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ヤマレコ質問箱 カテゴリ:その他

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緊急度 1その他
終活 山に散骨
質問2019年03月31日 17:24 (2019年08月12日 09:38更新)
いきなりですが、北アルプスに散骨された方いますか?
山好きな人間が終活を考えているうちに“山に散骨”ってどうだろうか?って考えた次第です。
まず、山に散骨が可能なのか? 大好きな北アルプスに散骨が可能なのか? 金額的にどれくらい?ってことです。
小生なりに調べたら、確かに可能ですが、北アルプスとなると環境省の許可が必要なので果たして許可が下りるのか?…返事が微妙な感じです。それに皆さんも当たり前に登る山にそんな目的で山を利用しないで欲しいとお叱りを受けるかもしれません。それと金額的には粉骨と保管を加えても30万でかたずきそうな感じですが、もっと身近にこの様な経験された方のお話を伺いたいと思っております。
宜しくお願い致します。
回答2019年03月31日 22:11 (2019年08月12日 09:38更新)
私は職業柄、この手の話題に間接的にではありますが無関係ではない立場にあります。
いわゆる散骨でまず問題になるのはやはり法律で、
刑法190条の死体損壊罪(死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は3年以下の懲役に処する)か、
墓地・埋葬に関する法律(いわゆる墓地埋葬法。墓地以外の区域に遺骨などの埋葬を行つてはならないと定められている)がまず思い浮かびます。

まず、絶対にやらないで頂きたいのが、火葬された遺骨を、そのままか、あるいは素人でできる程度の手段(例えばハンマーで叩くとか)で砕いたものを、そのまま野山に撒くことです。
遺骨は、素人が砕いた程度の状態で撒かれていれば、それを見た第三者には意外と、それとわかってしまうものです。
つまり、北アルプスの山中に遺骨っぽいものがあることに誰かが気づけば、まず間違いなく死体損壊容疑として事件になるでしょう。
どこに撒くかは別として、散骨する以上は、専門業者によってベビーパウダーのような微粉末状に完全になるまで加工するのは、まず必須の常識と心得るべきでしょう。

ちなみに遺族などの正当な立場にある人が、葬送の目的で節度のある範囲で遺骨を粉に加工しても損壊罪にはならないとされているようです(ようです、というのは、明文根拠ではなく起訴例や判例などから考察のため)。そのため、いわゆる「遺骨ペンダント」などが事件化されずに存在できるわけです。

さて、パウダーの問題がクリアできたとして、問題は撒いて良いかどうかという点です。

墓地埋葬法という法律がある以上、粉末化した遺骨とはいえ、公認された墓地以外の場所に「埋める」ことはできません(たとえ自宅の庭や私有地であっても)。
では埋めずに、ただ地表に撒くのならどうか?
国の法律で、散骨について直接的に規定しているものは寡聞にして存じません。たぶん、ないと思います。
法務省刑事局や厚労省としては、散骨問題については、各地域に根差した風習や宗教観なども影響するであろうから、国が一律に規制するのではなく、各自治体にて地域性も考慮して然るべく対処しなさい、国として自治体からの相談には乗ってあげるよ、という立場のようです。
従いまして現時点では、散骨に関することは各自治体の条例で規制されていたり、また条例がなく行政権による判断というところもあり、散骨しようとする場所により個別に確認せざるを得ない状況です。

それ以前に、撒く場所の土地の所有者なり管理権者の了承が必要なのは絶対です。
国立公園や国定公園などでは、そもそも無許可で廃棄物を捨てること自体が禁止されています。遺骨も(たとえ微粉末になっていても)恐縮ながら廃棄物には違いありませんので、北アルプスのその場所の所有権なり管理権を持つ人なりの許可をまず得る必要があります。
また、そのような申請においては、近隣住民や、登山や観光の関係者(観光協会や山小屋の団体など)の同意をもらってくることを条件にされるかも知れません。

まとめますと、遺骨を砕いて粉末状に加工し、埋めるのではなく「撒く」ことその行為自体については、遺族など正当な立場の者が、葬送の目的で節度ある範囲で行う限り、直接的には違法ではないと考えて良いようです。
但し、その場所に撒いて良いかどうかは、撒こうとする場所の所有者(管理者)の同意を得るだけでは足りず、散骨することについて、その場所を所管する自治体(都道府県と市町村レベルの両方)と協議し、違法性がないことを確認する必要があります。
お礼 
まずご回答ありがとうございます。
とても細かく具体的に分かりやすく説明してくださり、改めて『散骨』の知識を深めたところです。

まとめの文面にもあるとおり所有者、管理管轄の自治体の許可が必要という部分が重要ですね。昨今葬送のあり方も多様化しておりますので法律が追いついていない部分も多々有るようですが、いずれ規制されるような事も起こるかもしれませんね。個人的には、北アルプスのどこかに散骨かアルプスを望める麓に散骨を切に希望するところです。

pipiyさん、ありがとうございました。