中ノ宿から笊ケ岳に行ってみる
- GPS
- 112:00
- 距離
- 9.6km
- 登り
- 1,951m
- 下り
- 334m
コースタイム
7/28 第3水場-所の沢越-布引山-笊ケ岳-布引山-所の沢越-第3水場
7/29 第3水場-中ノ宿吊橋-沼平
天候 | 1日目2日目晴れ 3日目曇りのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
沼平から中ノ宿吊橋までは自転車で往復 |
コース状況/ 危険箇所等 |
中ノ宿吊橋に掲示されている通り、2000hから第3水場にかけて、崩落箇所多数。 ピッケルが欲しかった。 踏跡も全般的に薄く、ルートを見失う事も時々あった。 温泉は赤石温泉が定番で何度かお世話になっているしとても快適なのだが、いつも途中気になっていた口坂本温泉に行ってみた。地元のご年配の方ばかりで風情があってなかなかよかった。 |
写真
感想
確か一昨年の春、畑薙ダムの手前が崩落で通行止めの時、大駐車場から春の聖を目指して歩いた時、気になる吊橋があった。「笊ヶ岳登山口」とかいてある。ここを行けば笊ヶ岳に行けるのかぁ。いつかは行ってみたい、と思ったのだ。明石岳からも聖岳からも大井川の先に2つのピークが見えていた。「一度は行くべし」と言われている笊ヶ岳、静かな山歩きを期待して行ってみた。
既に梅雨も明け、南アルプスは盛況である。大駐車場は車で埋まり、東海フォレストのバス待は行列ができている。
車を沼平まで走らせると、駐車車両は少ない。歩いてゆく悠長な人は少ないのだろう。
自転車を組み立てて畑薙湖湖畔を走らせて、中ノ宿吊橋まで来た。立派な吊橋である。
登山道崩落の掲示がある。
2000m前後のトラバース路らしい。まあ駄目なら引き返すか尾根道に切り替えればいいか、などと深く考えずに行ってみることにする。
吊橋は東北の豪雪地帯の、積雪時の維持を考慮したスリリングな構造と違って敷板も広く危険な事は無いのだが、高度があって真下を見ると結構怖い。
橋を渡り終えると一旦高度を上げる。暫くして突然崩壊地。慎重に渡る。先が思いやられる。
高度を下げて中ノ宿沢の渡渉点に来た。うっかり水の用意を忘れてしまったのでここで給水する。もう普通の川なので怪しいが、上流に人気が無いのでまあ大丈夫だろう。
尾根に乗るとルートらしくなる。快適な道だ。時々古いが当時はしっかりしていたであろう看板がある。かつては訪れる人が多かったのだろうか。
昭文社地図で広場と書かれているポイントでは、なぜかレールが残っていた。
森林鉄道が敷設されていた地形とも考えにくく、木材運搬ケーブルの中継拠点だったのだろうか。小屋が建っていた形跡があるが水はどうしていたのだろう。
北方向へ尾根を幾つかまたぐ。2000mの尾根を越えるとほぼ水平なトラバース路となる。踏跡は薄いところも出てきて周りをきょろきょろしながら進む。
流れの無い沢に来ると道は完全に崩壊していた。上下を見渡して最もリスクが小さそうなルートを探る。
元々斜面自体が急なので上下に移動するのも草を掴んでの状態で疲れる。
ガレ場は両手両足、這い蹲るように渡った。ピッケルがあれば安定しただろう。
そんなのが7,8箇所ぐらいあった印象である。
ほとほと疲れるので帰路は尾根ルートにしようかとも思ったが、結局来た道を戻っていた。
流れがある沢に辿り着いて、先が枯れていると悲惨なので取り合えず4L汲んだ。
しかし、心配をよそにしっかりと地図どおり3箇所水があった。
しかも最終水場は湧いてから間もない細い流れで付近はかつて整地されていたであろうすばらしいキャンプ地である。焚き木の跡があるので知っている人は知っている場所なのだろう。幕営は所ノ沢越か、元気があれば布引山近辺と考えていたのだが周囲は森で木々が美しく気に入ってしまった。
時刻は14前でまだ早いのだがここに決定。
静かな森で水がうまい。鳥の声を聞きながらのんびり昼寝をする。とっても幸せ。
2日目は目覚ましをかけなかった。
笊ガ岳までは3時間程度、時間は十分あるので目が覚めてから準備すれば良いのだ。
しかし、5時に鳥のうるさいくらいの声で目が覚めた。
