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猪熊の講座では、雲がモクモクと上方へ成長していくことを「雲がやる気を出す」と言い、逆に雲が上に成長していかない場合を「雲がやる気を出さない」と言います。雲がやる気を出す条件は、
1.上空に強い寒気が入ってくる(地表付近と上空高い所との気温差が大きい)
2.地上付近に温かく湿った空気が入る
以上の2点でした。
図1を見ると、日本の東海上には高気圧があり、高気圧から西側へと等圧線(天気図上に書かれている線)が張り出しています。地形の尾根と同じで、高気圧(地形では山頂)から気圧が低い方へ張り出す線を結んだところを“気圧の尾根”と言います。ここでは、高気圧の中心付近と同様に、下降気流が起きて天気が良くなります。今回は、高気圧から延びる尾根に覆われて2の条件には当てはまらないので、1について確認します。1の確認方法は、 http://sora100.net/course/kantenbouki/2947
で以下のことを学びました。
●850-500の気温27℃以上・・・雲が非常にやる気を出す(落雷、局地豪雨のリスクが非常に高い)
●850-500の気温24℃以上・・・雲がやる気を出す(落雷、局地豪雨のリスクが高い)
●850-500の気温21℃以上・・・雲が少しやる気を出す(落雷、局地豪雨のリスクがやや高い)
今回は、500hPa面の気温だけで確認していきます。この時期はマイナス15℃以下の寒気が入ると、雲がやる気を出しやすくなります。そこで、500hPaの気温予想図を確認していきましょう。
図2を見ると、朝の時点では、車山付近(△印)では500hPa面(上空約5,700m)でマイナス12℃位の気温です。出発前(10時30分頃)には積雲(せきうん、別名わた雲)が少しやる気を出していき、入道雲(にゅうどうぐも、正式には雄大積雲)に成長していきました(写真1)。
午前10時頃に、この位の雲ができるのは、夏では当たり前で特に危険な状況ではありませんが、午前6〜7時頃の早い時間に、こうした雲が周囲で見られるときは、その日の昼前から、雲がやる気を出して雷雲(かみなりぐも、別名積乱雲)ができやすくなります。
出発時には、別の方角にも入道雲が湧き立っていき、雲の底も暗くなってきました(写真2)。
しかし、この日は次第に雲がやる気を失っていき、車山の山頂に立つ頃にはおとなしくなってきました(写真3)。
雲がやる気を失ってきているのは、雲の上の部分がモクモクとしたカリフラワー状やソフトクリームのような形から、写真3のように扁平な形になってきているときです。こうなると、雷や強雨のリスクは小さくなります。通常は、地上の気温が上昇していく日中は、上空との温度差が大きくなっていくので、次第に雲がやる気を出していくのに、これはどうしたことでしょうか?
その原因を500hPa面の気温予想図(図3)から見ていきましょう。
図3は、15時の予想図ですが、車山付近(△印)でマイナス9℃位になっています。午前6時(図2)はマイナス12℃でしたので、3℃上がっています。このように上空の寒気が次第に抜けて気温が上がっていくようなとき、地上との温度差が小さくなっていくので、雲はやる気を失っていくのです。逆に、上空の寒気が次第に強まっていくときは、雲がどんどんやる気を出していきます。
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