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クリント イーストウッドの傑作「グラン トリノ(2009年)」を見ると分かることがある。
映画の舞台は、あの接戦州、ミシガン。かつてフォードの工場があり今ではすっかり錆びれた自動車産業の町、デトロイトだ。
クリント演じる主人公ウォルターは、退職したフォードの技術者だ。ウォルターはポーランド系の移民だが、勤勉に働きアメリカの繁栄を支えてきた誇りがある。「グラン トリノ」とはフォードの名車、アメリカの自動車産業全盛期の象徴だ。
ウォルターは'political correctness'なんか糞食らえとばかりにパブや床屋で人種差別ジョークを言い放つ。ユダヤ人や黒人を犬以下だと笑う。自宅の隣りに越してきたアジア系移民を「米食い虫」と罵る。
折り合いの悪い息子はトヨタのディーラーになった。なんたることか。「米食い虫ども」の作った車を売るなんて！
アメリカの中西部、南部にかけてこのような白人がたくさん住んでいる。クリントン氏や芸能人たち、東部（ニューヨークなど）のインテリマスコミ人たちのようなエリートとは全く関係なく、ゲイを嫌い、アジア人を嫌悪し、女は引っ込んでいろ！と言ってバーで飲んだくれて喧嘩をしているようなオヤジども。風貌はデブでメガネをかけて野球帽をかぶったマイケル ムーアのような。。。（偏見そのものですが）
（傑作「グラン トリノ」はそれだけでは終わりません。アメリカの魂、主人公所有の車、グラン トリノを最後に譲り受けるのは誰なのか、しかと映画を見て確かめてください。）
クリントの映画、「ミリオンダラー ベイビー」にもトレーラーハウスに住む貧乏白人の姿があった。ホワイト トラッシュ(white trash)と呼ばれて蔑まれている層だ。
そのような人々の本音をバンバン口に出して大喝采を浴びたのがトランプ氏だ。
最後のテレビ討論で、クリントン氏に向かってトランプ氏は'nasty woman'と言い放った。俺はその瞬間、これは相当な罵詈雑言だと感じたのだが、トランプ支持者たちからは歓声が上がった。日頃から多くの人がヒラリー クリントン氏に感じていた「嫌味な感じ」を一言で言ってのけたのだ。案の定、この発言は取りざたされたものの大きなダメージにならなかった。むしろ支持者たちには大いに受けたのだと思う。
オバマ氏が大統領になった時、俺は感動を覚えたが、多くの白人アメリカ人は口に出せない感慨を持っていたのだろう。そして女性の大統領？ついに白人の男たちが危機感を覚えたのだ。'political correctness'で、思っていても絶対に言ってはいけないことの数々。それをぶちまけたのがトランプ氏だ。
そのような人々がトランプ氏に投票したのだ。現在の アメリカ合衆国にはそのような人々が国民の半数近くいるのだ。
だからどうした、と言われたら別に。。。ですが。
クリント イーストウッドの映画のご紹介でした。
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