房総古墳と埴輪ツアー・成田と芝山
hirokok510
その他18人 
体力度について
- GPS
- 07:12
- 距離
- 64.6km
- 登り
- 403m
- 下り
- 420m
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| 天候 | 曇り時々晴れ・にわか雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2015年06月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
|
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感想
房総の遺跡歩きはこれまで、加曽利貝塚や印旛沼（印西市）周辺の史跡ー貝塚や金鈴塚古墳・資料館などいろいろあるが、成田周辺や山武市・九十九里方面は歩いたことがない。今回は房総半島の古墳や埴輪を見学し、房総。東国の古代を考える良い機会となった。最初は房総の森−風土記の丘資料館と龍角寺古墳群ーここで学芸員（上席研究員）の白井氏よりこの地域の古墳や埴輪その他の出土品に関する展示の開設をしていただく。龍角寺古墳は114基あり、そのうち93基が房総の森の敷地内で保存されているが、残った古墳も極力保存の方向で活動しているらしい。開発優先の件として有名？な千葉県、多くの遺跡がつぶされて消える中、この古墳群は貴重だ。
飛鳥ではすでに6世紀末ごろ、豊浦寺や法興寺（蘇我氏の氏寺）など本格的な仏教寺院の建設が始まり、大きな前方後円墳は次第に姿を消していったが、房総や東国では7世紀後半まで終末期古墳が続く。近畿などでは6世紀には衰退していった前方後円墳だが、この龍角寺古墳群では7世紀初頭の浅間山古墳は全長70mで千葉県最後の巨大前方後円墳だ。岩屋古墳は方墳で80m、7世紀前半の造営でこの時期では全国最大規模だ。おそらく、ヤマト政権の東国支配、東北経営の拠点として、上毛・下毛地域や房総方面は東北支配のための軍事拠点、交通拠点であったろう。出土する土器や埴輪でもこの地域特有の在地要素が加わったものがあるようだ。埴輪でも西の埴輪は焼成時の割れなどを防ぐために、例えば家形埴輪の場合、窓を大きく開けてい横に長いが、東国の埴輪は窓が小さく、家は細長い。
白井研究員による30分ほどの展示解説の後、下の学習室で30分ほど龍角寺古墳群と房総の古墳時代に関するレクチャーがあった。房総の森は印旛沼より1.5�勸緬姪貘Δ砲△蝓�縄文海進時代は海岸が近く、古墳時代には海は退いたが、霞ヶ浦、印旛沼、手賀沼、利根川などが一体となった「香取海」となっていて、水運の便が良かったらしい。ここから船や陸路で東北に軍隊を送ることが可能だった。交通や軍事の要衝を抑えるこの地の豪族はヤマト政権から鉄やその他の重要な物資や技術を必要に応じて得られる立場にあったようだ。また龍角寺は8世紀初頭に遡りうる関東屈指の古寺で現在は塔や仁王門などの礎石が残るのみ、ほかに金銅、講堂を備えた本格的な仏教寺院だったようだ。本尊は金銅仏の薬師如来像で、焼け残った東部の実が白鳳仏で、深大寺の釈迦如来像とともに、関東最古の仏像らしい。4年前の東日本大地震の被害後修復され、現在は航海していないそうだ。博物館のレプリカで見ることができるが、この夏、奈良の博物館かどこかに出展されるようでそこなら見られるとかーー。
レクチャー終了後、風土記の丘資料館を出て、窟屋古墳を見る。ここでは印旛郡栄町の文化財担当者が古墳の説明をしてくださった。普段はカギの締まっている石室を開けて外から筑波石と貝殻石などで組まれた石室内を見学、貝殻石の郷海岸はもろくて崩れる恐れがあるため、残念ながら中には入れない。石室は東と西と二つあるが、東側は盗掘後の崩落で埋まり，見学不能。墳丘はかなり高く、二重の周溝を掘った土砂の他、東側の舌状台地の両側の谷は、墳丘を造成する土を掘った後のようだ。上からは印旛沼（当時は香取海）や筑波山などを見渡せたようだが、今回は曇って眺望は限られていた。
その後は龍角寺を見学し、房総の森に戻って昼食後、マイクロバスで成田空港を通過して芝山に移動。大型旅客機の離発着が頻繁で、かつての成田闘争を思い出す。経済学者の住谷三喜男や宇沢弘文氏らが仲裁に入り、最後は故村山首相が謝罪して和解が成り立ったが、一部ではまだ闘争が継続し、成田駅でもまだ反対派の宣伝活動が行われていた。
