夏山相談所のお仕事

2020年7月8日

こんにちは。
新型コロナウイルス(covid-19)の影響でリモートワークが続くスタッフ2号です。
この病の影響は大変なもので、自分自身もガイドの仕事は自粛&キャンセルが続き、特に1ヵ月に渡って日程を押さえられていたTV撮影の仕事が飛んだのは痛手でありますが、まあ仕方がないこと。
時の流れに身を任せてみたいと思います。

さて。
そんな中、毎年恒例となっている「夏山登山相談所」の担当日程が配布されました。
遭対協の隊員として、この担当を拝命されて21年目。
今年も相変わらず、白馬岳の登山口となる「猿倉」で延べ5日間の業務に就くこととなりました。

これが「夏山登山相談所」
猿倉や八方・五龍・扇沢・上高地など北アルプス各地の登山口に設置されています。
見たことありますか?
ここでの主な業務は下記の通りとなります。

●登山届を提出してもらうこと。
●登山道の状況を必要に応じてお知らせすること。
●行程や装備に不備があれば是正してもらうこと。
●特記事項があれば周知徹底させること。

こんな感じでしょうか。
ちなみに。
ヤマレコには猿倉を起点とした多くの記録が登録されていますが、自分の姿、結構映り込んでいます(笑
話はさておき、それではこのお仕事について簡単に説明してみたいと思います。

担当は午前4時半過ぎには猿倉山荘で待機。
まずは朝一番のバスで到着した登山者に大声で叫びます(笑
「長野県では登山届に提出が条例で義務付けられていますので、必ずここで提出して下さい!」
こうして、猿倉を通過する登山者全員に登山届を出していただくわけです。
しかし・・・。
極稀ではありますが、それを無視して突破する方がいるのです。
でも「見てますよ」。
呼び止めて「提出して下さい」と声掛けをするのですが、嫌な顔をされることもあれば喧嘩腰に突っかかってくる方もいます。
ヤマレコユーザーのみなさんは問題ないと思いますが、オンラインで登山届を出していない場合は条例で決められていることなのでご協力をお願いします。

次に登山届を記入していただく際に登山道の状況を説明します。
白馬岳と言えば「大雪渓」での落石や道迷いについてでしょうか。
いや・・・天候がいい時には信じられないかもしれませんが、濃霧時などは2号雪渓や3号雪渓に迷い込む方がいるのです。

過去には救助へ向かったこともあれば、滑落して亡くなった方もいるのでご注意を。
まあ、そういう方もいるということです。
また、白馬を起点に後立山を縦走する方、栂海新道から日本海を目指す方など、多種多様な行動予定を拝見することになるので、各方面の注意事項なども説明させていただきます。

なお、悪天候時など危険性が高い場合には「登山の中止」を呼び掛ける場合があります。しかし、我々にそれを強制する権限はありませんので、最終的には本人の判断となります。
しかし、これも然り。
忠告を無視して暴風雨の中を進み、救助されている方・・・意外と多いのです。

楽しい安全登山のため現場の意見に耳を傾け、判断材料の一つにしていただければと思います。

そして最後の仕事。
集められた登山届から「延べ入山人数」「男女別人数」「単独・グループ登山数」を計算して日報を書き上げます。

こうして入山者が途切れる12時前に業務終了。
全ての登山届を白馬村の交番へと持って行くのです。

流行り病の終息が未だに見えない今年。
登山道の状況は例年に比べて良いとは言えず、また山小屋も完全予約制などの体制をとっています。
「山小屋は緊急避難のためだから」と予約を入れずに山へ向かう方が居そうで怖いです。
こんな時勢なので万全の体制を整えて業務を行いますが、山に登られる方も「いつもとは違うんだ」という意識を大きくもって頂き、無理をせずに夏山登山を楽しんでいただければと思います。
ちなみに、今年の白馬方面の登山道状況は下記の通りです。

【白馬大雪渓】
残雪少なく落石は例年より多し。小雪渓はステップあるも十分ではなくアイゼン必携。
雪渓内では立ち休憩にとどめ山側に背を向けて立ち止まらないこと。
【栂池方面】
特に問題ないが天狗原の下りに急な雪渓残る。要アイゼン。
【不帰方面】
鎖などの整備は完了。今年は大きな崩れもなく比較的安定している。
【八方尾根】
残雪多し。

全ての山小屋・テント場は完全予約制。
なお、鑓温泉登山道(猿倉~大出原~鑓温泉分岐)は通行止めです。杓子沢に橋を架けていないので渡れません!

では、くれぐれも皆さんが無事下山できますように!
今年も猿倉でお待ちしております。

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