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霊仙・伊吹・藤原

竜ヶ岳

2024年05月18日(土) [日帰り]
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過去天気図(気象庁) 2024年05月の天気図

感想

山行記録 675 令和6年5月18日 (土)
       ヒツジが一匹…  〜竜ヶ岳
          単独 地図:竜ヶ岳
 連休中、郡界尾根でシャクナゲの花を見た。普段より1週間から10日ほど早い。シャクナゲが咲くと、程なくシロヤシオが咲き始め、互いに盛りの時期が2〜3日ほど重なる。しかし、その時期をねらって出かけても、紅白咲き揃う場面に出会えるのは数年に1度。ましてや紅白饗宴ともなれば…、もう20年以上ご無沙汰しているだろうか。
 連休中にシャクナゲが咲いたのであれば、連休が明けた次の土・日ぐらいがチャンスではないか…。シャクナゲが終わってしまったとしても、シロヤシオが盛りを迎えるはず。そう考えていたのに…、何やかんやで行きそびれ…。シャクナゲが咲いてから2週間も経てば、さすがにシロヤシオの盛りも過ぎるだろう。そう考えて、今年はあきらめていた。
 ところが金曜日、Yahooニュースに「御在所岳山頂のシロヤシオが見頃」という記事が出ていた。「え〜、遅いんちゃうけ?」。たぶん御在所では盛りの終盤なんだろう。「ラストチャンスでっせ」という記事かもしれないし…。
 だったら竜にしようか。シロヤシオが盛りの頃、ヒツジを放牧したような風景が見られると言う話を以前から聞いているが、未だにその風景を見たことがない。足慣らしの仕上げなら、標高差もあってお手頃のコースと言えよう。いずれにしてもダメモトではあるが…。
 天気はどうか。日曜日は下り坂と言っているから土曜日の方がいいだろう。850hPaの高層予想天気図を見ると、18日9時の時点で紀伊半島付近に高気圧性の渦が表示されている。「決まりやね」。

