くじゅう山系三座（大船山・北大船山・平治岳） ※二十数年ぶりのミヤマキリシマの当たり年!?
marnim
- GPS
- 08:50
- 距離
- 11.8km
- 登り
- 1,198m
- 下り
- 1,200m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2009年06月の天気図 |
| アクセス |
写真
拍手
感想
今年もミヤマキリシマの季節がやって来た。この時期が来ると、今年の咲きっぷりはどうなのか？梅雨入りはいつなのか？等々妙にソワソワしてくる。事前情報によれば、「今年のミヤマキリシマはなかなかの当たり年である。」とのことで、期待に胸がふくらんできた。今回は８月の屋久島縦走に向けての足慣らしも兼ねて、くじゅうミヤマキリシマ鑑賞登山に行くことにした。
ところで、３月中旬から一念発起しダイエットに取り組んでから、体も随分軽くなった。思えば毎朝５時前に起き、文化記念公園を来る日も来る日も１０�匐瓩�走ってきた。休日には新北九州空港の１５�勹�復ランニング、ママチャリでの会社往復とストイックなまでに体をいじめぬいてきた。また一方で、食生活も腹八分目で抑え、大好きなスイーツやビールを控えるなど、精神力も同時に鍛えてきた。それら頑張りにより体重も７１�圓�ら５９�圓悖隠沖垳困鮹�成。中年太りした腹は信じられないようなスリムな体型へ、顔も満腹太郎のような丸顔からシャープな顔立ちへと変身を遂げ、若かりし時の輝きを取り戻すことができた。
当日朝３時半に起きた。いつもは４時半起きなのでそれほど辛くはないと思っていたが、いつもより１時間早く起きるとなると体に堪える。国道１０号線を南下し宇佐別府道路から大分自動車道へ入る。ここで突如猛烈な睡魔に襲われた。「ああ、もうアカン！」。由布岳のパーキングに滑り込み小休止。ふと、気付くと１時間以上も眠っていた。「しまった！２０〜３０分休むつもりが、１時間以上も眠っていたか！これなら、いつも通り４時半に起きたのと変わりない！」慌てて、車を走らせやまなみハイウェイを南下、男池の登山口に着いた。
「ゲッ！やっぱりか！」予想していた通り、男池の駐車場は満杯で停めるところもない！駐車場から溢れた車は道路に路駐しており、既に路駐スペースもなくなっていた。「ダメだこりゃ！」と、諦めながらも駐車場へ入ると、なんと１台の車が出ようとしているではないか！「オッ！マジっすか！」すかさずハザードで他の車を制しながら、高速バックで車庫入れを完了させた。「いやいやツイてるわ！」他の車の奴らの悔しい顔が目に浮かぶ。ツイていると言えば今日の天気もそうだ。６月の７日ともなれば、例年梅雨入りして雨がザーザー降っていてもおかしくない。それがこの天気。快晴とまではいかないものの、この時期には珍しい爽やかな風が吹く絶好の天気ときたもんだ。
意気揚々と男池登山口を出発した。男池周辺は遊歩道が整備されており、歩きやすい。しかし油断は禁物だ。去年の皿倉〜牛斬３０�匳珍�の時は前半の飛ばし過ぎがたたり、後半膝と大腿を痛め失速、最後は歩くのでさえ困難な状態にまでなってしまった。
イーブンペースを守りながら、かくし水へやってきた。すでに汗がにじみ出ているが、まだまだ歩き始めて２０分、ここで休むわけにはいかない。そのまま休まず進んでいく。かくし水を過ぎると、傾斜がややきつくなってくる、と、同時に汗が噴き出してきた。歩き始めて約４０分ソバパッケに到着、ここで小休止とする。タオルで汗をぬぐい、水分を補給する。遠く山向うの大戸越方面を見上げると、天気も晴れ渡り、いよいよ期待がふくらんできた。ソバパッケを出発すると、傾斜がいよいよきつくなり、他の登山者も休み休みの山行だ。オレはというと、早朝ジョギングのお陰か、息も上がらずイーブンペースで登り続ける。
登り続けていると、ある登山者のグループに引っ掛かった。急激なペースダウンだ。見ると７０代か８０代か分からないが、おじいちゃんが一生懸命この坂を登っている。しかし、まぁよくここまで来たもんだ。あまりにも遅いペースに、おじいちゃんの同行者が先に行って下さいとサインを送ってきた。そのサインに応え抜かしにかかった。抜かし際、おじいちゃんを間近で見ると、小刻みにぷるぷる震えながら一歩一歩歩いている。「大丈夫かこのじいちゃんは！」心配しながらも(本当はあまり心配などしていないが……）先を急ぐ。
