明るい車道をしばらく歩くと頑丈な鉄柵に行く手を阻まれました。その先は一転して暗い森の中を通るようで、ちょっと不気味な雰囲気です。一方、車道がもう1本左へ分岐していて、こちらは見晴らしの良い明るい道です。こうなるとやはりふわふわっと明るい道を選んでしまいます。どうせ左から迂回してそのうち合流するだろうという勝手な思い込みも手伝います。ミスの3番目
しかし、すぐにこの道は民家の庭に突き当たりました。このまま進めば住居侵入になります。振り返るとさっきの分岐点がまだ見えます。引き返えしてよく調べようか、それともこの家の人に尋ねてみようか思案していると庭の向こう側で雪掻きをしている男性の姿が目に入りました。この家のご主人でしょう。そこで勝手ながら庭先を横切ってご主人近づき、こう尋ねました。
「この道は通れますか。」
ご主人の返事
「通れますよ。陣馬山へ行けますよ。」
「最初の所は右折しないで、その先の下る直前を右折した方が楽ですよ。雪が多いから気をつけて。」
親切な案内にほっとして、その先の雪道を進みました。なんと間抜けな質問でしょう。ミスの4番目
しかし、すぐに、あれ、奈良子尾根は、と本来の目的を思い出しました。陣馬山へは行けるけど奈良子尾根はどうなんだろう、ちょっと心配です。でも引き返して改めて尋ねることには躊躇しました。。この辺りでうろちょろしている自分が恥ずかしかったのです。中途半端な質問をしてしまったのも心の底にそんなプライドが潜んでいたからでしょう。それにこの雪道の素晴らしさ、やや細い尾根道にはそれこそ真っ白な雪が誰にも踏まれずに続いているではありませんか。周りの風景にマッチしてうっとりです。はるかむかし出会った頃(ここ重要)の家内のようです。サクッ、サクッ、静寂な空気の中に心地よく靴音が聞こえます。心が弾みます。ガサッ、傍らの籔の中で小動物の物音もします。もう奈良子尾根も頭から消えつつあります。
やがて左右の分岐に差し掛かりました。どちらへ進んでも高尾陣馬縦走路の、おそらく奈良子峠と陣馬山の中間に出るだろうと見当をつけました。右は、やや下り気味の陰気な細道、左は平坦で明瞭な登山道、当然左に進みます。奈良子峠からは離れますが、この時点でもう諦めました。さっさと陣馬山に着いて、それからのことはその時にという心境です。身体もそろそろ疲れてきました。
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