三百名山ラスト大笠山+地獄の無雪期笈ヶ岳
- GPS
- 39:37
- 距離
- 19.8km
- 登り
- 2,404m
- 下り
- 2,392m
コースタイム
- 山行
- 11:08
- 休憩
- 1:23
- 合計
- 12:31
- 山行
- 12:44
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 14:01
天候 | 1日目:曇/雨、2日目&3日目:雲/雷雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大笠山山頂までは一般ルートです その先は道がありません |
写真
感想
日本三百名山のラストを大笠山にすることは残り10座くらいになった時に決めていました。理由は無雪期笈ヶ岳の最難ルートと言われる大笠山〜笈ヶ岳稜線に挑戦するにはこの機会しかないと思われたからです。
笈ヶ岳の無雪期登頂は2016/9に清水谷ルートから果たしているのですが、田中陽希くんもネを上げたというこのルートを通らずして無雪期笈ヶ岳を語っていいものか、とずっと思っていたわけです。
そういうわけで、大笠山と笈ヶ岳に行ってきたわけですが、体力の限界に直面した記録でもあり、そのまま残しておいても意味がありそうです。
なんたって大笠山からで行きが8時間半、帰りが15時間ですから。その後標準3時間と言われる大笠山の下りに6時間かけています。足が限界で踏ん張りがきかなかったんですよね・・・。
(2日目・3日目の写真が少ないのは、雨だったのと余裕がなかったので)
当初の予定では一泊二日で、大笠山から笈ヶ岳まで片道6時間(山頂テント泊)と計算していました。実際大笠山の山頂に着いたのは14時で、誰もいない山頂でひとしきり記念写真を撮ると、いよいよ笈ヶ岳の稜線に足を踏み入れました。
踏み出した瞬間に道がなくなるというのは本当です。それでも全行程で数本リボンが付いているのは見ました(役には立たないんですが、ここを通ったのは私だけじゃないんだという安心感)。
藪のタイプは笹と灌木です。倒木はあまりなく、しっかり生えているので、この灌木は掻き分けられるか、堅くて無理ならどう通り抜けるか(この根っこを踏んでそこを通って、あそこに頭を出す)、そればっかり考えて進みます。
コースの半分以上は細尾根のため、巻こうとすると横に流れた笹に足もとを掬われすぐに宙ぶらりんになります(最悪滑落)。
一番きつい区間が実は大笠山からの最初の2時間で、そこを過ぎると30分くらいは背の高い笹薮のみの通りやすい藪になります。でまたその先で細尾根を辿ることになるわけですが・・。滑落が怖いので、中盤は「正面近くの土が見えているラインを狙う(通りやすいかどうかは二の次)」で進みました。
初日は結局笈ヶ岳には届きませんでした。日が暮れてもヘッドライトをつけて頑張ったのですが、とにかく道がないので方向を定めづらく、すぐにどちらかのフチに来てしまいますから、夜間の藪漕ぎは殆ど進めず、22時頃諦めました。この稜線は山頂以外にテント張れる場所は一ヶ所もありません。目の前の倒木の先に人が寝られるくらいの隙間があったので、そこにシェルターを広げ、ポールは立てずにシュラフカバーとシュラフだけ突っ込んで寝ました。
大唐松尾根のときと同じですが、とにかくザックに差したテントポールがひっかかりまくりましたので、激藪はテントポールを持たず、このスタイルがいのかもしれません。ちなみに夜間ビバークした錫杖岳〜笈ヶ岳の区間は電波が立ちました。
2日目は引き続き笈ヶ岳まで漕ぎ続け、なんとか7時半に到着。山頂写真の通り、山頂にはテントが張れますが、今回も疲労困憊した姿が写っています。そしてこの山の達成感のなさは、到着した瞬間にもう帰りのことを考えないといけないことです。清水谷でも7時間は戻りにかかるわけですが、今回は・・・。
それでも笈ヶ岳からの下りはまだ順調に戻ってこれましたが、異変は比較的広めの尾根を下るところで起こりました。この部分、登りでは問題なかったのですが、GPSとコンパスを駆使してどう歩いても目指した稜線に乗りません。間違えて下り過ぎた場合は、通常であれば無理してトラバースできるのですが、ここは笹が流れていて無理。何度も登り返しては慎重に下る、を繰り返したのですが、どうしても尾根に乗れないので、意を決して下に見える斜面まで下りて登り返すことにしました。実際これがかなりの冷や汗モノだったのですが、何とか滑落しないで下り、登り返しました。この一連の行動で2時間ロスした上に体力を相当奪いました。
この後も尾根をひたすら漕ぎ続けたのですが、体力を消耗していてペースはあがらず、大笠山への登り返しの30分の少し歩きやすい笹薮を抜けたあたりで暗くなってきました。必死で1時間漕いだ地点がまだ尾根の転換点だと気づいたので、ここで力尽きて笹の中で2日目のビバーク。大笠山周辺は電波が立ちませんので、予定外のビバークになってしまいました。
3日目に大笠山まで漕ぐのに結局4時間もかかっています。とにかくこの区間の灌木は硬くて、行きは無理して巻いた部分ももう力がないので正面突破するしかないという状態。大笠山の山頂標が見えたときはホント泣きそうでした。
避難小屋で残った食事(リゾッタ)を食べて、6時間かけて下山しました。
実はこの山行は1泊2日の予定で出掛けて予定通り下山できなかったので、2日目の深夜(大笠山手前でビバークしていた時)、既に富山県山岳警備隊に連絡が入っていました。結果、特殊モードで警備隊からSMSが届き、現状を報告することができました(大笠山周辺で電波が立ったのは本当にこの時だけだったのです)。もしあれに「予定外だが元気なので自力で下山可能」と返していなかったら、翌日捜索に入る予定だったらしいので、更に申し訳ないことになっていました。下山中から下山後に掛けても各種連絡を含め、富山県警の方々には大変お世話になり、感謝しかありません。
そして、このルートを何とか踏破して思ったこと・・。
このルートを日帰りできた田中陽希くんは本当にすごいです!
コメント
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大笠から笈の往復は大変なのは判ります。
お疲れ様でした。
ありがとうございます
ここを一回行っとくと、大抵の藪は耐えられそうです笑
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