 5時前の宇賀渓駐車場。よく晴れて空気はひんやりしている。すでに10パーティー近くが出発の準備をしている。話題性のあるものだから、人が多いことは予想している。サッサと足ごしらえして、5:02出発。
 すでに竜の山頂は朝陽に照らされてほんのり赤い。最初の林道歩きはウォーミングアップ。飛ばしすぎないように例によって鼻で息をしながら歩く。
 入道、七人山と足慣らしをしてきたが、今日はオーソドックスな鈴鹿7Mt。息がはずむような登り方さえしなければ、あとは足腰の状態だけである。ゆっくり行きましょう。
 金山尾根の取付で小休止。早くも小腹が減ったのでヨウカンを補給しながら地図を眺める。587m独標まで、まだ距離感がつかめていないから、今日は特徴的な地点を頭に入れながら歩くつもりである。「標高差200m。40分か」。足を弱らせているからか、それともジジイだからなのか、最近はペースが遅いので時速300mで計算してみる。
 5:46金山尾根を登り始める。ほどなく、少しばかり南斜面をトラバースしている所がある。つまり下りではこのトラバースが出てきたら取付は目前ということである。尾根に戻ると、岩がゴツゴツしたジグザグをただただ登る単調なルート。花崗岩なので、ヒルが特に多いということもなかろう。「遠足尾根の向こうはヒル天国…♪」。そんなことを考えながら…。
 少し傾斜が緩む地点に差し掛かった。独標は近いのかな?。立ち止まって地図にコンパスを当ててみる。まだ尾根の方向が違う、北西を向いている。現在位置は500mコンター付近。尾根が北北西を向けば独標は間近である。そんな感じで登っているからそれほど長く感じることもなく、6:17独標に到着した。尾根取付から30分なら時速400mに近い。上々である。
 大蔭がよく見える。「あんに露骨に崩壊地然とした色しとったかな〜?」。ササがなくなって久しいが、地表を覆う植物も全体的に少なくなって、崩壊に拍車がかかっているのではないか?。そんな色になったように見える。
 水を飲んで小休止しながら地図を眺める。林相が変化する所まで約100m。さらに100m登ったら岩尾根の急登下である。そんなことをザックリ確認して出発する。
 相変わらず鼻息だけで登っているからペースはお世辞にも早いとは言えない分、足元に不安定さがない。石車に乗ってしまいがちな尾根なのに、今日はその回数も格段に少ない気がする。今までどこかガシガシ登っていたのかもしれない。時間的にはそれほど変わらないのに。
 照葉樹林の行く手が開けて二次林のなだらかな尾根に飛び出す。「緑が深いな〜」。この森でこんな色に出会った覚えがない。つまり、金山尾根をこの時期に登るのは初めか?。それはそうだろう。ヒツジにお目にかかったことがないのである。
 緩やかにカーブして平らな尾根へ登っていくと、植生保護のために張ってあるロープの奥の林床に、実生の群れか。小さな芽がビッシリと葉を広げている。
 尾根をノン気に登っていく。やがて一瞬の急登になるが、地面が比較的乾いているから足元も滑らない。急登の中にジグザグを拾いながらクリアして照葉樹の茂みを潜り抜け、岩尾根の急登下に到着した。
 少し小腹が減った。50m程度ではあるが急登なので、ニギダマをついばんでいこう。7:07、急登にかかる。岩尾根なので足を機械的に出せないところは多いが、急ぐことはない。ボチボチ登っていく。
 急登を抜けて、なだらかな高原状に出た。竜の上空には巻雲を流した青空が広がる。7時を過ぎて、少し日射しが強くなってきた。今日は暑くなると言っていたから、山の上のそれなりに暑くなるかもしれない。
 傾斜は緩くなったが、まだここは900m。「そうか、クラまで150mあるんや」。地味にキツい登りだと思っていたが、改めて地図を見ると結構登りが残っている。「まあええは、ボチボチ行こ」。
 すでに満開になったヤマツツジを見上げながら緩い尾根を歩き始める。ホタガ谷の源頭あたりからキツツキのドラミング。そして、進行方向の茂みの高い所から聞こえるカッコウの声に向かって登っていくと、意外にも近いところから鳥が飛び立つ音。その後、カッコウの声が別の場所から聞こえ始めたところを見ると、そのカッコウ、思ったよりも近い樹の上で鳴いていたみたいである。
 歩いて行くと、目の前に白っぽいかたまり。小さな白い粒のようなツボミはガマズミかな。コイツも6月の初め頃に咲く花ではなかったか。何もかも半月ほど早い気がする。
 7:45遠足尾根分岐を通過。少しクラの方へ進んだところから竜を眺める。シロヤシオはほとんど咲いていない。斜面が蛇谷へ落ちていくあたりに満開の樹が1本だけである。せっかくなので写真を撮っていると、その手前でシカが動いた。最近珍しくもないシカ。これ以上ササを食い荒らさないで欲しいものである。
 クラの木道まで来た。去年の秋にセキオノコバへ行ったとき、新しく遠足尾根の方へ分岐するルートができているのを見付けて気になっていたが、その後、「遠足尾根、どちらからも行けます」という札が掛けられた。昔の裏道(ホタガ谷ルート)が遠足尾根に登り着いた所から、遠足尾根のルートが金山尾根に登り着くまでの間は、尾根のどてっ腹の直登で、粘土質のために足元がよく滑り、雨の後などはドロドロでイヤな所だった。おそらく登山道整備のためにそれを回避するためのルートを開いたんだと思う。
 その登山道の整備。近頃盛んに行われているようで、その基地となる小屋もできていて、小屋への通路の脇に、満開のシロヤシオが1本、見事に真っ白である。ほかのシロヤシオは、花をつけていてもほとんどが盛りを過ぎて茶色くなった花ばかり。貴重な1本と言える。帰りに寄って行こうかな。
 縦走路との分岐にさしかかる。「今日は竜へ行く」。思えばこの分岐を左に取るのは何年ぶりだろう。人の多い竜をパスしてセキオノコバや静ヶ岳にばかり行っていたから、なんとなく新鮮である。
