鳥海山 唐獅子平の夏
Luske
体力度について
- GPS
- 33:16
- 距離
- 28.0km
- 登り
- 3,198m
- 下り
- 3,187m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 7:44
- 休憩
- 2:24
- 合計
- 10:08
| 天候 | 30日：晴れ 31日：晴れのち曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2022年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
7時時点でほぼ満車。下の駐車場も埋まっていた。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
●S字雪渓 外輪山から百宅方面（唐獅子平）へ続く雪渓。 現在は外輪山まで雪は繋がっていないが、標高2130m付近で百宅コースの登山道と近接しているので、登山道利用で容易に雪渓に乗れる。 標高2150m〜1820mの区間に渡って雪渓は続いており、標高差300m以上、ルート長1km以上は滑走可。 標高1820mの雪渓末端部は沢となっており、そこで一旦雪渓は途切れるが、沢を抜けた先にも雪渓は続く。 沢を抜けた後に続く雪渓は規模が小さく岩も出ているので滑走には適さないが、この小雪渓を下った先は百宅コース登山道に繋がっているので脱渓も容易。 脱渓した後は、20分程登山道を下れば唐獅子平へ着く。 斜面状態はこの時期にしては良く、上部はほぼフラット。 高度を50m程落とすと流石に斜面は荒れてくるが、極端に酷い荒れは見られず。 今回滑走した雪渓の中では最もコンディションが良かった。 中間部（標高2000m付近）で雪渓が4俣に分かれているのが特徴で、滑走方向から見て左側の3つは全てハズレ。 この3つの雪渓は雪が薄くなってきており、水が流れる大きな音も聞こえてくるので安易に滑り込むのは危険。 正解となるのは一番右側（南側）の雪渓だが、この雪渓に入るには大きく右へトラバースし、狭い岩の間を抜けて入らなければならないので、視界不良時はルートの見極めが難しい。 また、現時点では雪渓は安定しているが、雪渓末端の沢に接する部分の雪が薄くなってきているので、今後は踏み抜きの恐れがある。 霧ヶ平（1950m付近）で雪渓は登山道と近接しているので、末端の状態が怪しいようであれば滑走は霧ヶ平までとし、そこで脱渓した方が良い。 滑走後の登り返しは滑って来た雪渓をそのまま登り返すのが手っ取り早いが、百宅コース登山道はほぼ夏道が出ているので、そちらを登るのも有り。 ●心字雪渓 現在は小雪渓と大雪渓に分かれている。 小雪渓は標高1880m〜1810m、大雪渓は標高1800m〜1580mの範囲を滑走可。 S字雪渓に比べると状態は悪く、小雪渓はまだマシだが大雪渓の斜面は激しく荒れている。 人海戦術で斜面を整地しないかぎり、快適な滑走は望めそうにない。 |
写真
朝7時時点で駐車場は満車で、縦列駐車の列が出来ていた。
雪は緩んでいたのでアイゼンは使用しなかった。
急な岩道が続く。
ギャップが大きいので、シートラだと下りが辛い。
天気が良く、外輪山からは新山が明瞭に見えた。
雪が残っていたらここも滑走しようと思ってたけど、今回は無しかな。
歩きだしても離れようとせず、しばらく同行する事になった。
今回滑走のメインステージ。
まだ豊富に雪が残っており、楽しめそうだ。
山頂では多くの登山者が休憩や記念撮影をしていた。
風穏やかで天気は朗らか。
行楽ムードが漂う。
標高2130m付近まで下って、登山道と近接している箇所からS字雪渓に入渓。
この時期にしてはスプーンカットは目立たず、斜面状態は良い。
滑りだしは良好。
落差50m位までは至福の滑走だった。
左の3つは全てハズレ。
正解は一番右。
斜面を大きくトラバースし、一番右の雪渓に入る。トラバース開始が遅すぎるとハズレ雪渓に入ってしまうのでタイミングに注意。
視界が悪いと難しい場面だ。
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トラバース開始が遅すぎるとハズレ雪渓に入ってしまうのでタイミングに注意。
視界が悪いと難しい場面だ。
雪渓は沢へ続いており、雪はここで一時途絶える。
「S字」とは言うけれど、正確には左右反転した逆S字形をしている。
雪渓末端部は雪が薄くなっており、踏み抜く危険有り。
真ん中が特に危険。
右岸側を進む。
ここは滑らず、徒歩で下った。
多くの虫達が飛び交っているが、射してくるような不快虫は居ないので快適。
