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Yamareco

記録ID: 3126496
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無雪期ピークハント/縦走
大台ケ原・大杉谷・高見山

1839山歩記#19 苔むした古の道 筏場道から三津河落山

2021年04月30日(金) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
09:30
距離
20.2km
登り
1,870m
下り
1,860m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
8:43
休憩
0:48
合計
9:31
5:31
158
スタート地点
8:09
8:11
95
9:46
9:46
23
10:09
10:45
50
11:35
11:43
33
12:16
12:18
164
15:02
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2021年04月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
筏場駐車場を利用。
コース状況/
危険箇所等
筏場道は、釜之公吊橋の先から大台ヶ原ドライブウェイの川上辻まで「歩道崩落・落橋により通行止」の表示があり、その通り所々で崩落し足場の悪いところもありますが、こういう道に慣れた方なら歩けると思います。
大台辻に近い銀嶺水のところは大きく崩壊しているということで、自分はその手前から筏場道を外れて尾根を辿って台高縦走路に迂回しましたが、他の方の情報ではその銀嶺水のところも足場は悪いながらも巻いて歩けるようです。
大台辻から三津河落山へは、コブシ峠から辿る方が歩きやすいと思います。
大迫ダムから県道大台大迫線へ入り、筏場駐車場から出発します。ここから筏場道と呼ばれる古い道を辿ります。
大迫ダムから県道大台大迫線へ入り、筏場駐車場から出発します。ここから筏場道と呼ばれる古い道を辿ります。
一見すると黒部峡谷の日電歩道のような筏場道。この険しい筏場道は土倉道とも呼ばれ、日本林業の父と称される川上村の土倉庄三郎が木材搬出のため熊野・船津港まで私財を費やして完成させた木馬道でした。
一見すると黒部峡谷の日電歩道のような筏場道。この険しい筏場道は土倉道とも呼ばれ、日本林業の父と称される川上村の土倉庄三郎が木材搬出のため熊野・船津港まで私財を費やして完成させた木馬道でした。
筏場道から見下ろす屛風滝。まだ薄暗い谷に轟音を響かせ、大きく深い釜と相まって不気味なくらいの迫力でした。
筏場道から見下ろす屛風滝。まだ薄暗い谷に轟音を響かせ、大きく深い釜と相まって不気味なくらいの迫力でした。
土倉翁が熊野への木馬道を開通させたのは明治30年頃。その後、1961年に大台ヶ原ドライブウェイが開通するまで、筏場道は永らく大台ヶ原への登山道として多くの人々が通いました。
土倉翁が熊野への木馬道を開通させたのは明治30年頃。その後、1961年に大台ヶ原ドライブウェイが開通するまで、筏場道は永らく大台ヶ原への登山道として多くの人々が通いました。
釜之公橋の手前はかつてあったであろう土台が流され、鎖あり脚立あり鉄桟橋ありと賑やかな所です。
釜之公橋の手前はかつてあったであろう土台が流され、鎖あり脚立あり鉄桟橋ありと賑やかな所です。
釜之公橋を渡ると道は本沢川を離れ、山腹を巻くように上がっていきます。水分たっぷりの森に朝陽が差し込みます。
釜之公橋を渡ると道は本沢川を離れ、山腹を巻くように上がっていきます。水分たっぷりの森に朝陽が差し込みます。
屋久島と並んで日本で最も雨が多い大台ヶ原。筏場道は苔いっぱいの道です。
屋久島と並んで日本で最も雨が多い大台ヶ原。筏場道は苔いっぱいの道です。
筏場道は山腹を巻きながら大台辻へ至りますが、途中銀嶺水付近が大きく崩落しているようなので、標高1010m付近から尾根を辿って一旦台高縦走路に合流し大台辻へと出ました。
筏場道は山腹を巻きながら大台辻へ至りますが、途中銀嶺水付近が大きく崩落しているようなので、標高1010m付近から尾根を辿って一旦台高縦走路に合流し大台辻へと出ました。
大台辻で船津へと下っていく土倉道から外れますが、そこから大台ヶ原へ向かう道もまた土倉翁が同じ頃に開設した古道です。木に埋もれたかつての大台山の家の看板、いったいどれくらいの月日が経つとこうなるのでしょうか。
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大台辻で船津へと下っていく土倉道から外れますが、そこから大台ヶ原へ向かう道もまた土倉翁が同じ頃に開設した古道です。木に埋もれたかつての大台山の家の看板、いったいどれくらいの月日が経つとこうなるのでしょうか。
