3年間の集大成 劔立山
- GPS
- 56:00
- 距離
- 18.5km
- 上り
- 2,015m
- 下り
- 2,031m
コースタイム
- 山行
- 4:00
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 5:50
- 山行
- 8:40
- 休憩
- 3:00
- 合計
- 11:40
天候 | 朝方は晴れ 午後は曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
復路 室堂ー新宿 毎日アルペン号 |
コース状況/ 危険箇所等 |
全体的に注意が必要ですが、クサリ、杭等の安全対策は万全です |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
着替え
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
タオル
ツェルト
ストック
カメラ
ヘルメット
|
---|
感想
遡る事3年前に結成(自然発生)された私たち「オジサン山岳部」(平均年齢5○歳)には、とある3年計画がありました。
登山歴ほぼ初心者の2名(stanton,ナベちゃん)と4年ぶりに登山を再開した私(師範代 登山歴12年?)がチームを組み
1年目 アイゼンを使うような高い山へ行こう ⇒奥穂高岳へ
2年目 ヘルメットが要るような高い山へ行こう⇒西鎌尾根経由で槍ヶ岳へ
を(無謀にも、、)実行しました。
自分で言うのもなんですが、この師範代かなりの楽観論者で、筑波山しか行った事がない初心者に「大丈夫だから奥穂高岳へ行こう」と言ったり、「登山なんか、多少寝てなくても、食べてなくてもなんとかなる」といつもニコニコ(^^♪しています。
こんな師範代に付き合わされるstanton,ナベちゃんの苦労が思いやられますが、案外、この2人、名だたる上級コースを師範代以上に楽勝でこなしているようです。
そして3年目の今年の目標は
3年目 ハーネスが要るような高い山へ行こう
と言うタイトルを挙げ、沖縄赴任から復帰登山(6月 山梨県 日向山)の帰り路、
例の調子で「大丈夫だから剣岳へ行こう」の言葉が師範代から発せられました(*_*)
stanton,ナベちゃんの運命はいかに、、、
念の為付け加えますが、この師範代の発言は「神のお告げ!」等インチキ占い師の発言ではなく、日本でも有数なアドバイスをいただけるY大師匠の助言、2人の十分な実力を踏まえた「安全第一」のものですので御安心下さい!
(事前準備)
正規ルートとは言え相手は「最難関」の呼び声が高い「剣岳、別山尾根」です。
約5時間の岩場との闘いの間、緊張感を維持させなければなりません。
3人それぞれヒミツトレーニングを行って山行に備えました。
乾徳山合同トレーニング⇒悪天の為中止
丹沢表尾根縦走トレーニング(stanton、私)
攻略本、画像によるイメージトレーニング(全員)
新田次郎「劔岳 点の記」購読(stanton) ⇒これもトレーニングになるか?
映画 「劔岳 点の記」鑑賞(私) ⇒これもトレーニングになるか?
ボルダリングジムトレーニング(私)
近所の体育館で2〜3キロのランニング(私)
ふくらはぎストレッチトレーニング(ナベちゃん)
ナベちゃん余裕だな〜! 私が一番テンパっているような。。。
劔岳に挑む気合を十分に蓄え(?)新宿バスタへ集合、富山へ向かいました。
(1日目)
(室堂〜雷鳥沢キャンプ場)
午前中の天気は上々、立山連峰、みくりが池、地獄谷、別山乗越、奥大日岳の
景色を楽しみながら、すっかり観光客化した3人が歩を進めます。 みくりが池
近く(雷鳥の里?お菓子か?)では後ろ姿の雷鳥に癒される場面も、、
(雷鳥沢キャンプ場〜別山乗越)
標高差500mの急登となります、全工程中、体力的な一番の難所はココかと
感じられます。 登山道の脇に咲くまばゆい花々に励まされながら、ジグザグと
高度を上げて行きます。
悲しいかな(;_;)私、花を眺めても「かわいいね!」とか「黄色いね!」とかの
感想しか言えず、勉強不足を痛感します。 もっとも数年前までは花の姿など
目に入ってこなかった有様でしたので、私も少々「大人になった」のかもしれ
ません?