ようやく森を抜けると灌木帯に入ってきた。ここまで来ると、あと少しだ。登り始めて約１時間半、大戸越に着いた。大戸越はタイミング悪く少し霧が掛かっており、平治岳山頂の状況ははっきりとは分からない。しかし前来た時と同じく、平治岳の登りは人・人・人の大渋滞であった。この渋滞だと山頂まで着くのに軽く１時間以上はかかるであろう。当初の計画通り、まずは平治岳に登らず、その逆の北大船から大船山へ向かうことにした。そう、今回は久住山とともにくじゅう山群の盟主と言われる大船山にも登るのである。これでこそ屋久島への足慣らしになるというものだ。
大船山は日本三百名山にも選定、山群で唯一の成層火山で、頂上近くに御池、米窪、段原の３つの噴火口を持つ複式火山である。山頂一帯は国指定天然記念物のミヤマキリシマが咲き誇る。その大船山へは大戸越から続く灌木帯の登りから始まる。大戸越の賑やかな雰囲気から一転して、こっち方面へ来る人はあまりいないようである。
灌木帯を登って行くうちに、霧がなくなり青空が広がってきた。隙間から反対側の平治岳を見ると、ピンクの錦を飾ったような素晴らしい山容が見えた。「おおー、これは凄い！」梅雨入り前の爽やかな風を浴びながら、平治岳を彩るミヤマキリシマに思わず感嘆の声を上げていた。きつい上り坂を登り切ると、段原火口原が見えた。火口原の向う側の山はミヤマキリシマが咲き誇っている。「しかし、素晴らしい景色だ！おそらくあの山が北大船だな！」何も考えず進路をそちらに向かって突き進んで行く。涸れた火口原を過ぎて、ミヤマキリシマの低木帯を進んでいくが、「ん？なんかおかしい？道がだんだんなくなってきている」。道をかき分けかき分けなんとか進んでみたものの、道が完全に行き止まってしまった。これは完全に道を間違えた。ひとまず引き返そう。段原火口原を再び渡り返し、元の道へ戻った。約３０分の大幅ロスになってしまった。
大船山は諦めようと思った時に、たまたま出くわした登山者に大船山の道を聞いてみた。するとこの道を進めば、北大船から段原を抜けて大船山に行けるとのこと。「そうか、大船へは火口原に降りずにそのまま歩いていけばよかったのか。ミヤマキリシマの美しさに惹かれてつい間違った方へ進んでしまった」。そうと分かれば足取りも軽い。しかもこの辺りのミヤマキリシマもピンクの色も鮮やかに咲き誇っている。素晴らしい花と三俣山をはじめとするくじゅう山群を眺めながら気持ちのいい稜線歩きが続き、しばらくして北大船山に着いた。さらに歩を進めると段原だ。この段原は坊ガツルへと続く道が交差し、眼前にはこれから行こうとする秀峰大船山がそびえ立つ。
まだまだ体力も十分、大船山へ向かってさらに進んで行く。短い樹林帯を抜けると、大船山本体の急坂が待ち構えていた。いつもなら息を整えながら行くのだが、日頃のジョギング効果もあったのか軽く登り切ってしまった。「おおーー、これが大船山山頂か！」山頂からは三俣山から坊ガツル、硫黄山からの噴煙もはっきり見える。梅雨入り前の爽やかな風が実に心地いい。昼食やら山頂写真やら、しばらくここで大休止とした。
山頂での至福の一時も十分に堪能した、そろそろ出発の時間だ。そう、最後のメインディッシュが残っている。大船山山頂から段原、北大船山と元来た道を経由して大戸越に戻ってきた。さっきよりも行列の数は減っているが、それでもまだかなり渋滞している。大戸越にザックと邪魔だった三脚をデポして、しずしずと列の最後尾に並んでみた。オレの前は年輩者の４〜５人のグループらしく、この行列を楽しんでいるかのように楽しげに会話をしている。するとすぐ前のおばさんが話しかけてきて、「荷物は置いてきたの？そう。こんなに長時間待つのなら私たちも荷物を置いてくればよかったわ」云々。和やかな雰囲気の中で待つにつれ、少しずつだが高度が上がってきた。渋滞の起点は鎖場だ。しかしまだまだ先の方だ。満開のミヤマキリシマを見ながらのんびり待つことにした。
