入道ヶ岳
天候 | 北の風風力6/快晴/ー1℃ |
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過去天気図(気象庁) | 2024年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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感想
山行記録671 令和6年1月1日 (祝)
「日の出」らしい初日の出 〜入道ヶ岳 パーティー:妹・ワシ 地図:伊船
正月に帰省する妹が「御来光を拝めるとこ、どっか連れてけ」と言うので、4年ぶりの初日の出山行でパーティーを組むことになった。先週、下見に行った時は、強い寒気の流入で御在所の気温がー9℃台まで下がった直後で、林道の終点付近が約200mに渡って凍結してアイゼンが必須だった。この時期としては別段珍しくない状況ではあるが、雪がカケラもないというのは珍しいことである。
その後、30日から暖気が流入して御在所の気温がプラスに転じ、31日には7℃台まで気温が上昇。雨も思っていたよりシッカリ降った。
予報では、31日21時ごろに500hPaでー30℃の気圧の谷が能登半島付近を通過し、朝9時には東海上に抜ける模様で、冬型の気圧配置になるのは間違いなく、朝9時の数値予報850hPaの風の予報では北の風15m(30ノット)の矢羽根が表示されている。幸い気温はー3℃ほどであるから、ツェルトで風さえ避ければナントカなりそうである。
朝3時過ぎに宮妻峡に入る。水沢のあたりは風が強かったが、谷に入ってからはそれほどでもない。気流による雲が上空を足早に流れていくが、雲は切れ切れで、下弦前の月明かりが明るい。何よりも寒さがない。ともかくコンビニ弁当で腹ごしらえしたらソソクサと足ごしらえ。
3:56出発。登りは林道経由。45分ほどで内部川徒渉点を通過。いいペースである。宮妻に着いた時よりも明らかに雲が後退していて、月も時折隠れる程度。無灯火でも十分に歩いて行ける。山の上の方は風も強いはずではあるが、響き渡るような轟音でもなく、思ったよりも弱いのかな?。
上から2番目の水場にさしかかる。下見の時に凍結していた所も全部融けている。ひと休みして、カッパとスパッツで防寒防風体勢を整える。
林道の終点近くにさしかかる。風の音はそこそこ大きいが轟音ではない。振り返った先に見えてくるはずの御在所の山上駅の灯りが見えない。「御在所や国見が曇っとって、入道が晴れとるて言うのもようある話や」とか、「ロープウェイて風強いと止まらへんか?」とか話しながら、問題の凍結区間にさしかかる。凍っていても脇にかわせないので、ここだけのためにアイゼンを持ってきたが…。「融けとる融けとる」。
5:40林道終点到着。予定よりも若干遅めではあるが、予め見込んだ余裕の範囲に十分収まるペースである。それより予想に反して風が弱い。水を飲んでひと息ついたら山道に入っていく。
堀割に入った途端、強い風が吹き下ろし始めた。いつも風の通り道なので仕方はないが、「来たな〜」という感じである。踏跡は薄れかかっているが、元々ブル道だったから道形はハッキリしている。堀割を抜けて尾根の東側に入ると風も一段落。
東斜面を抜けると遮るもののない急斜面が待っている。進行方向の斜面の上に、明けの明星金星がやや黄色っぽく輝いている。
踏跡が薄いから、尾根に立つ杭と新道分岐の道標を目印にして適当に登っていくと、いきなり北西方向から強風。耐風姿勢をとる。雪があればピッケルを加えて3点確保となるが、雪がないのでピッケルはザックにくくりつけている。2点確保でしのぎ、「やっぱり風あるな〜」などと話しながら新道分岐を過ぎる。
そろそろ空が白み始め、陽が昇るあたりの空がホンノリ紅くなり始めている。傾斜が緩み、アセビの茂みを縫うように歩くようになると、ある程度風もしのげるというもの。