熊の岩がお出迎え。
これまでは、この岩が唐獅子平の地名由来だと思っていたが、
本当の由来は、こっちの岩なんじゃないか？
今回山行の燃料。酒の軽量化を図る為、檸檬堂のうち割り(alc25%)を持参してみたが割り用ソーダ水があるので、あまり軽くならなかった。
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酒の軽量化を図る為、檸檬堂のうち割り(alc25%)を持参してみたが割り用ソーダ水があるので、あまり軽くならなかった。
もう1本滑りに行こう。
S字雪渓、拡大。雪渓は分断されており、下の小雪渓と上の大雪渓に分かれている。
小雪渓右端の沢で大雪渓と繋がっているので、そこから大雪渓へアプローチする。
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雪渓は分断されており、下の小雪渓と上の大雪渓に分かれている。
小雪渓右端の沢で大雪渓と繋がっているので、そこから大雪渓へアプローチする。
板と兼用靴を回収し、雪渓を登る。中間部の傾斜が結構キツイ。
雪が緩んでいたのでアイゼンは使わなかったが、早朝の雪が硬い時間は必要になりそうだ。
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中間部の傾斜が結構キツイ。
雪が緩んでいたのでアイゼンは使わなかったが、早朝の雪が硬い時間は必要になりそうだ。
中間部辺りから雪が荒れてくる。標高が低くなる程、傾斜が急になる程、荒れが激しい。
出来れば緩傾斜部を繋いで滑りたいところだが、そうすると間違い雪渓に入ってしまう。
難しいところだ…
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標高が低くなる程、傾斜が急になる程、荒れが激しい。
出来れば緩傾斜部を繋いで滑りたいところだが、そうすると間違い雪渓に入ってしまう。
難しいところだ…
暗くなってきたので、今日はここまで。
トップまでは登らず、中間部から3本目スタート。
あそこまで雪が繋がっていればいいんだけど、今の時期それを望むのは贅沢か。
この辺りは登山者が少ない分、熊が多いらしい。
夕日に照らされ、東の方角には鳥海山の影が映る。鳥海山が朝日を浴び、シルエットが日本海に浮かび上がる現象を「影鳥海」と呼ぶが、これはその逆現象。
裏影鳥海、とでも呼ぼうか。
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鳥海山が朝日を浴び、シルエットが日本海に浮かび上がる現象を「影鳥海」と呼ぶが、これはその逆現象。
裏影鳥海、とでも呼ぼうか。
唐獅子平からだと水平線が見えないのが残念。
方角からすると、あの山は栗駒山だろうか？
夏道で行くのであれば、雪渓は登らず横断する。
横断起点と終点にはピンクテープの目印が付いている。
昨日よりも末端の雪は薄くなっているので雪には乗らず、右岸へつりで越えた。
よって、少し時間調整。
雪渓上部に荷物はデポし、空身で外輪山へ向かう。
傾斜は急で、浮石が多い。
まだ早い時間なので登山者は少ないが、多い時は落石注意。
野鳥もお亡くなりに。雪の解け具合からすると死後相当経過しているようだが、冷凍保存されてるせいか、腐敗はしておらず。
まるで剥製のようだ。
雪の解け具合からすると死後相当経過しているようだが、冷凍保存されてるせいか、腐敗はしておらず。
まるで剥製のようだ。
外輪山を進み、湯ノ台口へ。
距離は短いけど、とりあえず滑る。
S字雪渓より状態は悪いけど、そこそこ楽しめた。
雪が切れているので、板は担いで大雪渓にアプローチ。
踏み跡が残っており、容易にアプローチ可。
長い距離滑れるが、斜面状態は悪い。
S字雪渓が良かっただけに、悪さが際立つ。
雪渓末端まで滑り降りた。状態が良かったら登り返してもう1本滑っても良かったんだけど、この状態では…
オカワリは結構です^^;
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状態が良かったら登り返してもう1本滑っても良かったんだけど、この状態では…
オカワリは結構です^^;
沢が増水しており、道は一面水浸し。
長靴なので全く問題なかったが、ローカットの靴だと苦労しそう。
感想
快晴の土曜なだけあって、鳥海高原ラインの駐車場は混雑していた。
スキーと1泊分の荷物を背負って、駐車場を出発。
滝ノ小屋前を通り過ぎ、八丁坂の登りに取り掛かる。
陽射しが強く、八丁坂の急登では大いに汗を絞られるが、今の鳥海山は花盛り。
山道を覆い尽くすような花畑が周囲に広がっており、体は辛くても心は愉快。
