北アルプス/槍ヶ岳(横尾右俣経由)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 38.3km
- 登り
- 2,131m
- 下り
- 2,115m
コースタイム
0418 湘南発⇒0810 沢渡着⇒0835 上高地着
0855 上高地発<1510>→0938-0945 明神→1032-1045 徳沢→1135-1200 横尾<1610>→1305 横尾本谷橋<1780>→1351 本谷出合<1880>→1447-1457 横尾本谷二俣<2040>→1635 南岳カール幕営地<2350>
◆9/13
0400 起床
0535 出発→0705-0730 横尾尾根のコル<2700>→0840-0900 主稜線天狗原分岐<2970>→1000-1015 中岳<3084>→1055-1105 大喰岳<3101>→1135 槍岳山荘幕営地→1330-1515 大鎗登頂<3180>
◆9/14
0400 起床
0600 出発→0647-0700 槍沢グリーンバンド→0845-0930 槍沢ロッジ→0951 二ノ俣→0958 一ノ俣→1005 槍見河原→1045-1105 横尾→1200-1210 徳沢→1255-1310 明神→1350 上高地着⇒1515 沢渡発⇒2130 湘南着
天候 | 9/12 快晴 9/13 快晴 9/14 晴れ |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
9月12日。快晴。
例によって天候にも恵まれた。テント泊と登攀装備で荷は重いが、横尾まではほぼ平坦な散策路でありのどかに歩を進める。横尾からは横尾本谷沿いに進むが、稼がねばならない標高に比例して歩みは徐々に遅くなっていった。まあ、それでも本谷橋までは標準時間だ。
本谷橋からは涸沢に向かう道と別れ、左岸を行く。我々以外の全ての人波は涸沢に向かっていく。左岸は暫くは河原のゴーロを歩くが、やがて踏み跡に従いブッシュ帯に分け入っていく。踏み跡は本谷を渡って涸沢行に合流して、それより先は踏み跡もなく河原を再び徒渉を繰り返しながら歩む。
歩みは遅く一向に幕営予定地には届かない。本谷出合、横尾本谷二俣、と目印を求めながら何とか体を前進させていく。本谷橋から休憩を5回はさみ、3時間半掛かって漸く幕営地に到着した。
幕営地の直前には唯一の滝が掛かっており、これを左岸側から越えていくと、目に広々としたカールが飛び込んできた。南岳カールであろう。手前は草原、その奥に低木帯があり、それの向こうに横尾尾根から南岳に至る圏谷の壁が取り巻いている。上高地はまだ初秋の雰囲気であったが、カールは既に秋色が濃く、ナナカマドが赤く、ダケカンバが黄色く染まり始めていた。美しく、心落ち着く世界である。前穂の屏風岩も一望できる
沢の水でビールを冷やしたが、非常に冷たい。1本で十分であった。耳に聞こえるのは横尾右俣のせせらぎのみであり、静かな夜を過ごした。
9月13日。快晴。
南岳カールにテントを張ったまま槍ヶ岳アタックを行うか、荷を担いで槍岳山荘に幕営するか迷ったが、横尾谷を下降するより槍沢を降りた方が楽であろうと言うことでテントを撤収し、全てを担いで出発した。
昨日の横尾谷の行程を考えるとカールを踏み越えて横尾尾根のコルに達するには3時間程も必要かと思ったが、ぐいぐいと標高を稼ぎ1時間半ほどでコルに出た。コルに飛び出した途端に目前に槍の穂先が天を突き刺している。大喰岳から見る槍ヶ岳は均斉が取れたピラミッドだがコルからは東鎌が長く引いているのに対して西鎌は中岳に隠れて殆ど見えない。しかし、これも良い構図だと思いつつシャッターを切る。遠くに、鹿島槍、白馬が見える。片や振り返ると遠くに富士が雲海から頭を出している。
横尾尾根から見ると南岳は非常に困難に見える。鎖にも頼りながら岩を攀り、1時間余りで槍ヶ岳から穂高への主稜線にたどり着く。この天狗原への分岐から見ると槍ヶ岳まではもう指呼の距離と思えたが、中岳、大喰岳と続く3000mの稜線はやはり相応の時間を必要とした。しかし、展望は最高であり、稜線遊歩は爽快である。午前中に槍岳山荘の幕営地に到着できた。
一休みした後、登攀具を付けて小槍を目指した。西鎌に少し降りた所で観察すると、東側に大きなクラックが走っている。ここが登攀のポイントと確認する。10数年前の井坂の記憶では、大鎗を少し登った所からトラバースして取り付くと言う。大鎗に取り付き、上り下りのルートが別れて少し行くとガリーが千丈沢に落ちていた。井坂がガリーを20m程降りて偵察するが、不安がある様子だ。もう少し上でルートを探そうと言う。ところが、これより上には小槍側にトラバースできそうなところは見られず、グングンと標高を稼ぎ小槍も追い越さんばかりだ。渋滞にもまれつつ、仕方なく大鎗に登攀した。頂上から見下ろすと小槍は極く小さな突起にしか見れない。一方で昨年越してきた北鎌尾根を望むと独標が大きく聳えており、困難な道のりを示している。我ながらよくも疲労の極にありながら槍までたどり着けたものと思い感慨にふける。
9月14日。晴れ。
3時頃から周囲で物音などがしだした。我々は4時起床、夜明けの光景を楽しんだ後、6時に出発した。この日は下るのみで気が楽である。荷も幾らかは軽くなった。とは言え、矢張り軽やかな足取りとは行かない。ポイントポイントで長めの休憩をとりながら、14時に上高地に着いた。
途中、槍見河原から梢の間に槍ヶ岳を望みつつ、この山は見るだけでも苦労が大きいものと感じた。
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