔を覗かせる。わずかにひと登りで山頂だが、ここは樹々が眺望を遮る。山頂では三人組のパーティーがラジオを聴きながら休憩しておられた。北側斜面を下ると目の間に大きく霊仙の展望が広がる。
北側斜面は散乱するカレンフェルトの間をどこでも歩くことが出来るから問題はないが、登山道は急に不明瞭となる。岳の(ダケノ)峠と呼ばれる北側の小ピークp696との間の鞍部からは登山道は北西に方向を変えて、再び急斜面を下ってゆく。やがて、広々とした斜面が急速に細尾根に収束すると登山道は妛原を目掛けて北斜面を下ってゆく。
尾根上には薄い踏み跡が続いているので、尾根を直進することにする。踏み跡が目指すのは河内の風穴の入口の筈だ。急斜面の下降になると、足元にカタクリの花が数多く咲いている。カタクリの薄紫色の花は透過光が美しい。斜面を左手の方に下降すると登り始めた斜面と同様、植林の中にはいくつもの苔むした石段が現れる。石段の間を降りてゆくと河内の風穴の敷地内に下降してしまった。受付の小屋の右手を目指して下降するのが正解だろう。
この日は午後に京都で聴きたい演奏会があったので早くに帰ろうと思っていたのだが、京都東のインターを降りて山科を過ぎると京都の九条山で右側車線が全くといってもいいほど動かない。蹴上から南禅寺前に入るところで大渋滞となっているせいだ。左側車線に入って、三条通りを進むが、結局、渋滞を抜けるのに大幅に時間がかかり、演奏会に間に合わないという失態をやらかすのだった。
京都市内は桜がほぼ満開に近い。翌日の日曜日は悪天の予報なので、この日に人手が集中したのだろう。桜の季節の京都は恐るべしだ。コロナの感染者が再増加して、京都市内の観光が制限される日が遠からぬことが心配だ。
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