このコースは冬によく訪れているが、夏に訪れた事は少ないので白や黄色の花々で艶やかに着飾った八丁坂の光景は新鮮に映った。
河原宿を過ぎて心字雪渓に入ると暑さは和らぎ、順調に進む。
今でも心字雪渓には雪が残り、大雪渓で2名、小雪渓で3名のスキーヤーを見かけた。
心字雪渓を過ぎると流石にスキーヤーの姿は無くなって、出会う登山者からは口々に
「どこを滑るのですか？」と質問されるようになる。
とりあえず、「百宅方面の唐獅子平へ続く雪渓を滑ります。」
と答えるが、殆どの登山者は「唐獅子平」と言われてもピンとこないらしい。
登山口となる百宅口までのアプローチの悪さから、夏の最盛期であっても唐獅子平を訪れる登山者は少なく、その名はあまり知られていないようだった。
薊坂の急登では荷物の重さが堪えたが、外輪山まで登り切ってしまえば後は楽。
外輪山上はキツイ登りは無く、七高山まで難所無し。
七高山をこの日のピークとし、登頂後は後は外輪山を降りて唐獅子平方面へ下る。
この下りで、ようやくスキーが活かせる。
唐獅子平方面へ続く雪渓は十分残っており、
斜面状態はこの時期にしては良く、雪渓最上部はフラットに近い。
ここ最近はガタガタの斜面ばかり滑っている私にとっては、まるで目の前に御馳走が広がっている光景のようであった。
最初の落差50mは至福の滑走。
下に行くにつれては雪は荒れてくるが、それほど悪くはなく十分滑れるレベル。
標高1820mで雪渓が途切れて沢となり滑走終了となるが、そこまでの滑走距離は1km以上、標高差300m以上。
この時期としては異例とも言える長距離滑走を楽しめた。
8月に差し掛かろうこの時期でもこれだけ滑走できるとは、流石は鳥海山である。
月山もまだスキーが出来る斜面はあるが、これほど長く滑れる斜面は現存していない。
そう考えると、山スキーの分野では月山よりも鳥海山の方が格上か。
滑走を終え、そんな事を考えながら登山道へと抜けて、唐獅子平へと下る。
雪渓を出て、20分程歩くと唐獅子平に着いた。
今年6月に訪れた時と同じく、小屋は無人。
小屋裏の沢は枯れてしまったので水音がせず、唐獅子平は静寂に包まれていた。
周囲には小規模ながらも花が咲いており、そして西の方角を眺めれば、
そこには、たった今滑り降りてきた雪渓が大きく目に飛び込んでくる。
それはそれは、見ていて心地よい眺め。
この光景を眺めながら、今すぐにでも祝杯を上げたくなるような気分である。
だが、まだ日は高く、沈殿するには早すぎる。
私の価値観では、滑走＞飲酒、なので小屋で休憩後は再び雪渓へと繰り出し、
時間が許す限り滑走に励む。
これだけ状態の良い斜面を滑れる機会は、今季はもうないだろう。
なので、滑り溜め、と言うヤツである。
翌日もS字雪渓へと繰り出し滑り溜め。
2日間、合わせて5本滑走を行い、満足したところで湯ノ台口へと下山した。
こっそり拍手
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POYON_AKIRA さん
連日の猛暑を和らげるような映像ありがとうございます。
私なら雪渓の上でずっと寝そべっていたいですが
🐻さんに会いたいくないし
亡骸標本にもなりたくないので
雪渓で涼むだけで抑えておきます
とうとう板納めですか？
どこかでまだ小さな雪渓を繰り返し滑っているような気がしますけどね〜
今回のルートは標高1000ｍ以上の比較的涼しい領域がメインとなり、雪渓もあるので真夏日に登るには良いルートだと思います
板納め、迷うところですね〜
雪がある限り滑り続けたいと思っていますが、そろそろ厳しい斜面状態です。
とりあえず板はしまわずにおきますが、滑りに行く頻度は減りそうです
鳥海山の東南東面のスプーンカットもない素晴らしいS字雪渓の存在を教えて頂き有り難うございます。7月末に唐獅子小屋に宿泊しS字雪渓を3本滑走するLuskeさんの情熱に本当に頭が下がります。
自分も北面や南面の心字雪渓は滑走したことがありますが、S字雪渓はないです。ぜひ一度滑ってみたいと思いました。
hareharawaiより
今の時期、これだけ状態の良い斜面はなかなか無いでしょう。
流石は鳥海山、と言ったところです。
雪渓までの行程が少し大変ですが、その価値はあると思います。
日帰りだと大変ですが、唐獅子平避難小屋は良い小屋ですので、泊りで行けば余裕を持って楽しめるでしょう。
暑い中、百宅口から登るのは大変なので、今回の湯ノ台口か祓川からの方が楽だと思います。
ぜひ、一度滑りに来てください！
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