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Yamareco

記録ID: 5219438
全員に公開
山滑走
十和田湖・八甲田

八甲田雛岳 Deep powder(雪崩を目撃)

2023年02月25日(土) [日帰り]
 - 拍手
体力度
2
日帰りが可能
GPS
05:20
距離
6.0km
登り
720m
下り
701m
歩くペース
標準
1.11.2
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
5:08
休憩
0:00
合計
5:08
13:43
ゴール地点
天候 雪、強い西風
過去天気図(気象庁) 2023年02月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
箒場レストハウス前に停めさせてもらいました
コース状況/
危険箇所等
・八甲田全域で雪質の不安定さや雪崩発生の情報が複数人からあり。
雛岳では北東オープンバーンでスキーヤー誘発の雪崩が発生。
走路は500m以上で、ご本人の記録から推定サイズは2〜2.5。

今回の雛岳の状況についての詳細は、ふくろうの感想欄をご覧ください。
県外から集まった仲間5名で入山します
県外から集まった仲間5名で入山します
大学で樹木について専攻していたMさんがブナの樹齢や、「あがりこ」の意味などを教えてくれて楽しい
大学で樹木について専攻していたMさんがブナの樹齢や、「あがりこ」の意味などを教えてくれて楽しい
3人の先行グループが、スタートから無駄のないコース取りをしてくれていて、ありがたくトレースを使わせてもらいました。
3人の先行グループが、スタートから無駄のないコース取りをしてくれていて、ありがたくトレースを使わせてもらいました。
斜度が急になってくると、直登気味の先行トレースはシールが効かず歩きづらくなったため、我々は別のコース取りをしていきました。
斜度が急になってくると、直登気味の先行トレースはシールが効かず歩きづらくなったため、我々は別のコース取りをしていきました。
風あたりが強くなると同時に斜面の不安定さが顕著に。
そこで滑る予定だった斜面でピットを掘ります。(標高1,020m)
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風あたりが強くなると同時に斜面の不安定さが顕著に。
そこで滑る予定だった斜面でピットを掘ります。(標高1,020m)
Kさん主導で私は助手を務めます。
歩いていて、ここまで危なげな日は初めてでした。
こんな日はどんな結果になるのか楽しみ!
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Kさん主導で私は助手を務めます。
歩いていて、ここまで危なげな日は初めてでした。
こんな日はどんな結果になるのか楽しみ!
結果は、タップどころかシャベルを軽くあてただけで15cm下の新雪と旧雪の境界が破断!(その様子は動画をご覧ください)
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結果は、タップどころかシャベルを軽くあてただけで15cm下の新雪と旧雪の境界が破断!(その様子は動画をご覧ください)
弱層上の雪(一晩で積もった分)は、手前に簡単に引き出せました。
これはかなり危険な結果です。
この場所では15cmでしたが、吹き溜まりなどではもっと厚みが出るでしょう。

この時点でこれ以上標高をあげ急斜度へ入っていくことも、オープンバーンへの立ち入りも選択肢から無くなりました。
けれど、このまま樹林帯を降りても、雪面のうねりが非常に多くあまり雪も良くありません。第一既に足元がスパスパ切れるところを滑る気になれない。
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弱層上の雪(一晩で積もった分)は、手前に簡単に引き出せました。
これはかなり危険な結果です。
この場所では15cmでしたが、吹き溜まりなどではもっと厚みが出るでしょう。