 アサギマダラを目で追いながら小尾根を乗越す。その茂みの林床に、ニョキニョキと新芽が立ち上がっているのが目に入った。地面をビッシリ覆ったスギゴケから、新しい芽が分枝して立ち上がり、明るい黄緑色が陽射しに映えている。
 最後の急登にかかる。その脇にロープが張ってあって、立て札が立っている。植生保護の立て札かと思って目をやると、「ササの保護」と書いてある。ササが減っていることを気にしている人が、どうやらワシ以外にもいるようである。しかも組織的に。ワシのように一人で騒いでいるのとはワケが違う。道普請のやり方も、ヒトの習性と水の挙動を共存させるための工夫をしているし。これが上手くいけば、ほかの山でもマネするかもしれない。
 相変わらずキツい詰めである。それでも、地面が乾いているので、足をどうにか機械的に出せる。鼻で息ができるペースでノソノソ登っていく。時々足を止めて振り返ると、斜面にポツンポツンとシロヤシオ。ヒツジの群れにはほど遠いが、遅咲きの樹はまだ満開に近い状態を保っている。シロヤシオとは、こんな咲き方をするらしい。
 8:13竜ヶ岳到着。すでに10パーティー以上が登ってきているのであれば、たちまち賑やかになってしまうだろう。サッサとハラごしらえして退散することに決めて、適当に腰を下ろす。
 今日は災害用のローリングストックの中から、今月が賞味期限のレトルトのカレーを持ってきた。湯煎するだけなので、湯冷ましをポリタンに戻すことができる。遠くに七人山を眺めながら、今日は少しだけいつもと違うメシである。
 メシを済ませて山頂を振り返ってビックリ。人数が2倍以上…もっとか…に増えている。「こらあかん!」サッサと撤収しよう。8:44下山開始。
 クラへの下降を始めた途端、続々と登ってくる人の多さが目に入った。急降下の途中で何度も立ち止まってすれ違い待ちをしながら下るのはいいとして、人の多さには驚くばかりである。
 急降下を終えてヤレヤレ。足下に目をやると、1cmはあるだろうか、大型で派手な模様のテントウムシ?。
 帰って調べてみると、カメノコテントウという日本で最大級のテントウムシの仲間で、日本中に広く分布し、4月〜10月頃に見られるらしい。サワグルミやヤナギなどにつくクルミハムシやヤナギハムシなどを食糧にしているという。
 そんな感じで道草しながらクラにさしかったので、小屋の前のシロヤシオにあいさつして行こう。
 遠目には真っ白な花盛りと見られるが、近づいてみると、やはり花も終わりに近く、茶色に変わりつつある花も混じっている。名残のシロヤシオと言えようか。
 9:05クラを後にする。茂みの上をホトトギスが声も高らかに飛び去る声を聞きながら、分岐までのルートから遠足尾根を見下ろす。登ってくる人の多さにまた驚く。尾根に登ってしまえばなだらかな尾根ではあるが、行程が長く、今日のようによく晴れた日は暑さが応えるだろう。ワシの中では、遠足尾根は下り専用のルートである。今ではササが勢いをなくしてしまったから、一般ルートとして使えるようになったが、以前はササの抵抗がキツくて、雪でササが埋まる時期でなければ難儀な尾根だった。
 遠足尾根を分けて金山尾根に入ると、人が格段に少なくなった。どうやら遠足尾根の方が人気があるのかな。標高差のある下りなので、飛ばさないように心がけないといけない。しかし、今日は少しブレーキの効きが悪いような…。意識的にスピードを落としていくことにしよう。
 岩尾根の急降下にかかる。若い頃はヒョイヒョイ駆け降りていたが、今となってはそうはいかない。登りはパワーがあれば何でもいい感じであるが、下りで調子に乗るとたちまちヒザが悲鳴を上げる今日この頃である。慣れとかテクニックとかが必要な下り。それを発揮するためには足腰が丈夫でなければならない。抑え気味に、足の置き場、足の置き方を考えながら下る。
 岩尾根を下り切り、照葉樹の尾根を抜けると再び急降下が始まる。すべりやすい斜面なので、ジグザグを拾いながら注意して下る。
 なだらかになった尾根の先にあるベンチには若い衆が2人休憩している。あいさつすると、「シロヤシオどうでした?」。やっぱり意識している人がいる。「1週間遅かった。満開の樹もポツンポツンとあるけどね」。気の毒ではあるが、期待させてもいけないから、ここは見たままを伝える。
 587m独標で小休止して、距離感のなかった尾根取付までの下りにかかる。「朝の復習と行きましょうか」。尾根が方向を変えて傾斜がキツくなり始める地点が、間隔は悪いがチェックポイントと言えなくもない。取付近しの目印になるトラバースがあるからヨシとしようか。少しずつ暑さを感じ始めた頃、そのトラバースを通過し、10:27金山尾根の取付に到着。
 最後の下りにかかると、どこかの山岳部だろうか、60?ぐらいのザックを担いだパーティーが登ってくる。人数も多いし、足場が限られる岩場があるので、待ち時間が少し長くなる。
 そんなわけで、林道終点手前の渡渉点に到着。沢で手と顔を洗う。日焼けしたからだろうか、妙に気持ちがいい。林道に出ると、後は宇賀渓まで歩くだけ。森に包まれた林道だから涼しいが、駐車場に着くと陽射しが熱い。すっかり初夏である。11:00宇賀渓駐車場に帰還。
 予想はしていたが、やはりシロヤシオには遅かった。とは言え、久しぶりに標準的な山に登って降りてきて、とりあえずヒザも大丈夫のようである。足も出来上がってきたということでいいだろうか。もっとも、調子に乗って飛ばしたりすると、たちまちヒザを壊すことも分かっているので、言うまでもなく、そのあたりはわきまえなければならない。
 帰り道、山を振り返る。そろそろ夏の色になってきている。

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