別山乗越(劔御前小舎)に到着、昼過ぎの天候は生憎の曇り、ドーンと山容を
表すハズ剣岳は雲の中(>_<)、撮影タイムとはならず小屋で昼食後、剣山荘への
直接下山ルートをたどりました。
(別山乗越〜剣山荘)
剣岳登頂を終え戻ってくる人達から、ひたすら情報収集を行いました。
みなさんの表情は一様に晴れ晴れとしており
「サイコーだった!」「富士山、南北アルプス他あらゆる山が望めた」
「明日、楽しみに登ってらっしゃい」と嬉しくなるような言葉ばかり(^^♪
ここで2組のパーティから貴重な言葉をもらえました。
「午前9時頃には山頂付近雲がかかってきてしまう。」
「剣山荘5時30分出発ではもう遅い、可能なら3時30分に出発できたら
大したものだ!」
この言葉で、翌朝起床時刻を「4時にする」との決定に至りました。
(剣山荘)
非常に快適な小屋です。シャワーもあり、食事もおいしく、プレスサーモの
掛け布団も快適、おまけに8人部屋に3人と「贅沢な」一晩を過ごしまし
た。
(2日目)
(剣山荘〜劔岳〜剣山荘)
多くの方&多くのメディアが別山尾根行程を紹介していますので、人間模様
を中心にお届けします。
朝4時に目覚ましが鳴った3人は決戦に向けた武装(サブザック、ヘルメッ
ト、非常時簡易ハーネスを開始します。 既に剣山荘では、ほとんど
全員(と思われる)方たちが出発準備に余念がありません!(みんな気合
入ってるな〜 )
美しい朝焼けの中、4時50分にアタック開始となりました。天気もよさそう
です。
劔岳への行程は非常に快適です!(ナニ言ってんだ!!の声が聞こえます)
以下そのワケ
・もちろん急峻な岩場&目もくらむ程の高度感がありますが、手がかり&足
がかり分かりやすく、浮石にだけ注意を払っていれば、着実に山頂まで導
かれるルートです。
・クサリ、梯子、杭、案内マーク すべての安全対策が「最大限に登山者を
守ろう」の愛情(?)の元にしっかりと設置されています。(「ロープを
たらしておけばイイヤ」なんて箇所は一箇所もありません)
・一緒にアタックしている登山者達のマナーがすばらしい。戦友とでも言い
ましょうか? 安全登山と言う同じ目的達成への一体感が感じられ、す
れ違いの挨拶、ゆずりあいの場面、休憩場所での会話等、ことごとく相手
への気遣いが感じられます。 さすがにエキスパートの方たちが集ってい
る山域です。
・この一体感&相手への気遣いは同一パーティ内でも、より一層強いものに
なるのは言うまでもありません。
(剣岳山頂)
剣山荘出発から3時間15分、ついに念願だった登頂の瞬間が訪れまし
た。 3人のオジサンは自然と誰からともなく、(半分の)握手を交わし
ました(*^^)v
昨年の槍ヶ岳山頂に勝るとも劣らない大絶景が広がっています。北から
富山平野、後立山方面、黒部最深部、北アルプス南部(槍穂高)、八ヶ岳
富士山、南アルプスと「一生のうちに何回みれるだろう?」クラスの景色
を堪能した40分間でした。
至福の時間はあっと言う間に過ぎ、先が長〜い本日の行程もあり9時過ぎ
には下山開始と相成りました。
(それぞれの難所)
この3人、劔岳の行程で「難所」が微妙に異なっていたようです。
stanton⇒この方、槍ヶ岳西鎌尾根に「アホのよこ行き」と言う体をくの字
にしないと通過できない絶壁「新難所」を開拓?した経緯があるだけに
今回の劔岳でも切り込み隊長として安定した引率役を担っています。
ただ沖縄着任以降「自重」が超過ぎみのようで、長い急登では汗を拭く
場面も、、しかし下りルートの安定感は抜群です。
ナベちゃん⇒軽量の強みを生かして、軽快に足を進めるナベちゃん。今回
の劔では驚くべき曲芸(?)をやってくれました。場所は「カニのよこば
い」、なんとクサリに捕まり「よこばい」中、ふとももが痙攣を起こし、
思わず両手をクサリから離して足を押さえようとしたらしく!すぐに握り
直し事無きをえましたが、「怖かった〜〜」とのコト(*_*;、これには
聞いているこちらまで恐怖を感じる実話でした。
師範代(私)⇒みんなを誘っておきながら、一番安定感がないのがこのワタ
シ! 風邪を押して行った雲取山で貧血を起こし倒れたり、寝不足の為
八ヶ岳(阿弥陀岳)山頂で居眠りをしたり、時々ポカをやっています。