この時点でこれ以上標高をあげ急斜度へ入っていくことも、オープンバーンへの立ち入りも選択肢から無くなりました。
けれど、このまま樹林帯を降りても、雪面のうねりが非常に多くあまり雪も良くありません。第一既に足元がスパスパ切れるところを滑る気になれない。
そこで、今シーズン私が開拓してきた東側の尾根に移動することを提案。あちらは今日の風向きなら間違いなく安定して雪も良いはず。
まずはこの危険地帯から出るために、尾根上を1人ずつ滑走して雪が安定してくるところまで高度を下げました。
そこで、今シーズン私が開拓してきた東側の尾根に移動することを提案。あちらは今日の風向きなら間違いなく安定して雪も良いはず。
まずはこの危険地帯から出るために、尾根上を1人ずつ滑走して雪が安定してくるところまで高度を下げました。
100mほど標高を落としたところで沢を2本渡りました。スキーの最も上手いKさんが沢の雪質を確認し、素早く横断。無線で連絡をとりながら、1人ずつ通過します。残ったものは周囲を警戒。
100mほど標高を落としたところで沢を2本渡りました。スキーの最も上手いKさんが沢の雪質を確認し、素早く横断。無線で連絡をとりながら、1人ずつ通過します。残ったものは周囲を警戒。
対岸の尾根に上がると、案の定予想通りの最高なコンディション!
その尾根の林間で遊ぶことにしました。時刻はちょうど11時頃。
ところが、シールを貼っていると、たった今渡ったばかりの沢を雪煙と共に雪崩が走っていきました。(写真は雪崩通過後)
対岸の尾根に上がると、案の定予想通りの最高なコンディション!
その尾根の林間で遊ぶことにしました。時刻はちょうど11時頃。
ところが、シールを貼っていると、たった今渡ったばかりの沢を雪煙と共に雪崩が走っていきました。(写真は雪崩通過後)
ついさっき渡ったばかりの沢です。
しばらく呆然となりました。
ついさっき渡ったばかりの沢です。
しばらく呆然となりました。
怖くて沢に近寄れなかったので沢底が見えませんが、この下にデブリがあります。勢いがあったので、もっと下の方まで流れていったと思います。
怖くて沢に近寄れなかったので沢底が見えませんが、この下にデブリがあります。勢いがあったので、もっと下の方まで流れていったと思います。
まさかの事態に一時は皆動揺もしましたが、私たちのこれからの行動には雪崩の危険はないはず。
気を取り直して尾根を登ります。
まさかの事態に一時は皆動揺もしましたが、私たちのこれからの行動には雪崩の危険はないはず。
気を取り直して尾根を登ります。
そのうち沢の中が見えてきました。
走路がはっきりとわかりました。
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そのうち沢の中が見えてきました。
走路がはっきりとわかりました。
コンディション良い代わりにラッセルは深くなりましたが、皆かなり強いメンバーなので楽ちん♪
コンディション良い代わりにラッセルは深くなりましたが、皆かなり強いメンバーなので楽ちん♪
前回の偵察で、チェックした斜面まできました。
持っている情報を全てメンバーに伝え、地図を見ながら確認します。これ以上高度は上げずに、今日はここを1本目のドロップポイントとします。
前回の偵察で、チェックした斜面まできました。
持っている情報を全てメンバーに伝え、地図を見ながら確認します。これ以上高度は上げずに、今日はここを1本目のドロップポイントとします。
1本目はトレースの右側を滑りました。
ふくろうが1番に、一気にシールを貼った標高まで滑り込み、降りてくる皆を撮影しました。
1本目はトレースの右側を滑りました。
ふくろうが1番に、一気にシールを貼った標高まで滑り込み、降りてくる皆を撮影しました。
オーバーヘッドパウダーに皆大歓喜!
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オーバーヘッドパウダーに皆大歓喜!
みんなかっこいい!
みんなかっこいい!
今回の遠征にギリギリ新しいdpsの太板が間に合ったMさん!
今回の遠征にギリギリ新しいdpsの太板が間に合ったMさん!
Kさんは相変わらず早過ぎてカメラが間に合わん!
Kさんは相変わらず早過ぎてカメラが間に合わん!
登り返しも笑顔が止まらない女2人
登り返しも笑顔が止まらない女2人
2本目はトレースの左側を滑る!
2本目はトレースの左側を滑る!
運動神経抜群、男性顔負けの体力で疲れ知らずのYちゃん!
運動神経抜群、男性顔負けの体力で疲れ知らずのYちゃん!
お腹にいつも大事な一眼レフと一緒!
Mさん!
お腹にいつも大事な一眼レフと一緒!
Mさん!
ここからはMさんご自慢の一眼レフカメラで撮ってくれたみんなの写真!
この軽いパウダーの感じ、伝われっ!
ここからはMさんご自慢の一眼レフカメラで撮ってくれたみんなの写真!
この軽いパウダーの感じ、伝われっ!
迫力満点の滑走はまさに雪上の重戦車!Tやん!
迫力満点の滑走はまさに雪上の重戦車!Tやん!
ラインはほぼ縦一直線!
元モーグル選手Kさん!
ラインはほぼ縦一直線!
元モーグル選手Kさん!
ようやく派手な板裏をチラリズムできてご満悦!
わたくし、ふくろう!
2
ようやく派手な板裏をチラリズムできてご満悦!
わたくし、ふくろう!
みんなの勢いは止まらない!
みんなの勢いは止まらない!
八甲田のパウダーはそれを全力で受け止める!
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八甲田のパウダーはそれを全力で受け止める!
口の中に雪が入ってきて大変さ!
口の中に雪が入ってきて大変さ!
極上のオーバーヘッドパウダーにみんな笑顔!
1
極上のオーバーヘッドパウダーにみんな笑顔!
2本目も潔く一気に真下へ落としました。
その後はトラバースしながらスタート地点へ戻していきます。先頭がスタックするような場面では、みんなで声を掛け合って、追い越し追い越し道を作っていくナイス連携プレーでクリア♪
2本目も潔く一気に真下へ落としました。
その後はトラバースしながらスタート地点へ戻していきます。先頭がスタックするような場面では、みんなで声を掛け合って、追い越し追い越し道を作っていくナイス連携プレーでクリア♪
当然最後はシールを貼ってゴール。
この潔さが最高。
当然最後はシールを貼ってゴール。
この潔さが最高。
みんなそれぞれに得意分野があって自立してる。
弱点は誰にだってあるけれど、それを補い合える最高のメンバー。
今回も遥々来てくれて本当にありがとう!
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みんなそれぞれに得意分野があって自立してる。
弱点は誰にだってあるけれど、それを補い合える最高のメンバー。
今回も遥々来てくれて本当にありがとう!

