ハーフドーム(ヨセミテ国立公園)
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2006年09月の天気図 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山時の駐車場はカリービレッジ先にあるトレイルヘッド・パーキングが一番近い。 満車になりやすいので早めに到着できるようにしたい。 到着後は、車内に食料品等を残さないようにフードボックスに入れること。 最高罰金$5000を科せられることもありますので、要注意。 駐車場からは道なりに歩いていけば登山口に辿りつけます。 登山口手前にトイレあり。 登山口からは迷うことなく歩くことができる。 ミスト・トレイルと、ジョン・ミュア・トレイルの分岐も迷うことはない。 ネバダ滝を登ったところと、リトル・ヨセミテ・バレーにトイレあり。 リトル・ヨセミテ・バレーにはキャンプサイトもあったと思う。 いよいよ核心部、ドーム登頂に向かうわけだが、重い荷物やストックは岩場の影に置いて、なるべく身軽な装備でアタックすることをお勧めします。 誰が使ったかわからないグローブは使いたくないので、軍手でもいいから持参することをお忘れなく。 ワイヤーゾーンは足場の悪いところもあるので、慌てず急がず、登りましょう。 日没前に下山できる予定でも、万が一に備えて、ヘッドライトは必須でしょう。 日本に比べると、一気に真っ暗になります。 足を滑らせたら滑落し死にますので、電池残量の確認も忘れずに。 とても辛かったけど、また行きたいですね。 |
写真
感想
2006年秋のアメリカ旅行四日目(9月18日) に登頂したヨセミテ国立公園のハーフドーム登山記をアップします。
さて、いよいよ待望のハーフドーム登頂当日(2006年9月18日)。
流石に気持ちが高揚していたのか、なかなか寝付けず二度三度と目覚めましたが、寝坊するよりはマシと前向きに考え、予定よりちょっと早めの3時半起床。
愛用のトラベルポットでお湯を沸かし、コーヒーを入れる。
暖かい入れたてのコーヒーはやっぱり美味い!
トラベルポットはもう手放せません。
頼りない音で目覚まし時計が鳴りますが、もう既にお目覚め。
出発の準備に余念がありません。
昨晩リュックに荷物は積み込み済みなので、慌てず支度。
エレベーターで1Fに下りて、駐車場へ。
外は真っ暗で、少し肌寒い。
薄手のスウェット・パーカーを着て、いざ出陣!
4時50分にマリポサのモーテルを出発。
山道を順調に走り、約1時間でヨセミテ国立公園に入り、トレイル口に一番近いトレイルヘッド・パーキングに到着。
熊避けに設けられたフードボックスに下山後の食料品や飲料品を入れ、しっかりロック。
ちなみに車の中に食料品や化粧品等を入れっぱなしにしていた場合、車が熊に破壊されるだけではなく、最高$5000の罰金も科せられるので安易な考えは捨てるべきでしょうね。
駐車場から登山口までは当然歩き。
キャンプサイトを左に見ながら、ゆっくり身体を動かします。
少し距離はありますが、適度なウォーミング・アップには丁度良いです。
トイレに立ち寄り、マーセド川を渡ってこれより登山開始。
出発時間は6時20分。
少し空が明るくなってきて、清々しい気分です。
*スタート地点の標高は4035ft(1230m)。
登山開始10分後、身体が温まってきたので、スウェット・パーカーを脱ぎ、T-シャツに。
ストックに付けた熊避けのベアベルを心地よく鳴らしながら、快調に歩きます。
再びマーセド川を渡り、暫く行くと、トレイルの分岐点に着きます。
ミスト・トレイルとジョン・ミュア・トレイルの分岐点です。
往路はミスト・トレイルで、復路はジョン・ミュア・トレイルで行く事に。
ミスト・トレイルは結構な岩場ですが、富士山のように岩に手を掛けてよじ登る訳ではありませんが、意外と体力を消耗します。
次第にバーナル滝の轟音が近づき、気分が高まります。
バーナル滝にて少し休憩しますが、本当の登山はここかららしい。
この意味は実際に歩いた人にしか理解出来ないでしょうね。
*バーナル滝の標高は5044ft(1538m)。
バーナル滝の次に目指すはネバダ滝。
前半はそれほどでもありませんが、後半は正直キツイ。
それでもネバダ滝までで今日の登山の四分の一に過ぎない。
こんなところでへたばってたまるか!
