糸魚川・名立
- GPS
- --:--
- 距離
- 27.6km
- 登り
- 138m
- 下り
- 139m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
16:00道の駅『うみてらす名立』16:20頃‐(malmalさんの車で)‐一宮P-(マイカーにて)‐(買い物・入浴)‐20:00頃malmalさんの第2ハウス・泊 |
写真
感想
糸魚川を出発点として日本海の海岸線を西(南)に向かって歩いて来たのに加え、東(北)に向かっても歩き始めることにして2月11日に同じ起点からスタートした。
2月11日(休)
前回もお世話になった市役所の駐車場に車を置いて7:03に出発。まっすぐにR8・寺町の信号に向かう。途中,駅北側の高架道路を通る時,頸城駒ヶ岳や焼山方面の山々を見る。空は白っぽくていい天気とは言えないが風がなく穏やか。
まっすぐ海岸に向かい、7:21分頃寺町の交差点からR8に入る。R8はここからしばらくは防波堤沿いとなり、堤防の切れ目から行く手の能生方面の海岸線や後方の姫川漁港方面の景色,波の飛沫や沖合の海と空等を撮ったりしながら進む。
道が堤防を離れてやや内陸を進むようになるとすぐに海川橋に到達する。8:29,
橋を渡り終えた時,ドドーンと腹の底に響くような音を聞き、初めて波の音に気づいて民家の小路を抜け、護岸堤の道に出るとそこは竹ヶ花地区と言う所で、河口の突堤に波がぶつかって高く飛沫を上げているのが見えた。
はじめは大きな波が来た時だけだったその音は、次第に間隔が短くなり、やがて連続した音となって、堤防や消波ブロックにぶつかる時の音なのか、波そのものが発している音なのか分からなくなってきた。
波は常にあちこちの堤防やテトラにぶつかっているのだから絶えずどこかで音を発していると考えてもいいのだか、そうだとしても強弱があったり、時には音のない瞬間があってもよさそうなものだ。
ところがはじめは確かにそうだったものが一定の連続した音に変わった。それは衝撃音とは違った鈍いけれど力のある音で、まるで海自体が唸っているように思えた。5月の海岸歩きの時にはまったく気づかなかったことだ。こうして1日中,休むことのない海の音を聞きながら歩くこととなる。
竹ヶ花からはまっすぐにつけられた堤防道路を歩く。堤防の沖に一文字に積み上げられたテトラにぶつかる波が絶えず白いしぶきを上げ、絶えることのない音が続く。内側の国道との間に帯状に伸びる狭い空間は堤防道路より幾分高くなっていて、そこに並ぶ家々には様々な工夫を凝らした風よけが施されている。その多くは板で家の周りを囲うもので、角材でがっしりと壁をつくったものもあれば、大きさのまちまちな板を縦や横に並べたものなど様々である。
囲いは畑にも及んでいて青いネットできっちりと囲われているものがよく見られるが、中には家の囲い以上に堅固に板塀で囲ったところもあって何があるのだろうと思わず中を覗き見たくなったりする。
一部には防風林も見られたが、狭い土地を有効に使うために、防風林を植えるより個々に家や畑を囲うことを選んだのであろうか・・。その畑にあるものはネギ,ブロッコリー,ハクサイ,ダイコン等で、ネギの他は,すでに収穫を終えて残されたものと思われた。土を見ると砂利交じりの決して肥沃とは言えないものだった。
港に恵まれないせいか、あるいは簡単に船を出すためか、ここでは船が陸に保管され、防潮堤の一画が分厚い角材で仕切られて、それを取りはずせばそこから船を出せるような仕組みも見られる。
8:43,堤防道路が細い水路で遮られ一旦国道に出てしばらく行くと早川橋に着く。早川の上流には早川温泉郷を経て焼山に至る登山道がある。焼山の西を通って富士見峠を越え、笹ヶ峰の杉野沢・乙見湖に至るその道こそ信越古道と呼ばれるもう1つの『善光寺街道』であり、今年こそ踏破したいと願っている道である。すでに杉野沢から富士見峠までの調査は終えており、それを延長して一気に早川に下るだけになっているが、今回,日本海側から焼山・火打ち山の風貌を見て逆に早川側から杉野沢に向かうべきではないかと考えるに至った。
