山行記録: 《台湾》三光渓支流塔曼渓

記録ID: 2334463

全員に公開

沢登り

アジア

《台湾》三光渓支流塔曼渓

2000年03月21日(火) ～ 2000年03月24日(金)

motegik1370

orehasawayada1 その他3人

コースタイム

21日深夜、台北溯渓倶楽部の方の車で出合の赤いアーチ橋の大漢橋まで送ってもらった。台北から宜蘭市へ行く国道7号線を大漢渓と三光渓に沿って走り、台北の市街からわずか2時間半であった。道の雰囲気は紀伊半島の十津川の道のようで関西の我々には親しみ易い。塔曼渓は塔曼山に南から突き上げる長さ12㎞、標高差1500米の谷で中規模の谷である。ヘッドランプを頼りに踏み跡を辿り塔曼渓に下り河原で泊。

22日朝7時に溯行開始した。大漢橋の真下の半壊の堰堤を過ぎるとすぐ右に曲がり暗い第1のゴルジュに入る。水勢が凄まじい。幅数米に圧縮されたゴルジュの幅一杯に落ちる3m滝で行き詰まる。少し戻り左岸の側壁から登り、最後は懸垂2回で谷底に降り立った。
右岸のはるか尾根の上に巴陵村の家々がへばりついているのが見える。次いで第2のゴルジュの屈曲部にある悪い斜滝10mを右岸から登る。第3のゴルジュの釜を泳いで越すと平凡な明るい河原の谷になった。右岸に林道が降りて来る。午後四時半、泊まることにする。川虫を餌に台湾の渓流魚の苦花を釣り、唐揚げにして食べた。まずまずの味である。

23日、7時発。すぐに右岸から大きな支流が出合い養鱒場があった。そこから谷沿いの猟道を辿ると右折して渕になり、猟道は右岸を高度100mも高く巻き斜滝7mの上で谷に戻った。谷は開けて猟道を利用して快調に先を急ぐ。滑20mに続く斜滝15mを越えてから猟道は左岸の樹林を登る。両岸の迫った傾斜のある巨岩のゴーロ帯の最上部で道は谷に戻る。ゴーロ帯を見下ろしながら昼食にする。
そこから10分で奥の二股に到着。右股の方が大きく左股はやや小さいが塔曼山に直接突き上げる左股に入る。滝が断続的に続くが特に困難ではない。ただ、岩がやたらと滑りやすく、たびたび滑って尻餅つかされた。午後3時半に標高1600m米付近で泊。一面ススキの斜面であった。夜から天気が崩れ始め寒い夜となった。

24日、朝7時に霧雨の中を出発。巨樹の倒木が詰まっている暗いゴルジュを抜けると、苔蒸した連瀑があった。その上の5米滝から始まる傾斜のあるゴルジュの中は苔むした太い倒木が詰まっている。倒木を越えるには人工登攀になり至難の技だ。谷通しを断念して左岸の密生薮に突っ込む。この藪を頂上まで行けるか不安になる。急斜面を這うようにして登ると水平に横切る踏跡に出て助かった。右に行くと塔曼山南尾根の縦走路に出ることができた。そこから深い笹薮の道を掻き分けて登る。笹を漕ぐとしずくが降り注ぎ手が痺れる程冷たい。時々出会う檜の巨樹が目を楽しめてくれた。時間は想像以上にかかって昼過に樹林に覆われた塔曼山頂上に到着した。
頂上から達観山神木公園へ一時間であった。神木は樹齢千年を越える紅檜の巨樹で、塔曼山と達観山の間の谷筋に20数本の神木があり、神木は柵で保護されている。その中で一番大きいのが18号神木で幹周りが18mもあり、台湾でも5番目の巨樹であるという。さすがに大きい。大きすぎてカメラに収まらない。過去20年間、台湾で何度か檜の巨木に出会った事はあるが、この木はそれ等をはるかに凌駕していた。神木公園の駐車場に台北溯渓倶楽部の車が迎えに来てくれていた。台北に戻ると三重市山岳協会の謝長顕氏が歓迎の宴を開いてくれた。（茂木完治）

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