ヤマレコは本日で10周年です!

2015年10月30日

ヤマレコ代表の的場(matoyan)です。2005年10月30日から数えて10年。個人の趣味で始めたヤマレコのサービスも起業して本業となり、月に100万人以上の方にアクセスいただける規模のサイトにまで成長できました。多くの情報を登録いただいている皆様に支えられて、ここまで続けることができたと感謝しています。

5年前にも個人のブログで5周年の記事を作っているのですが、今回は改めて10周年として最近の5年間を中心に振り返ってみたいと思います。

 

2010年〜2011年

2011年3月には東日本大震災が発生し、自粛ムードが漂う中少しでも皆さんの役に立てられればと、義援金の募集とGive My Climb運動を開始しました。

また、このころに旧ロゴから、デザイナーさんにデザインいただいた現在のヤマレコのロゴに変更しています。

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左:旧のロゴ/右:現在のロゴ

 

2011年5月には「人気の山ランキング」や「地図検索」などの現在もよく使われている機能を追加しました。特に地図検索については、行きたい山の情報を正確にかつ速く手に入れやすくなった機能の一つだと思います。

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図:地図検索機能

2011年7月には「最近の登山で会ったかも?」機能を公開しました。山行記録を登録すると、その日、その場所に行った他の人の記録を自動的にピックアップしてくれる機能です。
山頂や山小屋など、山の中で会った人に山行記録を通じてネットで再会できるという意味で、人と人をつなげる新しい機能として活用いただいてます。

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図:「過去の登山で会ったかも?」
(現在は、最近の登山だけではなくて過去も確認できます。)

 

2011年9月にはアメリカに1年間移住することになり、それまでは自宅でサーバーを24時間稼働させていたのですが、自宅を引き払うためデータセンターを借りてサーバーを移設しました。この時点ではまだ3台程度のサーバーで運用していました。

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図:自宅にサーバーを設置していた時の状況

2012年

アメリカからもリモートで開発/運用を続けていましたが、ユーザーの増加のサーバーの負荷状況を見たところどう考えても夏場のアクセスに耐えきれないという結論に至りました。対策として他の予定と合わせて5月に帰国して急いでサーバーを複数台増強したりなど、性能面でかなり苦労をしていました。

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図:追加で増強したサーバー(組み立て用PCパーツ類)

 

また、せっかくアメリカに行ったのでMountRecというヤマレコの英語版を作ってみたのですが、その後のメンテナンスが追いついていない状況です。

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図:英語版サイト「MountRec」のロゴ

 

その他、検索機能をタイトルの文字列検索から実際に通った山の名前で検索するように精度を向上させたり、イベントの機能話題の山行記録の機能などのリリースを行いました。

ヤマレコと連携できるAndroid端末(UN-MT300)がPanasonicから発売され、その対応の一環で、スマホなどの他のデバイスからヤマレコと連携できるようにヤマレコのAPIも作成/公開しています。

 

2013年

5月に山に登りながら記録を作る、Androidアプリ「ヤマメモ」をリリースしました。留学の際にAndroidの開発に関する知識だけは得られたので、その知識を使って作成しました。iOS版も開発したいのですが、残念ながらまだ着手できていません。

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7月には株式会社ヤマレコを創業しました。

当時、「これだけ多くの山に登っている方が集まっているのに、その知識やノウハウはまだ表に出てきていない」という問題意識があり、山の知識を共有する「ヤマノート」という機能を公開しました。いくつか投稿キャンペーンを開催して、記事を皆さんに投稿いただいた結果、今でも徐々に記事が増えています。

iOS版のヤマレコアプリについては、2013年の7月頃に公開されています。

 

2014年

それまではデザインの知識も何もない状態で作ったハリボテのようなサイトだったのですが、2013年の起業後にデザイナーさんと契約し、サイトのリニューアルを進めてきました。2014年の1月には新デザインでサイトを公開しました。

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図:旧サイトデザイン(上)と、新デザイン(下)

新デザインを公開したあと、文字が少し小さくコントラストが低めであったため、複数の方から見にくいというご意見をいただきました。そのあと「くっきりモード」という文字サイズを大きく、コントラストを高くして、目が少し見えにくい方でもサイトの文字を読みやすくする機能を追加して対応しています。

 

2014年の2月24日は悪夢の日でした。当日朝に「ウィルスソフトが反応する」という問い合わせがいくつかあり、私が確認した段階ではキャッシュが効いていたのか問題が確認できなかったのですが、お昼頃に再度確認すると指摘された通りの症状が確認されたため、急いでサイトを閉鎖し原因調査を行いました。
その後は当時の報告記事を参考にしていただければと思いますが、セキュリティの対策としてシステムの構成の見直し、ファイアーウォール(WAF)の導入、脆弱性のあるプログラムの改修、侵入の可能性がある全サーバーのOS入れ替えなど、対応を1ヶ月以上かけて行いました。