のんびりコーヒーを入れて山の朝の空気を吸った。
テントは定着として小さいサブザックで歩き始める。
10分ぐらいで所ノ沢越に出た。
方向を北に変え、樹林帯の中を進む。
広場を過ぎた辺りで道を見失う。
戻ったり周囲をうろうろするが分からない。
地形図を見ると尾根の西寄の崖付近にルートがある。
仕方が無いので右よりにルートを取ると暫くして復帰できた。
布引山が近くなった時、右からしっかりしたルートが合流した。
今では主流の雨畑湖からのルートなのだろう。
布引山のピークは展望は無かった。
東海フォレストの標柱がある。
この辺一帯も伐採されたのだろう。
ピークの少し先に幕営地があった。
水の用意があれば快適そうである。
笊ケ岳までは快適な尾根道である。といっても展望は無い。
やがてハイ松になり、樹林帯を飛び出した。
一気に展望が開ける。
到着した。
聞いていた通り360度の展望台だ。
聖、明石、荒川、塩見まで見える。蝙蝠岳もその特徴的な山容がはっきりわかる。
あそこも歩いた、あそこはガスで展望がなかった。あそこで樹林帯にはまった、あそこで辿り着けなくて敗退した、などと思いを巡らす。
1時間ぐらいぼーっとしていただろうか。突然頭の後方から「こんにちは」と声がする。
とてもびっくりしてしまった。いかんせん2日間人間様と会っていないのだ。声は全く予想していなかったのだ。
聞けば雨畑湖から6Hで来たという。
確か標高500か600ぐらい。なので標高差2000ぐらいか。普通、途中テント泊だったと思う。
すごい体力である。
なんだかんだで山頂には2hぐらいのんびりする。
今日下りる必要もないのでテン場まで戻れはよいのである。
昼ちかくなって雲が上がってきたのでそろそろ下りることにする。
布引山までの間に2人と行き違う。
1人は既に疲れ果てたような印象。1人は空身で何も背負っていない。水無しで大丈夫なのだろうかと心配になってしまう。
このペースだと山頂は昼を過ぎるだろう。
日帰りには酷なコースではないだろうか。
布引山の分岐を過ぎて元の踏跡が薄い道を下る。
ところどころ古いリボンがあるのであってるあってると安心しながら進む。
不思議と登りで迷ったところは何事も無かったかのように通過した。
テン場に戻るとまだ13時過ぎなのだがもう一泊する事にする。
3日めの朝も目覚ましをかけなかった。
曇っている。
荷をまとめて3日間過ごしたテン場を後にした。
きた時と同じように這い蹲るようにしながら幾つかのガレ場を渡った。
2000m尾根を越えた辺りから雨が降り出した。
かっぱは着たものの汗で結局びしょ濡れだった。
尾根を下って、南の尾根に切り替える辺りで道を見失った。
10分ぐらい遡って再び辿るも良く分からない。
仕方が無いので尾根伝い勘で少し下ってみるとはっきりした踏跡が出てきた。
中ノ宿沢を渡渉する時、右足であの石、左足であの石と計画を立てて踏み出した。
水が増えていて色も怪しい石があったのだが見事何のグリップも無く沢に着地してしまった。ガクッ
登山口に戻ると自転車が静かに待っていてくれた。
調子よく走るのだが林道は所々洪水状態。泥除けが無いので全身泥と砂だらけになってしまった。
途中茶臼山登山口の屋根付バス停には溢れんばかりのバス待ちの人たち。本当は人が多いのだ。
コメント
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話に聞いていた笊ケ岳ですね
レコじっくり読ませていただきました。
むむっ、ここは玄人でないといけなさそうなルート。
かなり冒険的な箇所もあったりして
テント泊、森の中で流れる静かな時間。
kiha58 さんの山の世界ですね!!
こっちのヘボレポートも読んでくださって、ありがとうございます。
まさかこんな事になるなんて思ってもいなかったので時刻も記録してないし、ガレ場の写真すら無いし、ルートは変になっちゃうし、、、
1山に3日もかけてあほみたいなんですが何か味があるんですよね南アルプスって。
slowlifeさんの辿ったルートもよ〜く見えましたョ!
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