御在所岳

天候 | 西の風風力4/霧/20℃(9:00) |
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過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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感想
山行記録679-5 令和6年8月17日 (土)
霧と風の山 〜ございしょ自然学校赤とんぼマーキング山行
単独 地図:御在所山
登路:裏道 下山:裏道
台風7号が房総半島に接近している。金曜日の夜から土曜日の朝にかけて、最も接近する予報である。中心の気圧が950hPa、最大風速が45m/s。結構強い台風である。
四日市界隈は台風から離れていて、進行方向の左側だから、直接の影響はない。しかし、台風が遠ざかる段階になれば、この強さの台風だから吹き返しの風が吹くだろう。山の上だったらなおさらである。だから日曜日の方がいいかなと思っていた。しかし、発雷確率を見ると、確率は低いながら、表示の範囲が広くなっている。
金曜日の夕方、稜線の全域にわたって山越えの気流に伴う分厚い雲がかかっている。発雷させるような高さではないが、まるで冬の雲である。ちょっと迷ったが、雷がこの上もなく怖い文さんとしては、発雷確率で土曜日を選んだ。これが吉と出るか凶と出るか。さ〜て。
土曜日の朝、菰野の辺りまでは晴れていたが、蒼滝大橋あたりでフロントガラスに、「雨?」。風も結構吹いている。登路は中道を予定していたが、風が強いとノン気に登れないだろうから、天気が怪しいときのお決まりのパターン、裏道に変更した。
蒼滝大橋で聖岳のあたりから出てくる山吹色の太陽を迎える。入山届を投函して、時折細かい水滴を感じながら、久しぶりに裏道からの登高である。
5:51藤内小屋に到着。ヨウカンをついばみながらガスに包まれた稜線を見上げる。うっすらと虹もかかっている。小屋の周囲には朝陽が差し込んでいるから、雨が降っているのであれば虹が出るのも道理である。たぶん強い雨にはならないと思うから、とにかく登っていこう。パラパラと細かい雨を感じながらウサギの耳の川原を歩く。見上げるガスはどす黒く、威圧感さえ感じるが、川原に朝陽が差し込んでいるために、明暗の対比が顕著なんだろう。
森の中に入っていくと、森を透かして見る北谷はまるで冬の時雨空である。裏道ではそれほど感じない雨。森が傘になってくれているからだろう。いつだったか、大粒の雨がいきなり森を突き抜けてぶっちゃけてきて慌てて退散したことを思い出しながら、六合目下の鎖場から七合目道標までの一番イヤなところを抜けていく。
登るにつれて、森の傘に隙間が増えていく。カッパを着るほどの雨でもなし、今の季節、雨で濡れるか汗で濡れるかどっちが好きかと聞かれたら、答えは「雨」。そうは言ってもザックカバーだけはかけていくことにする。国見峠を過ぎるころには、雨は弱まってきた。心地よい雨を感じながら最後の詰めを登り切り、7:38山の上の下界に到着した。下から2:20。裏道なので順当なところだろう。
風が強く雨も止んだわけではないから、自然学校の軒下にサッサと逃げ込む。たぶん気温が上がれば薄れる傾向にあるガスだと思うが…。まずはコーヒーなど沸かして様子を見ましょうか!。
8時半ごろになると雨が落ちる頻度が低くなってきた。ガスも少しずつ明るくなり、ガスを透かして青空が見えた瞬間もあった。雨上がりには至っていないが、少し粘ってもよさそうな気がしてきたので、タモを組み立ててマーキングに出てみる。
したたるようなガスの中を歩いて行くと、岩にへばりつくようにホツツジが咲いている。水滴を纏う様子は、雲の平かどこかのお花畑のようである。茂みの高いところでは鳥のざわめき。ホオジロが虫をついばんでいるんだろうか、4羽ほどが枝を小刻みに移動していく。
まだまだガスは濃いが、アキアカネが居ないことはない。風の緩い園路や三角点への階段の両側、そして意外にも風の裏になっている国定公園の記念碑前では、雨が止んで、茂みの奥から抜け出してくるヤツがちらほら見られる。とは言え、数は非常に少なく、三角点まで行って帰って30頭ぐらい。トンボを集めるよりも、翅などに水滴を付けながら枝先に留まっているアキアカネや、時々見かけるネキトンボなどにモデルになってもらう時間の方が長い感じになる。今日は、いつも目安としている500に届く気が全然しない。