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図:当時マルウェアが仕込まれたページの分析結果

セキュリティの欠陥がある状態でシステムを運用してしまうことで、多くの利用者の皆様を危険にさらしてしまうことを再認識させられました。現在はセキュリティの対策、監視も継続して行っており、その後の被害は確認されていません。

 

2014年は、360度パノラマ写真への対応や、下山連絡システム山の用語集などの新しい機能をリリースし、さらに山行記録の投稿機能ではGPSログを投稿するだけでコースタイムを自動計算したり、みんなの歩いたルートを点で表現する「みんなの足跡」の機能などを相次いでリリースしています。

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図:下山連絡システムの仕組み

 

また、年末には安全に登山を楽しむ人を増やしたいという目的で、みんなで登山計画書を作成し、万が一に備えた山岳保険への加入、安全登山に関する知識を向上させるなどの取り組みを行おうという「チーム安全登山」プロジェクトを公開しています。

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図:チーム安全登山のWebサイト

2015年

2015年はスマホ用サイトのデザインリニューアルや、スマホからの投稿機能などの強化を行ってきました。

また8月には「山と高原地図」で登山のプランを作成できる「ヤマプラ」をリリースしています。山と高原地図との連携については2014年にお試しで地図画像を表示できるサービスを期間限定でリリースしており、その際にアンケートで要望としてもいただいていた機能です。昭文社側から山と高原地図のデータを提供いただけるという話があり、2つ返事で全力で開発することを決めました。

すでに多くの方に登山計画の作成に利用され、とても使いやすいと好評をいただいて、苦労して作った甲斐があった機能の1つです。

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図:ヤマプラのサイトイメージ

今後について

登山に関するアプリやサービスは、使って楽しい、便利というだけではなく、遭難などの生命の危機にさらされる状況を回避するという特殊な役割も持っています。

遭難の分類で最も発生件数が多いのは「道迷い」です。この対策としてスマホや専用機器のGPSを使った地図のサービスやアプリは重要な役割を担っています。また、遭難による死亡の数が最も多い原因は滑落です。本人の体力や技術よりも難易度/体力度が高いルートを歩いてしまわないように、自身の現在の技術や体力で行けるルートなのかを検証できることも重要です。ルートの難易度は天候により大きく変化するため、ヤマテンなどの気象サービスも貴重な情報源です。

ヤマレコとして機能を作るだけではなく、外部のサービスとの連携も含めて、みなさんが登山を続けるための助けとなれるように、引き続き頑張っていきたいと思います。

 

また、私個人に何かあっても引き続きサービスを継続できるように、ビジネスとして収益の柱となるサービスを育て、運営メンバーを増やしていく必要があります。

今のところデザインだけはデザイナーさんにお願いできているのですが、お問い合わせなどのサポート、サイトの書き込みなどの監視、不具合の改修、サーバーのインフラ構築、性能監視/向上、新規機能の企画開発、営業活動、広報活動、などなど、ヤマレコのシステムに関する残りのすべてを一人でやるのは限界に達しています。

ただ、今後もいろいろとやりたいことが残っていて、簡単に挙げると下記のようなことを進めていきたいと考えています。

  1. 海外対応(日本語コンテンツの翻訳/多言語対応)
  2. データ分析(コースタイムや体力の数値化)
  3. 登山道の作成/共有(OpenStreetMapの山版)
  4. スマホ対応(山で記録を残せる、現在地がわかる)
  5. 山道具の情報共有
  6. 山道具の販売プラットフォーム(フリマやECサイト作成機能)

引き続き開発メンバーを募集中ですので、ヤマレコの運営に関わってみたい方、新しいサービスや機能を作ってみたい方、ぜひぜひご応募お待ちしてます

では、今後ともどうぞよろしくお願いします!

2 Comments

  1. ヤマプラのサービス開始は、今年最大のヒットではないでしょうか。
    おかげで「山と高原地図」のエリアを歩きたくなりました。
    また、山行計画をヤマプラで練るのが楽しくて、ヤマレコにアクセスする時間が多くなっています。

    今後も無料でサービスが継続することを望みます。よろしくお願いします。

  2. 八島 洋文 より:

    十周年おめでとうございます。此れからも、素敵な山♪の情報を拝見出来る事を楽しみにしています。

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