問題は早川最上流部の焼山登山口へのアクセスと杉野沢に下ってからの足の確保であるが、それは逆の場合でも同じである。糸魚川の仲間との間で交差登山を試みる方法や、早川温泉郷まで下って同じ道を杉野沢に戻る方法などが考えられるが、登るだけなら新潟側からの方が断然いいと思った。
頸城駒ケ岳や火打・焼山の魅力的な山容を見ながら橋を渡り終えてすぐに堤防道路に向かうと小さな公園があり、そこが久比岐自転車・歩行車道路(以下自転車道と表す)の起点になっていた。
仲宿と言うその休憩所で10分ほど休む間に迫力のある波の写真を撮りたくて粘ってみたが、カメラを構えている時にはなかなかいい波は来ないもので、諦めて歩き始めた途端にとてつもなく高いしぶきが上がったりする・・。まあえてしてそんなものだ。
自転車道の少なくとも起点付近のつくりは上々で舗装が真新しく、また『こんな近くに・・?』と思うほどの所で立派な休憩所に行き着いたりする。
時々釣りに来ることのある浦本漁港と浦本駅を過ぎると、糸魚川からはるか遠くに見えていた第1の目標である高見崎の断崖が目に前に迫ってくる。断崖と言ってもそこは親不知とは違って国道が海のすぐ側を通っており、国道の歩道を歩くこともできるが、自転車道は浦本駅の先で道路を渡って国道の内側に移行するのでそれに従って9:57に国道を渡る。北陸道の鬼伏と言う名のトンネルを見上げながら高見崎の鼻先まで来て振り返ると黒姫山や親不知の断崖がよく見える。
『上越まで33km』の国道標識や自転車道の『糸魚川起点まで(から)4km』と言う標識に力をもらいながら歩くうちに自転車道の積雪が融けていない所に出る。歩けなくはないが極端にペースが落ちるのにたまらず、古川橋と言う橋から国道に逃げてしばらく波を見ながら進む。ここに来てようやく次の目標となる能生の道の駅に立つ風力発電の風車が見えてきた。
10:59,再び自転車道に戻り、道端に青々と葉を茂らせるツワブキや、民家の軒に吊るされた魚の干物,鬼舞(きぶ)と言う地区の大きな神社の狛犬の表情,石垣にしっかり根を張った蔓,テトラの先端に止まるイソヒヨドリ,家と家に挟まれて窮屈そうな神社など,電車や車での移動では決して目に止まることがないか、気づいても引き返せない諸々を1つ1つ丁寧に見ながら進む。それこそが歩く旅の目的であり、気になるものはすべて見ておきたいと思う。ただ立ち止まるだけその目的はかなうのだから・・。
鬼舞から30分弱で目の前に能生の風車が見えて来た。その前に小さな岬があって左側の海に赤い鳥居の弁天岩,そして風車の先に淡い陸の影・・。
11:36,能生橋を沖に見ながら自転車道の駐輪場を通過して能川を渡り、20分歩いて国道を横切り弁天岩に向かう。
12:05,弁天岩に着き大休止し持参の弁当を食べる。弁天岩に渡る曙橋の袂には弁天岩の成り立ちを書いた説明板があり、それによると弁天岩の岩石は安山岩質火山角礫岩と言い、約100万年前の海底火山の噴出による溶岩と火山灰が固まってできたものだと言う。その説明板の傍らには『七つの子』や『赤い靴』等の童謡で知られる野口雨情の歌碑が建てられていた。歌詞は『能生の弁天岩 どんと波おいて いつも弁天様 どんと波見てる』と言うもの。
12:50発,子ども達とよく釣りに来る能生漁港を通過して13:09マリーンドリーム能生着。お目当てのゲンゲの干物とサケトバを買う。運よくキツネ(山陰ではババァ)と呼ばれる田中ゲンギョが1尾だけあり、写真を撮ることが出来た。
今日の目的地はここから約10km先の道の駅『うみてらす名立』で、16:00にそこで山仲間のmalmalさんと落ち合うことになっている。ここまで波の写真に拘ったりしてゆっくり歩いて来たので予定表より2時間遅れているが、16時までには何とか着けそうだ。