と自分自身を励ましながらやっと到着しましたネバダ滝。
ここまで約3時間。
まぁ予定通りですね。
ここで暫し休憩し、軽く腹ごしらえ。
*ネバダ滝の標高は5907ft(1801m)。
気を取り直して、目指すはハーフドーム。
ここから先は今までとちょっと雰囲気が変わり、まるで砂浜のようなサクサクした砂地。
割りと平坦ですが、歩きにくい。
ストックを使い一定のペースでひた歩き。
暫く歩くと、山に突入。
再び登山(爆
途中休憩を繰り返しながらも前へ前へと歩きます。
そうただひたすらとハーフドームの頂上を目指して。
ここまで来ると、登山者の顔ぶれは見慣れてきます。
休憩中に抜きつ抜かれつ。
ドイツ人のおっちゃんと話をしながら歩いていたら、ハーフドームが目の前に。
思わず息を呑むも気合を入れ直して歩きます。
シエラネバダ山脈も一望でき、満足っす。
これより先はその険しさを強調するかのような岩場のクネクネ道。
といっても登山用に人工的に作られた岩場なんですが、結構スリリング。
一歩踏み外すと転落です。
でもシエラネバダ山脈を一望しながらの登山終盤は「あと少し、あと少し」と背中を押されるようで勇気付けられます。
登りきって一旦下ると、ハーフドーム最後の難関、ワイヤーゾーン。
全長120m、幅90cmのワイヤーを伝って頂上を目指す。
グローブ置き場があります。
交互通行なので、譲り合いながらの歩行を強いられますからそれなりの体力は必要です。
家内が一旦しり込みしておりましたが、お尻をたたいて登頂を決意した様子。
登ってみて無理なら途中で降りればいい、と励まし登り始める。
用意していたゴム付き軍手をはめ、気合を入れて出発!
登りはじめはこんな感じ。
見下ろすと・・・。
その一箇所のみ沢山の登山者に踏まれた花崗岩はことの他滑りやすい。
登りは腕の力を使います。
でも周りを見ていると、私より遥かに体格の良いアメリカ人がへっぴり腰だったりしていたので、体力に自身のない方は止めておいたほうが賢明かも。
ってここまで約6時間歩いているんですから、皆疲れていて当然です。
お互いに励ましあいながら、譲り合いながら頂上を目指し、登ります。
登っている感覚は約90度(直角)に近い感じ。
難所と言われていたワイヤーゾーンも難なくクリアし、無事登頂しました。
思わず両手を上げて「バンザーイ!」。
ここだけの話、結構余裕しゃくしゃくで私には辛く感じられませんでした。
念願の登頂も無事出来、家内と暫し景色を堪能します。
ドーム頂上から見下ろすヨセミテ・ビレッジも、
昨日行ったグレイシャー・ポイントも、
シエラネバダ山脈もとっても綺麗。
この景色は、登った者だけが味わえる最高のもの。
言葉で言うのは簡単ですが、有言実行を成し遂げた自分に感謝。
ちなみにこの日、日本人には一人として会いませんでした。
考えてみたら、グランドキャニオンのブライトエンジェル・トレイルを歩いた時も、日本人には一人も会わなかったなぁ。
歩くのって楽しいのに。
*ハーフドームの標高は8836ft(2693m)。
頂上で約1時間〜1時間半遊んだ合間に腹ごしらえをして下山に備えます。
ハイ、ここが本日の折り返し点。
あと6時間頑張って歩きましょう(笑
ワイヤーゾーンの下りは足の力で降ります。
登りほどの恐怖感もなく、難なくクリア。
後ろ髪を引かれる思いでしたが、時間を考えると少し急がないといけません。
流石に往路で6時間歩いた身体には多少疲労感があり、復路は結構辛い。
それでも一歩一歩、確実に前に進まなくては下山出来ませんので、とにかく頑張ります。
リトル・ヨセミテ・バレーのキャンプ場のトイレまでの道のりの長い事、長い事。