栄町の房総の森から芝山町までは20�勸幣紊竜�離があり、芝山市内に入ると埴輪が街道沿いに設置され、埴輪の町として町おこしが行われているのか？−−埴輪博物館では、芝山町の文化財担当者が展示品や芝山の古墳と遺物について、展示解説をしていただいた。博物館の入口はなんと先に見学した龍角寺古墳群の岩屋古墳の石室の入り口を模したものだった。隣町の古墳の入口を復元するとは、窟屋古墳の石室はそれほど有名な石室のようだ。ここdめお埴輪の歴史や房総の埴輪の特徴、とりわけ姫塚古墳から出土した埴輪列に関して解説があった。姫塚古墳からはかつて置かれた埴輪列がそのままの形で出土し、考古学史上色々な論争のあった埴輪列であったが、この発掘で初めて埴輪列の実際の姿が判明したという。またこの埴輪の特筆すべき点として赤い顔料などが埴輪の顔に塗られていることで、当時大陸から新たに入ってきた化粧の様子がうかがわれるようだ。こうした赤塗りは当初は魔除けの風習で、次第に美的なものに変化していったようだ。本物は隣の仁王尊のミュージアムにあるので、よく見るように助言された。仁王尊の埴輪ミュージアムでは発掘調査をしてきた早稲田大学の研究者や学生が記録の整理に来ており、最初受付では作業中で見学できないと言われたが、中で早大関係者の許可を得て何とか見学できた。赤い顔料の残る埴輪の実物を見ることができた。また丈の高い帽子のようなかぶりものか髪の毛か、また顔の様子も一般的なものとは異なり、かなり渡来系の人々の様子があらわされているという。ヤマト政権の東国支配の1拠点として、渡来人による新しい技術などが持ち込まれたものと思われる。
芝山町の担当者のご厚意で、埴輪ミュージアム見学後の殿塚・姫塚見学では担当者の案内と解説をして下さった。これらの古墳周辺の事情は複雑で、古墳自体は芝山町ではなく隣の山武郡横芝光町に属すが所有者は仁王尊で、昭和31年（1956年）、早大の発掘調査で姫塚古墳から葬列埴輪が完全な形で出土し、にわかに全国的な注目を集め、その後芝山古墳群（13基）が国指定史跡になった。そしてその埴輪群は県指定重要文化財となったが、それを仁王尊が早大の滝口教授らと相談して、埴輪ミュージアムとして展示保存することになったという。当時はまだ早大博物館は図書館しかなく（1998年開館）、そのために仁王尊にミュージアム建設を進めたらしい。その結果地元にこの重要な埴輪群が残るという稀な幸運をもたらし野だった。すばらしい埴輪を中心とする遺物のあるミュージアムだが、古墳群の方はなかなか整備が進まないようだ。地権者は仁王尊であっても、行政的には隣の横芝光町に属するので、道路一本整備するのは容易でないという。現に道が細くマイクロバスが近づけなかった。昭和58年に国史跡になったものの、史跡整備への道はなかなか険しいようだ。文化財保護の難しさを感じさせる場所だった。史跡整備を進めるための資料作成のために再発掘したいところではあるが、国の許可を得るのも容易でなく、早大はハイテクの地中レーダー探査を行い、石室や周溝の所在などを確認しているようだ。その探査の結果の図像を示しながら陵古墳を案内していただいた。芝山古墳群見学の後、さらに九十九里浜に近い山武市にある大堤権現塚古墳を見学した。県教育委員会などの説明板には
「千葉県指定史跡 大堤権現塚古墳
山武市松尾町大字宮南 平成2年3月16日指定
大堤権現塚古墳が所在する築には本古墳以外に前方後円墳1基、円墳7基（調査後2基消滅）で合計9基の古墳で群を構成し大堤古墳群として周知されています。本古墳は山武郡域では最大級の前方後円墳です。立地は太平洋に注ぐ木戸川流域の左岸台地上、九十九里平野と境を接する位置に古墳は占地しています。
古墳の大きさは、墳丘長115m、後円部径55〜60mで高さ12m、前方部最大幅53m、高さ10m、括れ部の幅45〜47m、を測り、前方部に比して後円部径が大きい形状を呈することや、前方部の向きが南方向に向いていることが特徴とされます。本古墳の調査は過去に3回行われました。昭和31年に埋葬部を中心とした調査によって、前室・奥室の複室構造ををもち、長さ9m程のものと判明しました。さらに、奥室の北側壁に接して石棺を設けた特異な横穴式石室です。副葬品には頭椎大刀（かぶつちたち）、圭頭大刀をはじめ翡翠製勾玉、水晶製勾玉、ガラス玉、小玉など多数の玉類が出土しました。平成3年〜4年にかけて2回の古墳の範囲確認調査が実施され、周溝が墳丘の周りを3重にめぐることが判明しました。千葉県内で初めての発見となり注目されています。この3重の周溝を含めた総全長は174mを測り、県内においては有数な前方後円墳です。
平成19年3月1日 千葉県教育委員会 山武市教育委員会」
という解説があった。大きな前方後円墳で三重の周溝という特徴のある古墳だ。海岸から6−7�劼△覲ご瀛震遒斑糞屬留錣砲△蝓∧�丘の長さは115m、高さは12mで埴輪を持たない終末期の大きな前方後円墳だ。横穴石室の奥壁は赤く塗られていたようだが、現在は崩壊して埋れ確認できない。
九十九里方面も古代寺院や古墳など、様々な史跡・遺跡があり、また今日の見学場所の多くは関東ふれあいの道になって、ヤマレコでも記録が載っているのでまた他の場所も歩いてみたい。
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