感想

北東北遠征三日
本日は雛岳
先行者のラッセルをありがたく使わさせていただく、素晴らしいルートとり
ありがとうございました

登攀中のキックターンでも微妙に雪が崩れている状況
ピットチェックの結果、満場一致で標高を下げる選択
F氏の事前偵察のおかげで素晴らしい斜面を滑れました
雪は今シーズン一番のツリーランでした
八甲田の女神、F氏に感謝です

さて雪の具合はいかがなものかとチエックをしてみれば、シーズンに一度か二度くらいある危険な状況に遭遇しました。そこでルートを変更して、ふくろうさんの開拓地に移動することに。
沢を速やかにトラバースして登り返しの準備をしていると、異音に気づきました。
久しぶりに聞く嫌な音と共に、雪煙が上がりました。恐るおそる沢床を確認してみるとデブリの跡が、もう少し沢を渡るのが遅かったらと思うとぞっとしてしまいます。

気持ちを入れ替えて、最後はオーバヘッドのディープパウダーを楽しみましたが、あの状況でセイフティーな判断ができたのは、このメンバーだからできたのではないかと思います。今回も行動してみて感じましたが、お互いのことを思いやり、良い判断ができて安心して行動できるメンバーだと思いました。またどこかの山に挑戦してみたいです。





前日までの昇温と日射、その上に降雪と強風という悪条件で、この日の八甲田はあちこちで雪崩が発生したようです。
雛岳では樹林帯でも風当たりの強いところではスラブが剥がれたりクラックが走ったりと、相当悪い感触。
滑りたかった斜面側、C1,020付近で弱層テストを行ったところ、案の定シャベルをそっとあてただけで、↓15cmの新雪と旧雪の境界が破断(SC)しました。恐怖。
アクティブチェックとピットチェックの結果が結びついたことで、計画を断念することに対し納得ができました。

このまま樹林を滑るにしても、うねりが多くあまり雪質も良くなさそう。
そこで、今シーズン2度に渡って開拓してきた東側のルートを思いつき、危険な尾根は早々に撤退して風の影響のない東の尾根を登り直しすることにしました。
安全と思われるところまで高度を下げたところで、そちらの尾根へと沢を2本越えて移動します。

滑走が最も上手な先頭がまず沢に少し入り、雪が安定していることを確認。
無線でこまめに連絡し合いながら、安全のため1人ずつ素早く滑って渡ります。
他のメンバーは皆が渡る間周囲を警戒してくれます。
沢の中は雪に不安定さは感じず、良質なパウダーでした。

2本の沢を越えた尾根上で、登り返しのためシールを貼っていたところ、たった今渡った背後の沢の中を雪崩が走っていきました。
時刻はちょうど11時頃。

私は仲間に言われるまで全然気が付きませんでした。
振り向くと雪煙を上げながらかなりのスピードで、しばらくの間沢を雪が流れていきました。
仲間によれば、ドン!という音が2回したとのこと。
また、最初は地震かと思ったとのこと。
安全な尾根上にいるのに、恐怖で思わず皆板を持ってさらに奥へと逃げました。
雪崩の瞬間を目の前で見たのは初めてで、とても怖かったです。

あとで聞いたところによると、沢の約500m上部のオープンバーンでの、スキーヤー誘発による雪崩だったようです。
今後は自分たちの下に、上に、誰かがいるかもしれない可能性も頭に入れて、より慎重な判断を心掛けたいと思います。
また、今回はもっと高度を下げたところで沢を渡るべきだったなとも反省しています。


最後に、少しでも多くの方に雪崩の怖さが伝わり、リスクに対する意識が高まれば良いなと思い、今回ピットチェックの様子を撮った動画をYouTubeにアップしましたので、ぜひご覧ください。

※尚、安全な尾根に移動してからのツリーランは、素晴らしいコンディションで最高でした!(ディープパウダーでオーバーヘッド!)

とにかく雪崩について、とても勉強になる山行でした。私たちパーティーだけでなく、あのコンディションで山頂まで行った他の大勢の人たちも全員無事に下山できて良かったと思います。
メンバーのピットチェックからのルート変更判断、目の前で雪崩を見て肝を冷やしたことで、これまでの自分の雪崩に対する甘さを思い知りました。
これまで私が楽しかったね、と笑って下山できた山でも一歩間違っていれば雪崩を起こしていたかも、、下に人がいて、巻き込んでいたら、、雪崩を引き起こした今回のパーティーになりかねない行動をしていたこれまでの自分を反省。
大切なことを教えてくれた頼もしいメンバーに感謝!
そして、ふくろうさんの開拓地のパウダーの楽しいこと!素敵な場所に案内してくれてありがとう。

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