埼玉県立歴博から市立博物館の「南鴻沼遺跡の成果を語る」
コースタイム
天候 | 雨のち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2015年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
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写真
感想
今日の「南鴻沼遺跡を語る」に出席する前に大宮公園内にある県立博物館での「国宝慈光寺展」を見学。残念ながら国宝が多く撮影はできなかったが、平成20年から行われてきた補修作業が終了し、今回公開されることになった。鎌倉時代の装飾経(法華経一品経)が素晴らしく、多数の国宝、重文の数々を見ることができて満足。慈光寺は以前、MTBで奥武蔵の山を走った時に帰路立ち寄る予定が果たせず、気になっていたお寺で、今回多数の国宝などを見て、その存在の大きさを実感、いつかまた機会を見て訪問するつもり。展示を見てから常設展の一部や「塙保己一と和学講談所」の展示も見てから大宮公園を散策、氷川神社では七五三の行事で大勢の子供連れの家族でにぎわい、菊展などを見て大宮図書館に向かった。10時半から大宮図書館視聴覚教室で「南鴻沼遺跡を語る」の受付が始まる。受付を済ませ、席を確保してから隣の市立博物館で南鴻沼遺跡の展示を見学。保存修復中の絵の付いた石鏃は写真のみだったが他の多くは実物が展示されていた。掻き傷のあるウルシの木では傷の顕微鏡写真でウルシ液が出ている痕跡が見えていたことが講演の中で示されていた。今回の展示と講演の眼目は「自然科学的な分析から見える古環境」であり、遺跡、遺物の研究成果だ。講演では、まず「鴻沼低地の珪藻から見た古環境」(高原 勇夫 氏)で珪藻分析から南鴻沼遺跡の各時代の古環境の変遷を考察、珪藻には塩水、汽水、淡水のものがあり、それらを見分けることで当時の海岸線などを推定できるようだ。午後にはパレオ・サーベイの佐々木由香さんが南鴻沼遺跡の植物利用の詳細を語る。佐々木氏は植物遺物の科学的研究のトップランナーで引っ張りだこの存在。花粉分析やプラントオパールの分析、最近は編組製品の研究まで、幅広く研究、また森林専門家の樹種同定などを加えて、南鴻沼の植物環境と利用を明らかにしつつある。愛護に「杉並の縄文人」岡村道雄氏が、これまでの縄文遺跡と低湿地遺跡の総括的なコメントを提出し、ディスカッションに入る。岡村氏は旧石器遺跡偽造で文化庁の責任ある立場であり、いろいろと批判を受けたが現在は文化庁を退職し、専門の縄文時代に関する著作を発表しているようだ。岡村氏は1990年代の文化財行政を牽引したが、偽造問題で後退した。著作でも縄文人のような生活を目指すというが妻から偽善だと言われると正直に語る。形態も使用しないようにしたと言っていながら、本人の形態が講演中になるという二面性を持った人らしい。母親の健康問題から親族から携帯を借りていると釈明ーー才能のある人だが評価は分かれそう。ともあれ、南鴻沼遺跡研究は縄文時代の人々の暮らしの再現に大きな一歩をもたらしたことは確かだ。今後とも目を離せない存在と言えそう。
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