この劔岳では、体調、睡眠とも万全で登りは比較的ラクに行けましたが
膝に古傷(脱臼クセ)を持つ事から、前劔〜剣山荘への岩がごろごろし
たガレ場下山ルートは、落石を起こす危険と伴に、膝ひねりの怖さが
感じられ、私にとっては一番の「難所」となりました。
(剣山荘〜劔沢〜別山乗越〜内蔵助山荘)
無事剣山荘へ下山した3人、今度こそ(本当の)握手を交わしました。
自分が登山者として一人前になったような錯覚さえ感じます。下山後
劔沢から振り返った劔岳は神々しい程のカッコ良さを見せつけていま
す。 素直に「来てよっかった!」と思いが湧いてきます。
ふと「まだ今日の行程の半分が残っているヨ」と現実の世界に戻され
ます。 今の時刻12時30分、内蔵助山荘まで約4時間、標高差500m
を決行するべきか? 3人のオジサンは「3日目の立山連峰縦走は次回
に延ばし、このままココ剣山荘に宿泊、3日目は割引券のある!雷鳥荘
で入浴して帰ろう」と悪魔のささやきと葛藤しています。
目前に迫っている立山連峰の姿に「次回延期はないでしょ」行くのは
「今でしょ!」(まだ古くないかな?)の思いが、見事!オジサン達を
「当日中の2日目行程」決行に踏み切らせました。
直登ルートはとらず劔沢キャンプルートで、別山には登らず巻道を使用
等 ラクラクコースの限りをつくし、16時 間近、真砂沢カールの彼方
に内蔵助山荘の姿が見えた時はホット一息の心境でした。
(内蔵助山荘)
こじんまりとして綺麗で、アットホームな快適な小屋です。 評判の
食事もおいしく、4人スペースに3人泊と連日快適な夜を過ごす事が
できました。
(立山連峰 富士ノ折立〜大汝山〜雄山〜室堂)
既に長文の為、詳細は割愛しますが、立山信仰の色濃く残る立山連峰は
「2日目頑張った甲斐があった見事な山域でした。」後立山連峰を間近 に眺めながら3015mまで高度を上げていく誦走路は「気持ちいい」
の一言です。
前日登った劔岳がじっと後方から見守ってくれています。槍穂高の
北アルプス南部も更に近く眺める事ができます。 すれ違う登山者も
多く「劔行ってきたのイイな〜」「今日は雄山の御開帳祭だよ」等々
会話も楽しめるルートです。
富山県林間学校の生徒さん達ご一行様(数百人?)ををぬうように
避けながら、10時過ぎ室堂に到着しました。
(みくりが池温泉〜小ハプニング)
下山後みくりが池温泉に立ち寄り湯(チョー気持ちイイ)フルイ!
ここでstantonに小アクシデント! みくりが池の階段脇に雷鳥親子
の住んでいる(?)「雷鳥の里」があります。 人だかりができて
いると覗いてみると、雷鳥親子の超サービスショット(*_*) 更に
一羽の親鳥がstantonの足元間近を走ると言う「奇跡」を披露して
くれました。
それにビックリ!のstanton、階段脇の溝に「滑落遭難!」
無傷で事無きを得ましたが、あぶなく地元北日本新聞に載る可能性
がありました! stantonにとって今回最大の難所は、カニのたて& よこばいなどではなく、「目前を走る雷鳥」だったようです。
(まとめ)
劔岳&立山連峰から東京に戻ってきて、3人でこんな会話をしました。
「劔を登頂し達成感と同時に寂しさを感じる」「その気持ち同感!」
これは「祭りが去った後の寂しさ」でしょうか?それとも「今後の
目的を見失った空虚感」でしょうか?
私たちにとって「劔」はそれ程までにあこがれであり、大きな存在
であった証が、達成後寂しさと言う感情になって表れたのでしょうね。
剣岳は紛れもなく名峰だと実感できた3日間でした。 でもそこで
終わってしまうオジサン3人ではありません(たぶん、、)
「百の頂に百の喜びあり」の言葉を胸に、新たなターゲットを模索し
始める「前向きなオジサン」がそこにいました。
やりましたねえ。集大成、やってしまいました。今回、しきりにコワイコワイって言ってましたけど、あれはきっと「負のイメージトレーニング」のせい。その場所にいる自分を想像すると、いつもナゼか「おっこちる」んですよ。でも無事に帰れてよかった。まあ、そのせいでずっと緊張感を持っていられたってことで、かえって良かったかも。
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