奈良・三重県境の尾根を辿って三津河落山へ向かいます。山頂手前の1570m小ピークに立つと、前方にそれは綺麗な笹の尾根が三津河落山から大和岳へと続いていました。
奈良・三重県境の尾根を辿って三津河落山へ向かいます。山頂手前の1570m小ピークに立つと、前方にそれは綺麗な笹の尾根が三津河落山から大和岳へと続いていました。
出発から約4時間、大台ヶ原の一角にありながら枯木に小さな木の山名板がかかるだけの、とても静かな三津河落山山頂です。
ただし、最高点の1654mのピークはここから少し南にあり、地形図でもそちらが三津河落山と標記されています。現地では「如来月」と名付けられたそのピークは、ここより標高こそ20m程高いですが樹林に囲まれこじんまりした山頂なので、開放感いっぱいで大展望のこここそがプレートが示す通り三津河落山山頂にふさわしいところです。
出発から約4時間、大台ヶ原の一角にありながら枯木に小さな木の山名板がかかるだけの、とても静かな三津河落山山頂です。
ただし、最高点の1654mのピークはここから少し南にあり、地形図でもそちらが三津河落山と標記されています。現地では「如来月」と名付けられたそのピークは、ここより標高こそ20m程高いですが樹林に囲まれこじんまりした山頂なので、開放感いっぱいで大展望のこここそがプレートが示す通り三津河落山山頂にふさわしいところです。
三津河落山から少し西へ、同じく笹に覆われた大和岳。標高は1597mと三津河落山よりやや低いですが、なだらかに続く笹の尾根の向こうには、近畿以西の本州最高峰・八経ヶ岳を始めとする大峯奥駈の山並を一望します。
三津河落山から少し西へ、同じく笹に覆われた大和岳。標高は1597mと三津河落山よりやや低いですが、なだらかに続く笹の尾根の向こうには、近畿以西の本州最高峰・八経ヶ岳を始めとする大峯奥駈の山並を一望します。
三津河落山も大和岳も大台ヶ原ドライブウェイから登ればすぐですが、入口となる川上辻には「植生保護の為立入禁止」の看板もあって訪れる人も少なく、秘峰の雰囲気が漂います。
三津河落山も大和岳も大台ヶ原ドライブウェイから登ればすぐですが、入口となる川上辻には「植生保護の為立入禁止」の看板もあって訪れる人も少なく、秘峰の雰囲気が漂います。
日本鼻と呼ばれるピークには少し離れて新旧2つの雨量観測所があり、こちらは小さな農水省の大台ヶ原雨量観測所です。大台ヶ原では大正9年に8214mmという、実に日本の年間平均降水量の5倍近い雨量が記録されています。
日本鼻と呼ばれるピークには少し離れて新旧2つの雨量観測所があり、こちらは小さな農水省の大台ヶ原雨量観測所です。大台ヶ原では大正9年に8214mmという、実に日本の年間平均降水量の5倍近い雨量が記録されています。
足元に広がる大きな谷は釜之公谷で、吉野川(紀ノ川)へと流れ下ります。三津河落山の名は、北面に吉野川、東面に宮川、そして南西面に北山川へとそれぞれ流れ下る3つの河川の分水嶺となっていることに由来します。
足元に広がる大きな谷は釜之公谷で、吉野川(紀ノ川)へと流れ下ります。三津河落山の名は、北面に吉野川、東面に宮川、そして南西面に北山川へとそれぞれ流れ下る3つの河川の分水嶺となっていることに由来します。
十二分に大展望の笹原を堪能し、遥かに連なる台高北部の山並を眺めながら下って行きます。
十二分に大展望の笹原を堪能し、遥かに連なる台高北部の山並を眺めながら下って行きます。
下りはコブシ峠へ出て筏場道に合流し、大台辻へと向かいます。小さな沢を渡ると、路肩には苔むしたとても大きな石積が並び、かつては立派な道だったことが窺い知れます。
下りはコブシ峠へ出て筏場道に合流し、大台辻へと向かいます。小さな沢を渡ると、路肩には苔むしたとても大きな石積が並び、かつては立派な道だったことが窺い知れます。
土倉庄三郎は林業分野のみならず、現在の国道169号となる東熊野街道の整備や奈良が誇る吉野の桜を守り、また同志社大学や日本女子大学の設立に携わるなど多方面に渡って活躍しました。
土倉庄三郎は林業分野のみならず、現在の国道169号となる東熊野街道の整備や奈良が誇る吉野の桜を守り、また同志社大学や日本女子大学の設立に携わるなど多方面に渡って活躍しました。
改めてそんな土倉翁の偉大さを実感しながら、古の筏場道を下っていきます。
改めてそんな土倉翁の偉大さを実感しながら、古の筏場道を下っていきます。
大迫ダムの建設に伴って1972年に完成した入之波大橋。深い山間に不釣り合いなほど大きく立派な橋が、なんだか寂しそうにアーチを架けていました。
大迫ダムの建設に伴って1972年に完成した入之波大橋。深い山間に不釣り合いなほど大きく立派な橋が、なんだか寂しそうにアーチを架けていました。

感想

ドライブウェイが開通するまでは大台ヶ原へのメインルートとして賑わった筏場道。今は静かな古の道から、笹原の大展望が広がる三津河落山へ登って来ました。
※写真の撮影日時がバラバラになっていますが、全て4月30日の撮影です。


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