6:20北の頭に到着。そのまま三角点に向かう。井戸谷源頭から見下ろすとライトがたくさん登ってきている。サッサと場所を見つけて落ち着いてしまおう。三角点の東斜面の目星をつけていた場所へ行く。6:30到着。渥美半島の向こうの空がすでにオレンジ色に変化してきている。空は澄んでいて、富士山頂の山影も見えている。
アセビの樹の陰ではあるが風上側は茂みが途切れているので、風が完全に遮られない。早速ツェルトをスクリーンのように張って風よけを作ったら、雑煮を炊き始める。
東の空のオレンジが明るくなりつつある。渥美半島の山の向こうに横たわる雲の上面が光り始めている。明るくなってきて海と陸とがハッキリ判別できるようになってくる。「海なんやな〜」と妹。比叡山のあたりから琵琶湖越しの御来光を拝むことが多いが、全然こんな景色ではないらしい。
6:50を過ぎた。東の低い所の雲の輝きが増してきた。光芒も立ち上がってきている。「もうすぐやな」などと喋りながらノン気に雑煮など突っついていると、目に見えて雲の輝きが増し始めた。雲の1点がまぶしく輝き始め、オレンジの光が顔を出した。穏やかな初日である。
「今年も1年、よろしくお願いします」。
雑煮も平らげてしまった頃、伊勢湾が光り始める。いつもそんな様子を眺めながら過ごすから、8時半ぐらいまでその場に留まるのが常であるが、今日はそろそろ下山することにする。まだ薄暗い最中(さなか)にツェルトを張ったりしてゴソゴソバタバタしたので、忘れ物がないように周囲を確認。
三角点に上がってみると、明け方よりも強い風が吹き抜けて、体が持って行かれそう。それでも風を背に受けて光が広がってきた海を見下ろす。この角度から朝陽を眺めるのは初めてかも知れない。
三角点を後にして奥宮に向かう。風の強まりと共に気温が0℃を下回ったようで、池ノ平への下りは氷点下の風が吹き付けて、まだ暖まっていない身には少々キツい。登り返し始めると一転、陽が当たり始めた斜面は少しばかりドロドロ状態。滑らないように注意しながら奥宮に到着。新年のあいさつを済ませる。
茂みで風が遮られる場所はここで最後。靴紐を締め直して出発。茂みを出ると、途端に北からの強風に煽られる。吹き飛ばされないように踏ん張りながら、北の頭の茂みに逃げ込む。
7:57下山開始。下りは新道をとる。気温が高く雨も降ったからドロドロツルツルの所もあると思うが、妹が「下りてみよう」というのであればそれもいい。少なくとも林道歩きよりは楽しいはずである。
分岐を過ぎて急登を下りると林道終点のガードレールと同じ高さの尾根。樹林帯に入ると森が風を受け流してくれていて、感じる風はゴーゴー響く音ほどの強さではない。妹、そこそこ山に慣れているような足取りで平気な顔をしてトコトコついてくる。どのぐらい山を歩いているかわからなかったが、下りでこの足取りだったらまず心配はない。
713m独標を過ぎると、ルートが一旦東斜面を巻く所にさしかかる。ここは常に滑る場所。「めっちゃ滑るでな!」と声をかけて、足場を選びながら樹につかまりながら下りていく。そこを過ぎると次は真っ直ぐ下の方まで見える森のスキ間の下り。ここもヤミクモに真っ直ぐ下ると滑りまくるので、真っ直ぐのルートにジグザグを見つけながら下っていく。
8:41、尾根を離れる地点に到着。粘土質で滑りやすい尾根から、岩でガラガラの斜面に変わり、特に下半分は落石が堆積する中のジグザグである。ひと息ついて出発。「音に注意!」と声をかけて、最後の悪場に入っていく。
半分ぐらい下ると、川の音が近づいて来る。普通はここからが遠いのであるが、このルートはそれほどの距離はない。その代わり足場が悪くなる。とにかく石を落とさないように、石車に載らないように、1歩1歩集中しながら下っていく。
9:05、徒渉点に到着。川でスパッツを洗って9:11宮妻峡に帰還。
4年ぶりに再開した初日の出山行。風は強かったが天気は好く、穏やかな初日を拝むことができた。そんな話をしながら、山を後にした。
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