ネバダ滝の負けない位の水量でした(爆
ここからネバダ滝までは近いようで結構な距離。
時間も気にしながらの下山。
思ってたよりも長く感じられたのはやはり疲労のせいでしょうね。
ネバダ滝のトイレに到着した時には、結構ヘロヘロ。
ここまでで四分の三を消化したに過ぎない。
ここで、朝登ってきたミスト・トレイルと未踏のジョン・ミュア・トレイルに分かれますが、当初の予定通り少し距離があり時間が掛かりますが未踏のジョン・ミュア・トレイルを選択。
ネバダ滝を横断し、マーセド川の反対側を歩きます。
ジョン・ミュア・トレイルはロバの道路にもなっているので、糞に気をつけながら歩きます。
パノラマ・トレイルとの分岐を過ぎ、ミスト・トレイルとの分岐手前で休憩。
もういつ日が沈んでもおかしくない状況で、ヘッドライトを取り付け夜間下山に備えます。
う〜ん、夕日が綺麗だ!
分岐点からそのままジョン・ミュア・トレイルを進むと程なく日没。
あっという間に真っ暗。
頼りはヘッドライトの明かりのみ。
ヘッドライトは12LEDのかなり明るいものなので、足元に不安はありませんでしたが、やはり熊その他の野生動物には凄く神経を使いました。
ここまでの疲労に加えての神経戦。
ハイ、辛いっす(苦笑
つづら折れの山道をゆっくりゆっくり下りていくと、ミスト・トレイルとの分岐点。
少し進むとトイレ。
でも時間が遅いので閉まってる。
諦めて、黙々と歩きます。
何かがコッチを見ている、と思ったらスカンクらしきもの。
ライトで照らすと逃げて行きました。
次の瞬間、ちょっと気が緩んだのでしょう、足を滑らせてあやうく崖下に転落しそうに。
あと数十センチで命拾いしました。
ここまで頑張ってきたのだから、怪我なく下山しようと、さらに一歩一歩ゆっくり踏みしめて歩きます。
前にも後ろにも誰もいない山道はやっぱり怖いですね。
登山口入り口に到着した時には、何ともいえない開放感がにじみ出てきて、感無量になりました。
時間は20時30分。
どうも最後の下山者だったようです。
登山開始から14時間10分、精魂尽きました(苦笑
誰もいない舗装路を、キャンプサイトのバーベキューの匂いを嗅ぎながら、お腹を空かせたヘロヘロのハイカーがストック片手に駐車場目指して歩きます。
フードボックスから食料品を飲料品を取り出し、車に乗り込んでやっと下山した実感が沸いてきました。
ここからはもうモーテルまで戻るだけ。
急がず慌てず車を走らせます。
ヨセミテ・ビレッジを抜け、エルポータルを抜けて暫くしたその時。
全ての緊張の糸が途切れたのでしょう。
車が45度に傾きました。
これ以上はちょっとここでは書けませんが、怪我全くなく、車全く損傷なく、物損全くなく、と周りの状況からは全く想像の出来ない位に全てが無傷でした。
ヨセミテには神々が宿ると言われておりますが、ピルケースに入って一緒にアメリカに来たエル共々、我々を助けてくれたのでしょう。
感謝しております。
予定時刻は大幅に過ぎ日付が変わった頃、何事もなかったかのようにシボレー・インパラは宿泊先であるスーパー8モーテルの駐車場に戻ってきました。
全ての気力を使い果たし、エレベーターで4階の自分の部屋に入るとガクッと崩れ落ちるようにベットに倒れこみました。
気力を振り絞ってシャワーを浴び、吸い込まれるように爆睡しました。
自分で思っているほど、もう若くはないんだな。
この3〜4時間が数日にも匹敵するかような非常に長い時間に感じられました。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する