並びはじめてから小一時間が経ち、ようやく自分の番がまわってきた。「よし行くぞ！」と、思ったらすぐ前のおばさんがもたついていて、なかなか上に上がっていかない、というか上がっていけない。思わず下から、「お尻を押しましょうか」と声をかけたが、無反応だ。やはり、おばさんといえどもやっぱり女性だ。「お尻を押しましょうか？」と言ったのはまずかった。そのおばさんもなんとか上に登り、やっと自分の番になった。ここはさすがに運動神経には自信のあるオレのこと、何事もなかったようにスイスイと登ってしまった。この難所を越えれば、（といっても難所という程でもないが…）山頂まではもうすぐそこだ。
ハイペースで登っていると、ミヤマキリシマの見事な株があった。花付きといい色といい素晴らしく、写真を撮ろうと思ったら、肝心なときに太陽が雲に隠れてしまっている。諦めて通り過ぎてもよかったんだが、あまりの素晴らしさに諦めきれず、太陽が顔を出すまで待つことにした。１０分待ったけど、まだ出ない。「もうええわ！」と、しびれを切らして行きかけた時、ようやく晴れ間が出てきた。ちょっとばかり時間を食ってしまった。
最後の一登りで平治岳（南峰）に到着、並び始めて軽く１時間以上は経っているが、やっぱり苦労して並んでよかったと思った。南峰に着き、平治岳本峰方面を見たとき、まるでピンクの絨毯かと見間違う程の素晴らしさ。そこにいた全ての人を完全に虜にしてしまっている。そこかしこから歓声が上がり、ある人は「今年は２０年ぶりの当たり年か！」や、「こんな素晴らしい咲きっぷりは見たことがない」等々口々に言っている。確かに２年前に見た光景よりも断然素晴らしい。午前中に見た北大船山周辺のミヤマキリシマも素晴らしかったが、まるでレベルが違う。本当に来てよかった。惜しむらくは、太陽が雲に隠れてしまって、なかなか顔を出してくれないことだ。太陽の光があれば、花の鮮やかさが際立つのになぁ。しかしあまりここでのんびりと時間を過ごすわけにはいかない。下山の時だ。素晴らしいミヤマキリシマをもう少し見ておきたいという思いもあるが、山を下りることにした。
大戸越に着くと、さっきのグループのおばさんがオレを見つけるなり、「荷物は無事あった？」と声をかけてきた。「ええ、無事ありました。」というと、そこでしばらく談笑をする。グループの人たちは大分の中津出身の方々とのこと。ここで得意のリップサービスが火を噴く。「いやいや、私は大分県って大好きなんですよ。いい山はあるし、温泉も素晴らしい！」と言うと、向こうから「人もね！」とうまく切り返された。「あっ、肝心なものを忘れていましたね。」と一同笑いに包まれた。
中津のグループに別れを告げると、大戸越からソバパッケ、かくし水と下ってきた。せっかくなのでかくし水の水を飲んでみることにした。「うまい！本当にうまい！」水にクセが全くなく、しかも信じられないぐらいメチャメチャ冷たい！最後には恒例の男池の湧水も味見、やっぱりかくし水の方がうまく感じる。ようやく駐車場までたどり着いた。屋久島への足慣らしもあってか、なかなかハードな行程ではあったが、膝の痛み、太腿のひきつりもなく無事にたどり着けた。これなら屋久島でもなんとかなるかもという自信にもなった。
下山後の楽しみはというと、当然温泉だ。どこがいいか正直迷ったが、以前休業中で行けなかった、筌ノ口第二温泉「震動の湯」へお邪魔することにした。すぐ近くの筌ノ口（第一）温泉とは泉質も全く異なっているとのことで、ずっと楽しみにしていた。入るとすぐに大好きな炭酸水素塩泉特有の香りがしており、この温泉は間違いないと確信。確かに筌ノ口（第一）の黄土色の温泉とは色も浴感も異なり、こんなに近いのにここまで泉質が違うのかと不思議な感じがする。どちらも甲乙付けがたい素晴らしい温泉であることには間違いない。震動の湯へ身を沈めて、今日一日の疲れを取り去る。今日は本当に上機嫌で帰宅することができた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録するこの記録で登った山／行った場所
関連する山の用語
山行記録を公開しました
X
Facebook
リンク取得
メール
ブログパーツ
情報提供のお願い
山行記録を投稿して、ヤマレコのコミュニティに参加しよう！
この山行記録の写真
大船山の最新記録
平治岳の最新記録
北大船山の最新記録
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する