9時、自然学校の面々にあいさつしたら、再びトンボ集めに出る。どうやら雨は上がった。しかし風は止まない。どこでマーキングしやすいか、いつものように場所を確かめて受付に伝えるが、「今日は難易度高いと思う」。手こずりながらマーキングを続け、気が付けば昼である。数はというと、まだ200に届いていない。「今日はしゃあないな〜」。とりあえずメシにする。
少し陽射しがのぞく回数が多くなってきたような気がするので、ほんの少し期待しながらマーキングに向かう。しかし午後は、トンボが茂みに戻ってあまり動かなくなる時間帯でもある。ガスが薄れてきたといっても、やはり午後は風が強くなる時間帯のようで、「線路途中の風が強くなると運転を見合わせる可能性がある」とロープウェイがアナウンスを始めた。そんな天気だからトンボが少ないのも仕方がない。行動範囲を広げてみるが、それほど数は伸びない。
そんな調子で歩いていると、園路の真ん中に蝶が舞い降りて翅を広げた。「あなたはだあれ?」。昆虫採集でもない限り、蝶の翅の表を落ち着いて観るチャンスはそれほど多くない。まずはとりあえずの写真を撮ってから、ソーッと近づいて見る。動かない。「チャンス」。シッカリ近づいて、シャッターを押そうかと思った瞬間、カメラに付けてあったストラップのジョイントが地面に落ちて、「コン!」と言った。次の瞬間、蝶は空中。「あ〜あ!」。
仕方がないので、とりあえずの写真を極限まで拡大して、模様なのか斑点なのかよくわからないようなボケボケ状態で図鑑と見比べてみる。ヤマキマダラヒカゲかな〜?????。
最後のひと回り、果たしてどこまで伸ばせるのか?。観光客も手こずっているが、「ここにおるよ」と教えてあげることもできないぐらいに少ない。
3時を回って自然学校に戻った。最終結果は、♂117、♀151、合計268。こんな天気なので、あまり高くまで飛び上がっていないようにも思えるが、♂率がそれなりに低いのはなぜだろう?。それとも♂は樹の上に集まっていたのかな?。ホントにそうなのかどうかはわからないが…。
今日は、自然学校のイベントでアキアカネのガイドツアーが開かれた関係で、その先生が採ってきたオオルリボシヤンマが居る。それをリリースするというので付いていってみた。リリースすると、すぐには飛び立たずにササに留まったままなので、早速撮影会となった。手に持った状態で写真を撮ったことはあるが、自然状態とも言えるものは初めてで、シッカリ写真に収めることができた。
そろそろ4時。相変わらずガスがかかっているが、朝とは全く違って晴に近いガスである。
「藤内小屋で駄弁って帰りま〜す」。今日も夕方近くになって下山を始める不良山屋である。
15:46下山開始。山の上が涼しかったので上着を羽織っていたから、国見峠で身軽になる。北谷を下り始めると、東の方から雷鳴?。遠雷のような音が聞こえてくる。今日の風だったら、東の方の雷が流れてくることはないが、山の中にいると雷鳴には戦慄を感じる。こんなときはついつい足早になってしまいがちなので、立ち止まってひと呼吸して下りていく。その後も何回か遠雷を聞きながら、六合目下の鎖場を通過。水場にさしかかる頃には、気がつけば遠雷も聞こえなくなっていた。
16:50藤内小屋に到着。すると、2週連続してしゃべくった同い年の面々が今週も居る。「毎週泊まりにきてません(笑)?」。そんな感じで駄弁り大会が始まる。今日は鈴鹿の山の、ワシがよく潜り込む森の話で盛り上がる。
今日は、マーキング数は伸びなかったが、毎年こんな時期は来るから、「まあこんなもんやろ」。週間予報では週明けから雨マークが並んでる。盆ナガセが始まるのかな。今年はあと何回マーキングに出かけることになるんだろうか。
帰り道、山を振り返ると、少し低くなったガスの上面が夕陽に照らされて輝きを放っている。
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