13:24,県立海洋高校の演習船やトットコ岩と言う大岩を見たりしながらそろそろと出発。トットコ岩の向こうに終点名立の道の駅の風車が見えており、距離は約10km余りで3時間半と言うところか・・。
再び自転車道に戻ると間もなくトンネル(島崎)が見えて来た。レンガ造りの立派なトンネルでそれが自・歩専用だと思うと何となくウキウキする。が、400mほどのトンネルを抜けるとまたしても雪。一旦国道に降りてサザンカの花やビワの花を見ながら5分ほど歩いてまた自転車道に戻るとそこからは快適な道となり、沿道の民家のよく手入れされた庭木の雪吊りや赤いべべを羽織った六地蔵等などをキョロキョロ・のんびりと楽しみながら歩いていると、突然パラパラッと小鳥の群れがやって来て前方10mほどのアジサイの枯れ枝に止まった。灰色の体に黒い頭,ピンク,と言うより赤い胸元が遠目にもわかるウソだ。150mmのズームでは点としか写らないが証拠だけは撮れた。続いてもう1つ別の集団が来て松の木の枝に止まったが、こちらはウソより1周り太めでムクドリほどの大きさだったが何の鳥か分からなかった。
道に傍らに『JR頸城トンネル・大藤崎斜坑入り口・1400m』と書かれた標識が立っているのに気づく。ここまでにも地名と距離が異なる同じ標識を見た。斜坑が何のためにあり、どういう目的で一般の人に知らせるためのものか分からないが、想像するに頸城トンネルと言うかなり長いトンネルがあって、そのトンネルにアクセスするための坑道が掘られており、それを関係者だけなく一般人も見ることが出来るようになっていると言うことだろうか? 行ってみたい気がしたが、JR関係者だけに示すものであることも否定できないのでやめた。でも気になるしこの疑問は後々まで残るような気がする。それやこれやと色んなものが見えて歩く旅は面白い。
14:34,目の前の海に突き出た高さ100mほどの岬状の台地に小さめの風車が立っているのが見え、そこから20分あまり歩いた港を見下ろす辺りに古めかしいけれど現役の中学校の自転車置き場があり、その先に『久比岐自転車・ここは糸魚川市筒石,糸魚川起点まで16km,上越起点まで16km・うみてらす名立まで4km』と書かれた自転車道の中間点を示す標識を見る。
丁度その時,名立で落ち合うことになっているmalmalさんから電話が入り、現地点を告げると、単独で米山登頂を試みたものの、頂上手前で雪庇の発達した痩せ尾根に阻まれて帰還したとのことで、『4時くらいになりますネ。先に着いたら風呂に入ってます』と言われる。
筒石からさらに2つのトンネルを越え、15:52,名立川を渡って国道に向かう。雲の間から太陽が顔をだし辺りが明るくなる中,うみてらすの広場に着くと時計は15:54を指していた。16:00,道の駅『うみてらす名立』の玄関にく。
道の駅で風呂から出てきたmalmalさんと合流後、車で糸魚川に戻って買い出しを済ませ、それぞれの車で能生の柵口(ませぐち)と言う地区にある第2ハウスに移動し一宿のお世話になる。第2ハウスと言うのは使われなくなった農家を借り受けてその一室を利用しているものだそうで、それと言うのも近くの田んぼでマコモタケを栽培しているのでそのための拠点と言うことらしい。
駐車場になっている所は丈余の雪壁で、そこに階段をつけて登ると足元の四角形に掘った穴から光が漏れているので『何ですか?』と尋ねると『明り採り』だと教えられる。2階の窓を開けて入り、階段を下りた居間について初めてその意味が分かった。
雪の話し,米山の話し,糸魚川からの行程のことなど話すことは山ほどあったが、3時起き,2時間の運転,9時間の歩きで草臥れて寝る前に、malmalさんの方が早々寝てしまった。明日は5時に勝手に出ていくことのみ告げて休む。
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鬼伏という名前の集落ですが、
「きふし」ではなく、「おにぶし」ですわ
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